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日蓮大聖人・池田大作

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第二十三回本部幹部会 最高の「人間性」こそ指導者の要件

1989.11.18 スピーチ(1989.8〜)(池田大作全集第73巻)

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1  無名の殉教者には大慈悲が
 晴れやかに迎えた1l・l8「創立の日」――本日は見事なる晴天となった。われわれの未来の「栄光」を象徴する、すばらしき諸天の祝福であると確信する。(拍手)
 明年の大石寺開創七百年も間近に迫った。また、きょうは、一年後の学会創立六十周年への新たな″第一歩″でもある。その意義深き本部幹部会の開催を、心から祝福申し上げたい。(拍手)
 本日は、牧口家、戸田家のご親族も、お元気な姿で出席しておられる。本当にうれしいかぎりである。(拍手)
 今や総本山は隆々たる発展を遂げた。また創価学会も、未曾有の上げ潮の時を迎えている。御本仏日蓮大聖人、また日興上人、日目上人も必ずやお喜びくださり、称讃してくださっていると信ずる。さらに歴代会長も、どれだけ喜び、たたえてくださっていることであろうか。(拍手)
 これまで広宣流布の途上には、御聖訓のままに行動し、偉大な功績をきざみつつ、無名のまま法に生き、法に殉じていかれた同志も数多い。私は、そうした殉教の同志が永遠に御本仏の大慈大悲に包まれ、栄え、福徳に輝いていくよう、朝な夕な御本尊に深く祈念している。(拍手)
 今日まで、多くの友が、薙警にも地位にも目もくれず、時にはぼ鵬されば麓されても、牧口先生、戸田先生のご精神のままに走り、耐え、戦いぬいてこられた。正法のため、社会のために尽くしきってこられた。そうした先輩、同士やの方々に、私は満腟の謝意を表するとともに、尊き功労を称讃申し上げたい。(拍手)
2  「師」の構想実現に「弟子の道」
 さて本日の「聖教新聞」でも紹介されているとおり、初代会長である牧口常三郎先生の主著『創価教育学体系』が英訳され、アメリカ・アイオワ州立大学出版局から発刊された(=英語版タイトルは『創造的人生への教育―牧口常三郎の思想と提案―』デイル・M・ベセル編訳)。先生の著作としては、初の海外出版である。牧口先生の思想がいよいよ世界的に注目され、評価されている証左であり、私どもにとってもこよなき喜びである(拍手)。出版に尽力してくださった関係者にも、心から謝意を表したい。
 そして、手もとに届いた最初の一冊を、私はだれよりも、牧口先生を世界に宣揚されんとした戸田先生にささげたい。その意義から、ここに出席されている子息の喬久さんに贈らせていただく。(同氏に手渡す。拍手)
3  昭和二十八年(一九五三年)十一月十三日、西神田の旧本部から、ここ信濃町の新本部への移転が完了した。そこで真っ先に行われたのは、牧口先生の十回忌法要である(十一月十七日)。また、この十回忌を記念し、戸田先生は恩師の著書『価値論』を出版された。これは『創価教育学体系』の第二巻にあたる。
 牧口先生の一切を後世に伝え、宣揚していく――これこそ戸田先生の悲願であり、ある意味では″すべて″であったと言っても過言ではない。戸田先生に対する私の思いも、まったく同じである。
 戸田先生は、その法要のさい、次のようにあいさつされた。
 「先生は、じつに純真な真面目そのものの方でありました。それほど立派な人が死なれた所は、牢獄の中である」(小説『人間革命 第七巻』)
 そして、社会学者の田辺寿利氏が、昭和五年(一九三〇年)発刊の『創価教育学体系』に寄せた序文を紹介された。
 「一小学校長たるファーブルは昆虫研究のために黙々としてその一生をささげた。学問の国フランスは、彼をフランスの誇りであるとし、親しく文部大臣をして駕をげしめ、フランスの名に於て懇篤なる感謝の意を表せしめた。一小学校長たる牧口常三郎氏は、あらゆる迫害あらゆる苦難と闘いつつ、その貴重なる全生涯を費して、終に画期的なる『創価教育学』を完成した。文化の国日本は、如何なる方法によつて、国の誇りなるこの偉大なる教育者を遇せんとするか」
 この言葉を受けて、戸田先生は激しい口調で叫ばれた。
 「日本の国家が、先生を遇したのは、じつに牢獄における死によってでありました。(中略)私は弟子として、この先生の遺された大哲学を、世界に認めさせなければならない。(中略)私の代にできなかったなら、諸君たちがやってください。頼みます」(同前)と。
 当時、私は二十五歳。戸田先生の言葉は、若き生命にしかときざまれ、清列な光を今も放っている。ゆえに私は″厳粛な師の叫びを絶対に虚妄にしてはならない″との思いで、今日まで行動し、走り、力を尽くしてきた。
 そして、奇しくも学会創立六十周年を前に、初の英語版『創価教育学体系』が出版された。戸田先生こそ、最大に喜んでくださっているにちがいない。(拍手)

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