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日蓮大聖人・池田大作

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第11回本部幹部会 ″信心の丈夫″の道を一筋に

1988.11.30 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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1  ″地道″″真剣″の人に栄冠
 本日ご参集の皆さま方に″寒いところ、また遠いところ本当にご苦労さまです″と申し上げたい。
 本日は、12・2「文芸部の日」を記念する勤行会も開催され、この会合にも多くの文芸部の代表の方々が参加されているとうかがっている。文芸部の皆さまは、日ごろ各地のセミナーや講演を担当してくださり、私のもとにも″大変に感動した″等々の共感の声や手紙が数多く寄せられている。この席をお借りして、文芸部の皆さまに心より御礼申し上げる次第である。また、そのほか芸術部、ドクター部などの方々にも各種会合などで多いに活躍していただいている。なかでも芸術部のセミナーはとりわけ反響が大きいようで、″副会長が十人ぐらい来るよりも人気がある″との声もある。友人の方々も喜んで、帰りには入信を決意されるというケースも多いと聞く。
 また学術部の講演も、じつに鋭く深い洞察に基づいた、素晴らしい内容のものが多い。時には″むずかしくて、よく理解できなかった″という場合もあるようだが――。ともあれ、広布と社会の″光″である文化本部各部の皆さまのご努力に、私は最大の敬意と感謝を表したい。
2  戸田先生が第二代会長に就任された昭和二十六年五月――。当時二十三歳の私は、蒲田支部の大森地区委員の任命を受けた。現在でいえば地区部長の立場にあたる。
 私も、本日参加の皆さま方と同じように、地区、支部の第一線の役職を務めてきた。戸田先生は、将来のために私を決して甘やかさず、すぐには高い役職に任命されなかった。同僚の役職がどんどん上がっても、私はいつも地味な部署で戦っていた。
 当時、戸田先生の事業は危機に陥っており、大変な額の負債もあった。私はその先生の事業を支えに支えながら、一方で懸命に時間を生み出して弘法に走った。当時、私は日記に次のように記している。
 「先生、必ず吾が地区も前進させます」「吾が大森地区が心配でならぬ。地区が完璧になるよう、御本尊に祈る」「吾が地区も頑張らねばならぬ。……自分が頑張ることだ。自分が責任を持つことだ」と。
 私には″戸田先生の構想をなんとしても実現したい″との一念しかなかった。たとえどんなに小さな組織であっても、自分の担当した地域に全魂を注ぎ、広布の城を完璧に構築していくことだ。千里の道も一歩からである。現実の自分の足元から広布は進むのだ――こう決意して私は戦った。
 「地道」であっても、強い「責任感」をもって「必死」の取り組みができる人は、どこへいっても勝利の道を開くことができる。反対にそれができない人は、何をやっても中途半端になる。私は広布のために、どんなに地味で小さなことでも全力でやりきり、勝ち抜いてきたつもりである。「信心」の精髄、また「師弟」の強い絆といっても、こうした地道な努力と戦いなくして絶対にありえないからである。
 この精神は、その後の文京支部、男子第一部隊の時代においても、また関西や山口の法戦においても、まったく同じであった。どこにあっても私は命懸(が)けで戦いきった。その歩みにいささかの悔いもない。
 どこまでも広宣流布のために、戸田先生と「師弟一体」の戦いであった。″ここで勝てば、戸田先生に安心していただけるだろう″″ここに手を打っておけば、学会員が守られるだろう″――。私はつねにそのことを考えながら、今日まで広布前進の先頭に立って勝利の指揮をとってきた。これからも全く変わらぬ覚悟で、皆さまとともに進んでいく所存である。
 そうした青春の日々、激務のなかにも私の胸にはつねに美しい詩歌があった。大森方面も、当時は緑も豊かに輝いており、打ち寄せる波も白く清らかであった。私は自然を友とし、太陽と語り、星と語りながら、人生と広布のロマンを大空に思い描いた。一切は生命に満ち、生命は希望と歌に満ちていた。
3  エドゥアルド・カランサといえば、コロンビアの有名な詩人である。彼はある機知に富んだ詩の中で「すべてがうつくしい」と、次のようにうたっている。
   すべてがうつくしい 野原の緑
   風はダイヤモンドの口笛を吹き
   風のなかにくっきりうかぶ枝
   椰子の木のうえの光。
 そして彼は次々と南の国の自然と人生の美しさをうたいあげていく。清らかな詩人の眼は、つねにいたるところに美の宝石を見いだす。詩人にとって、すべては汚れなき″生命の歌″である。さらにカランサは記す。
   生き そして死ぬこともうつくしい。
   太陽、月、無垢の万物、
   すべてがうつくしい、ぼくの心を除いて。
         (田村さと子訳、世界現代詩文庫(7)『ラテンアメリカ詩集』土曜美術社)

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