Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

イギリス広布28周年代表者会議 「蘇生」と「歓喜」と「希望」の前進を

1989.5.24 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

前後
1  光満つ躍動の″五月の心″で
 ただ今、「イギリス婦人部ローズ合唱団」の素晴らしいコーラスをかせていただいた。何と尊く、崇高すうこうな歌声であろうか。
 世間には超一流のオペラもある。合唱もある。だが、皆さまの調べには、市民の勝閧かちどきの笑顔がある。真実の人間のたましいの叫びがある。生命の輝きが素晴らしい。
 皆さまが歌った歌詞の中に「私の誇りは奪うことはできない」とあった。その一節に「私の信心は奪うことはできない」「私の愛情は奪うことはできない」との、皆さま方の透徹とうてつした信念の声を聞いた思いがする。私は、生涯、本日の歌声を忘れることはないでしょう。真心で熱唱してくださった方々に、あらためて「本当に、本当にありがとう」と申し上げたい。
 美しきテムズの流れとともに、二千年もの歴史を刻んできたタプローの丘に、かくも堂々と「哲学」と「文化」の城が荘厳そうごんされた。これも、すべて、みなさま方の営々たる努力と汗の結晶である。私は合掌がっしょうする思いで、重ねて最大の敬意と感謝を表したい。
 今やタプロー・コートは、全世界の同志が見つめるあこがれの地となった。その光輝にみちた舞台で、このように晴れがましく、イギリス広布二十八周年を祝賀することができ、心から″おめでとう″と喜びのメッセージを贈りたい。諸天もこぞって祝福しているにちがいない。
2  かつて貴国の青春詩人キーツはうたった。
   英国は幸せだ! この国ほど豊かなみどりは
  どこにも 心ゆくまでは見られないと思う。
  崇高なロマンのかおる 大きな森の
  木立に吹くほどのそよ風も 他国には感じられないと思う。
  (『キーツ全詩集1』出口保夫訳、白鳳社)
 キーツは、祖国の豊かさ、美しさを率直に、愛情を込めてうたいあげている。
 イギリスは、豊かな自然に恵まれた風光明美の天地である。とくに、この五月のイギリスは、生きとし生けるものすべてが躍動している。緑とそよ風が、ひときわ心地よい。私は、この季節を、世界で最も美しいと感じている一人である。これまでの訪問の多くは五月であったが、まことに幸運であったと思う。
3  今は、花も美しい。ここタプロー・コートには、婦人部の皆さま方が丹精込めて育ててくださった花々が一斉に咲き乱れ馥郁ふくいくと香っている。今まさに、わがイギリスの同志も、季節にたとえれば、歓喜と若さと向上と希望みなぎる五月のごとき、時を迎えたと、私は申し上げたい。皆さまには、偉大なる発展の未来が開けている。
 イギリスでは″三月の風と四月の雨が、五月の花を連れてくる″というとうかがった。まことに妙なる天然の調べである。
 法華経には「人華にんげ」という美しい言葉がある。法華経「薬草喩品」に「仏の所説の法はたとえば大雲の一味の雨をって人華にんげうるおしておのおのることを得せしむるがごとし」(開結二九二㌻)と。
 ――仏が説く法は、たとえば大きな雲が、同じ味の雨によって、平等に人華(人間の花)を潤し、それぞれに実を結ばせていくようなものである――。
 人生には、さまざまな花がある。「富」の花や、「名声」の花にいしれる人も多い。「権勢」の花や、「安逸」の花におぼれる人も少なくない。しかし、それらの花は、無常の移ろいをまぬかれることはできない。また、自己満足の閉ざされた喜びで消えさってしまう場合も多い。いくら華やかであっても、虚飾にいろどられたものは、決して長続きはしない。人生の深き価値の結実もありえない。
 だが、たとえ地味であっても、正しき信仰に徹していく中で咲かせた、我が生命の「花」は、何ものにも侵されることはない。永遠にして尊極なる成仏の境界へと、必ず実を結んでいく。三世永遠なる幸福の実をつけることができる。そして、それは、自分のみにとどまることなく、民衆の大地に、「蘇生」と「歓喜」と「希望」の種子を、限りなくき、広げていくことができるのである。

1
1