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日蓮大聖人・池田大作

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第十四回全国青年部幹部会 強き君ありて限りなき未来

1989.4.25 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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1  生々世々に大福運の境涯
 新しき時代の力、新しき広宣流布の力である青年部の第十四回全国幹部会の開催を、心から祝福申し上げる。
 一日の仕事を終え、遠路、駆け付けてくださった諸君である。なかには、疲れている方もあろう。本来なら、もっとゆっくりと、食事をしたり、少々休憩をとってからとも思うが、会場や時間の都合で、そうもいかず、気の毒な思いでもある。しかし、そのような中、広布の集いに参加することが、いかに素晴らしいことであるか。
 「法華経随喜功徳品第十八」には、次のような一節がある。
 「また人有って講法こうぼうところに於てせん。さらに人のきたること有らんに、すすめて坐してかしめ、若しは座をわかって坐せしめん。の人の功徳は、身を転じて帝釈の坐処ざしょ、若しは梵天王の坐処、若しは転輪聖王てんりんじょうおう所坐しょざの処を得ん」(「妙法華経並開結」五三五㌻)
 ──もし、ある人が妙法の説かれる場に座し、さらにあとから来る人があれば、席を勧めて法を聞かせてあげ、また、自分の席を譲り分かって一緒にすわらせてあげるならば、その功徳によって、この人(席を勧めるなどした人)は、未来世に帝釈天のすわる場所、あるいは梵天王のすわる場所、転輪聖王のすわる場所を得ることができる──と。
 妙法を信じ、広宣流布のために行動しゆくならば、福徳を重ね、まさに王者の境涯と使命を得ることができるとの経文である。
 折伏に励み、友と広布の集いに一緒に出席する。またそうした人々を創価班、城会、白グループ等の方々が、「ようこそ」と真心の笑顔で迎えることなども、この経文に説かれた意義に通じていこう。
 このように、日々の地道な活動の中で、じつは、計り知れない功徳が我が身に積まれているのである。そして、生々世々、今世の姿からは想像もつかないほどの大福徳の境涯で生まれ、数多くの同志を悠々ゆうゆうと守れるような立場となって、正法のために働いていくことができる。その限りない連動の中で、広宣流布は、全地球上に、壮大に展開していく。
2  友好の虹の橋も地道な対話から
 先日(4月二十三日)、ボリメル・ソ日協会会長(ソ連海運大臣)と、二時間四十分にわたり会談した。
 経典では本来、ソ連の地域は、仏教とは縁の薄い国土とされてきた。しかし、ソ連の人々も、ともに地球の未来を担う大切な方々である。人類のため、将来のために、私は仏法者として、とくに時間をかけて語り合い、深い友情をつちかっておきたいと念願している。
 ところで、モスクワ大学の創立者で、ロシア近代科学の祖であるロモノーソフの詩に、次のような一節がある。
  君の持てる剣とやりは不幸をもたらす
  私はすきくわをもって大地を耕そう
  すべての畑は永遠に豊かであり続けよう
  君の冷酷な権力をくつがえし
  いくさと反目の地をフローラの(=春と花と豊かな実りの神)花もて飾らん
 ここでいう「君」とは、いわば戦争と野蛮やばんの象徴である。それを乗り越えゆく「平和」と「文化」の道を探り、「友好」の大切さをうたいあげた詩といえよう。二百年も前の先人も、この確かな道を見詰めていた。
 モスクワ大学のログノフ総長との対談集を、私は『第三の虹の橋』とした。それも、日ソの間に、新しい「平和」と「文化」の虹の橋をかけていきたいとの思いからであった。
 ボリメル会長との会談でも話題となったが、ソ連のことわざに「一滴一滴が集まって海になる」とある。友情の大海原を広げ、友好の虹を築くためにも、一人一人との出会いを、そして一回一回の交流を、地道に積み重ね、続けていく以外に道はない。一挙に作り上げた安易なものは、一遍に崩れ去ってしまうものだ。
 これは広布の活動にあっても、方程式は同じである。地道な個人指導、粘り強い対話の積み重ねによってのみ、確かな広布の流れは築かれ、やがて大海原のごとき舞台へと広がっていくのである。
 ロシアの大地で、自由をうたった十九世紀の詩人ヤズイコフは、プーシキンの友人でもあった。彼は、詩「舟人」で次のようにうたう。
3   海の上を雲が走り
  風がつのり なみの色がくろずんでくると
  いよいよ嵐だ。 そうだ われらは
  嵐ときもをきそってやろう。
  同胞はらからよ 勇気を出せ! 雷雲は鳴りわたり
  海のおもては煮え
  波は怒って高々と立ち
  深海はさらに深まさるとも!
  嵐の彼方には
  空はくもらず
  しずけさも去らぬ
  幸せの国がある。
  ただ波がそこへ連れて行くのは
  たくましい者だけだ!……
  気を出せ 同胞よ わたしの帆船は
  嵐をはらんでもくつがえりはせぬ!(樹下節訳『世界名詩集大成12・ロシア篇』所収、平凡社)

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