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日蓮大聖人・池田大作

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第三回全国婦人部幹部会 人類希求の黄金郷運動で

1988.9.7 スピーチ(1988.5〜)(池田大作全集第71巻)

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1  きょうも少々、ゆったりとした気持ちで、懇談的に、お話しさせていただきたい。
 先日、ある少壮の学者が語っていたようだ。
 「仏教の真の運動は、必ずや文化運動として花開く。また、平和運動を志向していくとともに、幅広い教育運動にもつながる。さらに、価値ある生活の源泉ともなり、人間の覚醒かくせい運動となっていく」と。
 まさしく、真実の言である。私どもは、仏法を基調に、自身と社会の向上を目指し、世界に開かれた幅広い活動を推進している。それが、いかに、宗教運動として正しい在り方であるか。その重要な証言の一つとして、この言葉を申し上げた次第である。
2  先月の末、私は、コロンビアの、若き知性的なドゥケ大使と会談した。
 コロンビアといっても、なじみが薄い人もあろう。皆さまのなかにも、聖教新聞の報道を見て、子供さんに聞かれた人がいるかもしれない。「お母さん、コロンビアって、どこの国なの?」「マァ、そんなこと分からないの?しようがないねぇ。ちっとも勉強しないんだからぁ。コロンビアは、アフリカのまんなかにある国よ」――まさか、こんな人はいないと思うが、知らないということは、まことに恐ろしい。そこで、一層、友好を深める願いも込めて、この国について、簡潔に紹介しておきたい。″知ること″は、自分の心の世界を広くするからである。
 いうまでもなく、コロンビアは、南アメリカ大陸の北部に位置する国である。面積は、日本の約三倍。国の南部を赤道が走る。国土の半分以上はアマゾン川の上流域で、ジャングル地帯となっている。が、国の東部には「リャノス」と呼ばれる大草原が広がる。また北西部には、南米大陸を貫くアンデスの山脈もそびえるなど、変化に富んだ、雄大な自然に恵まれた国である。
 アンデスには、五千メートルを超える火山がいくつかあり、山頂には、万年雪をいただいている。一方で、うっそうたるジャングルをいだきながら、彼方かなたに、白きかんむりの高山を望むこともできる。太古より変わらぬ大自然の絶妙なコントラスト(対比)――それは、まさに壮観であろう。
 アンデスの万年雪というと、懐かしく思い起こすことがある。かつて、著名な経済学者の故・大熊信行おおくまのぶゆき氏と、何度か懇談した。氏は、つねづね、私の信念や行動に理解を寄せてくださり、あるとき、「池田先生の労苦は、アンデスの万年雪のように積もっているでしょうね」と話された。人生の大先輩に、このようにねぎらっていただき、恐縮した次第であるが、その大きく、温かなお心に、私は感動した。氏が亡くなった今となっては、本当に懐かしい思い出である。
3  「コロンビア」の名は、アメリカ大陸の発見者コロンブスにちなんでいる。コロンビアは、ブラジルに次ぐ、世界第二位のコーヒー生産国であり、そのコーヒーも、やはり「コロンビア」と呼ばれる。
 このコーヒーは、比較的小規模の農園で、丹念に栽培され、時間をかけてゆっくりと乾燥される。ここに「コロンビア・コーヒー」のうまさの秘訣ひけつがあるといわれ、その香りは、まさに逸品いっぴんである。
 鉱物資源にも恵まれているが、なかでもエメラルドは、全世界の八〇%を産出している。エメラルドは、「希望」「幸福」等を象徴する宝石として、昔から尊重されているが、そのあざやかなグリーンの輝きは、緑したたるコロンビアの国土のシンボルでもあろう。

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