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第十三回全国青年部幹部会 光輝ある人生の自分史つづれ

1989.3.4 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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1  写真をとおして世界の平和と文化に貢献
 風の暖かな季節がやってきた。伝統を刻む本日の青年部幹部会には、ブラジルをはじめ、アルゼンチン、メキシコ、ドミニカ、イギリス、オーストラリア、デンマーク、コートジボアール、スウェーデンの各国の代表も参加されている。まず、本日お集まりの皆さまに「ようこそ。本当にご苦労さま」と心から申し上げたい。
 本日は土曜日で、普通なら家でゆっくりしていたいところを、大勢の方々が集まってくださった。春風の薫りを分かち合うような気持ちで、懇談的に話を進めさせていただきたい。
2  はじめに、さきごろ秋谷会長から設置構想が発表された仮称「世界写真文化会館」についてふれておきたい。
 なぜ写真の会館が必要なのか、と思われる方もあるかもしれない。それは、創価学会は、仏法を基調とした「平和」「文化」「教育」の運動を、世界的規模で推進している団体であり、そのなかで写真には、文化としての大変に重要な役割があると考えているからである。
 こうした発想をいだくようになったきっかけは、今から十数年前にさかのぼる。秋谷会長がある著名な文化人と懇談した折、次のように語っていたという。
 「日本のカメラ機器は世界的に優秀だ。しかし、写した写真への文化的な評価は十分になされていない。機器を売るだけで、写真と人間との関連性、文化・芸術とのかかわりがなければ、単なる金もうけだ。それでは日本人としてあまりに恥ずかしい」と。
 この話を聞いて、私もその通りだと思った。そして、いつの日か、写真文化の向上に寄与していく施設をとの思いを温めてきた。それが、今回の「世界写真文化会館」の構想となったのである。これは現在、秋谷会長を中心に準備が進められている。
 また聖教新聞社主催の「聖教写真展」も、写真文化の興隆のために、との思いから提案させていただいたものである。同展は各地域で着実に根を張り、本年で第十九回を数える。さらに、私の撮影した写真の展示も、多くの方々の励ましをいただきながら、「自然と平和との対話」等と銘打って、各地で開催させていただいている。
 これらの展示には、識者からも「大変な時代の先取りである」との評価が寄せられている。こうした積み重ねのなかで多くの人々に波動を広げ、ゆったりとした、うるおいのある広宣流布の流れができていることも事実である。
 私どもの信仰実践は、あくまで折伏精神が根本である。その上に立って、平和・文化・教育の興隆への具体的な活動は、時代にかなったいき方をとらなくてはならない。万年への広宣流布の土壌をつくるためにも、その時代の状況を見極めながらの行動が大切である。
3  昨年二月、タイ王国のプーミポン国王陛下と会見した。国王は大変に写真に親しまれているとうかがっていたので、ぜひ作品を展示させていただきたい。ご自身の作品の中から二〜三枚でも、たとえ一枚でも、出品していただければとお願いした。
 すると国王は、何と百枚以上の作品を提供してくださった。これには、日本やタイの関係者らも「かつてない素晴らしいことだ」と一様に驚いており、きたる四月に開幕することになっている。
 また私は、近いうちにスウェーデンを訪問したいと思っているが、同国の国王も大変に写真がお好きだとうかがっている。″国民の姿を写真にっておきたい″″我が国の写真を残しておきたい″との心情が察せられる。
 私もたまに、カメラを手にする。これは″美の世界″、そして法戦にまい進しゆく同志の広布の舞台を残しておきたいとの思いからである。
 ともかく、写真は身近な生活の中ではぐくまれる芸術である。また受動的態度におちいりやすいテレビ時代の今日において、写真は、より深く人間性を追求し表現していく一つの道となっている。そうした写真のもつ役割を通して、世界の平和と文化に貢献していく──そこに、「世界写真文化会館」の意義があるとお考えいただきたい。

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