Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第二回SGIスイス総会 勝利の人生は楽しき人生

1989.6.17 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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1  「永遠の降伏」へ確かな軌道
 六年ぶりに、我が愛するスイスの皆さまの、お元気な笑顔を拝見でき、本当にうれしい。
 なかには遠隔えんかくの地から集われた方々もいらっしゃる。心より、皆さまの労をたたえ、感謝申し上げたい。
 人生の目的は何か。それは「幸福」である。信心の目的は何か。それは成仏すなわち「永遠の幸福」である。
 「幸福」になるためには、健康も大切である。社会的な確かな基盤も必要となろう。それぞれの人生の、それぞれの道で、自分らしい″勝利者″になってこそ、幸福はある。そのためには、いかなる世界であれ、真剣な努力をしなければならない。それが道理である。まして私どもの目的は三世にくずれない「永遠の幸福」である。それを我が生命に築き上げるための仏道修行である。
 その過程においては、当然、さまざまな出来事がある。苦しい坂もある。しかし強盛なる信心さえあれば、必ずやすべてが生かされ、「永遠の幸福」を育てるかてとなる。このことは経文に、御書に明確に説かれている。ゆえに皆さま方は、だれよりも確信強く、だれよりも朗らかに、そしてだれよりも勇気を持って、栄光の″わが道″を歩み通していただきたい。
2  本日は、ここスイスにゆかりの深いアインシュタイン博士のことに少々ふれておきたい。
 ご存じのように、博士はチューリッヒのスイス連邦工科大学を卒業し、その後も長くスイスで活躍している。かの「相対性理論」もスイスのベルンの地で誕生した。また、博士自身、スイス国籍を取得し、終生、このスイスの美しき国土と人間性豊かな人々を愛し、誇りとしていた。
 アインシュタイン博士は語る。
 「私はスイスの人たちが好きです。というのは、私が他の場所で暮したときの人たちよりも、全体的によりヒューマンだと思われるからです。これに加えて、私はスイスに敬意の念をもっております。というのは全体にヒステリーの時代にあってつねにかなり理解ある政権をもち、外部の圧力にも首尾よく抵抗しとげたからです」(フリュキガー『青春のアインシュタイン』金子務訳、東京図書)と。
 このアインシュタイン博士の心情には、私も深い共鳴を覚える。日本の九州ほどの小さな国土で、また少ない人口(約六百六十万人)でありながら、皆さまのこの国はさまざまな圧迫をはじき返して二世紀にわたる永世中立を貫き、世界に冠(かん)たる歴史を刻み残している。
 万般にわたって、たとえ少人数であっても、高き理想を共有する人間のきずなほど強いものはない。
 先日、あるフランスの女性のメンバーの方から、私ども夫婦にいただいたお手紙の中にも、「皆が一体となれば、我々の前に敵はない」との言葉が引かれてあった。私は、その凛然りんぜんたる確信に感動した。
3  さて、アインシュタイン博士は、旧友であるベルギー王国のエリザベート女王にあてた手紙の中でこうつづっている。
 「結局のところ、永遠なるものにかかわるのがやはり最善です。というのは、人間の世界に平和と平穏を取り戻すことのできる精神はそこからのみ流れ出るからです」(デュカス、ホフマン編『素顔のアインシュタイン』林一訳、東京図書)
 私どもは、妙法という「永遠不滅の法」にめぐりあうことができた。そして、日々、その大法を行じ、学びつつ、「生死」という、人間の永遠にして根本の課題の打開に挑んでいる。また、友へ、社会へ、世界へ、希望と平和の光を送りゆかんと行動を積み重ねている。この人類史の先駆のほまれを、深く強く自覚してまいりたい。

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