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日蓮大聖人・池田大作

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文京、北、板橋区記念支部長会 日々健康、無事故で

1988.11.11 スピーチ(1988.5〜)(池田大作全集第71巻)

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1  真の仏法者は「生老病死」の勝利者
 菊花薫る十一月十八日の「創価学会創立記念日」を前にして、ますます福運に包まれゆく支部長、婦人部長の皆さま方と、広宣流布のために語り合えることは、私にとって無上の喜びである。私は、日夜、広布の第一線で活躍されている皆さまに、″毎日、本当にご苦労さまです″と申し上げ、その労を心からたたえたい。
 本日、まず、皆さまにお願いしたいことは、くれぐれも健康や事故などに留意していただきたいという事である。一年のうちでも、特に十月から翌年二月末までの間は、病気になる人が多い時期といわれる。また、火災や交通事故も増加する季節でもある。
 尊い広布の使命に生きゆく大切な皆さま方が、ちょっとした不注意や無理から、病気や事故や火災で苦しむようなことがあっては絶対にならない──そんな思いから私も、交通事故がないように、火災が起こらないように、そして皆さま方がいつも健康で、はつらつと人生を歩んでいけるようにと、日々真剣に、御本尊に御祈念している。
 真の幸福と安穏は、身近な生活のなかにこそある。そのための御本尊への強い祈りと生活上の十分な注意を決して怠ってはならない、と申し上げておきたい。
2  入信してまだ間もない、昭和二十三年の秋ごろだったと記憶している。私は、戸田先生の法華経講義を受けるにあたって、東京・神田の古本屋で「法華経」の本を買い求めた。今でもその本は、青春時代の宝物として、大事にとってある。
 読み始めた当初は、難解だったが、読み進むうちに、″ああ、これは素晴らしい言葉だな″と感じたところがあった。それは、大変に有名な「譬喩品第三」の一節で、次のような文である。
 「三界さんがいやすきことなし なお火宅かたくの如し 衆苦しゅく充満して はなは怖畏ふいすべし常に生老病死の憂患うげん有り かくの如き等の火 熾然しねんとしてまず」(妙法華経並開結二三三㌻)──この世界は安らかではなく、燃えている家のようなものである。多くの苦しみにみちみちており、とても恐ろしく、常に生・老・病・死の憂いとわずらいがある。このような火が燃えさかっていて、やむことがない──。
 この文を読んで、私は″ああ、そうだな。その通りだな″と、思わず相づちを打った。終戦直後という時代状況であったからかもしれない。個人においても国家においても、また世界においても、この文の通りであった。まさに「衆苦充満」の様相を呈していた。
 そして、「こうした苦しみから人間を解放し、困難を解決しゆく仏法ならば、一生をかけてみよう。戸田先生は、この仏法のために、人類の平和のために牢にまで入られた。自分も、仏法の探究者として、どこまでも生き抜こう」──こう私は決意し、立ち上がった。
 青年のみずみずしい心に描いた真実の理想は、若き日の苦闘の思い出とともに深く深く生命に刻まれ、今も私の胸の奥に、高らかに鳴り響いている。
 以来四十星霜──。胸部疾患など、昔から体が弱く、三十歳まではもたないだろうといわれたが、広布の道をひたすら走り続けて、間もなく六十一歳。ここまで生き、戦ってこられたのは、妙法の力用のゆえか、まさに不思議といわざるをえない。
 真の仏法者は、″生老病死の勝利者″である──私はその確信を貫き通してきたつもりである。私には、毎日が真剣勝負であった。「臨終只今」の日々であった。″たとえ、きょう死んでもよい″との決意の法戦であった。この素晴らしき妙法に生き抜いてきた私の人生には悔いはない。
3  妙法のナイチンゲールの尊き使命
 学会には、ドクター部、白樺会、白樺グループという、医師、看護婦さん等の立場で活躍されている方がたくさんおられる。病に悩む人々とじかに接し、生命を守りゆく仕事は、並大抵の心構えではできるものではない。的確な判断と冷静な対応、そして何より忍耐と慈愛に貫かれた人格が要請される職業だといえよう。
 その意味から、どのような仕事にもそれぞれの使命と役割があるが、特に私は、妙法を持ち、医療の現場にたずさわる方々の献身と労苦に、心から敬意を表したい。
 白樺グループのリーダーの話が心に残っている。
 かつて自身の将来と広宣流布への使命について真剣に考えた時、「ともかく、生命がこの世で一番大切である。生命を守りきっていく妙法はさらに大切である。その妙法流布に励む方々を守りたい」と思った。そして、自分は″無名のナイチンゲールになろう″″「妙法の看護者」として、この一生を捧げよう″と心に決めたという。
 今も変わらぬ、その姿には、生命を慈しむという、自らの使命に生き抜こうとの健気けなげな決意があふれている。この話を聞いて私は、「ああ、偉いな」と思った。名誉や地位や見栄みえからではない。地涌の使命を果たしゆかんとする澄んだ信心の輝きを感じた。彼女のもとで、どれほど多くの人が励まされ、多くの後輩が育っていったことか──。
 ある時、彼女と話した際、彼女は、以前に読んだ医療に関する本のことを感動を込めて語り、その内容をメモにしてくれた。本日の会合には、やや頭が光をおびてきた方や、太りぎみの方で、成人病にかかりやすい年齢に入った方もおられるので、大切な皆さま方の健康を守るという意味からもこの本について紹介しながらお話ししたい。
 なお、その際のメモをそのまま使わせていただくので、多少、本との表現の違い等があるかもしれないが、どうかご了承願いたい。

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