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日蓮大聖人・池田大作

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第六回全国青年部幹部会 広布の太陽へ青年よ走れ

1988.7.10 スピーチ(1988.5〜)(池田大作全集第71巻)

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1  深き哲学で社会うるおす人材群を
 ここ渋川は″日本のへそ″といわれ、日本列島のほぼ中央に当たる地域である。この″日本の中心″で、第六回全国青年部幹部会がはつらつと開催されたことを、心から祝福申し上げる。
 この数年、青年部の諸君の成長と活躍の姿は、まことに素晴らしい。秋谷会長のもと、浅見青年部長を中心とした広宣流布と平和への前進、組織の充実、様々な戦いへの挑戦、そして陸続たる人材の輩出等々、まさに瞠目どうもくすべきものがある。
 また、社会のどの分野にも、諸君、ならびに青年部出身者の凛々りりしい姿が見られる。教育界にも、医学界にも、経済界、法曹界、芸能界、そして政治の世界にも、妙法の友は社会に貢献しながら、幾重にも信頼の輪を広げている。
 こうした姿を見るにつけ、私は、広布の未来は盤石である。いかなる波浪はろうにも学会は微動だにすることはないと、確信してやまない。末法万年、世界各地へと向かう広宣流布の流れは、すでに滔々とうとうたる大河となり、今後さらに水かさを増して、限りなく人々の生命を、そして社会をうるおしていくにちがいない。
2  確かな哲学、指針を失った現代社会は、ますます混迷を深めているように思えてならない。刹那せつな的な楽しみ、瞬間的な面白おもしろさは追い求めても、人生の根本課題については考えようとしない。そうした、自身の生き方も、思想も哲学も何もない青年が増えていると痛感する。
 何のための人生か。何のための青春か──こうした真摯しんしな問いかけを忘れた生き方は、所詮しょせん浅薄せんぱくとなり、何の実りもないまま、青春を浪費し、うつろな人生となってしまう。
 過日も、中学生が両親と祖母を殺すという、衝撃しょうげき的な事件があったが、あまりにも痛ましい現実の姿といわざるをえない。多かれ少なかれ、こうした衝動性は、現代青年に共通したものといえよう。
 それだけに、とくに青年に対しては、確かな人生の哲学を語っておきたい。多少、難しい話になっても、なすべき話は、きちんとしておかねばならないと、私は強く決意している。それが、真の指導者の責務である。
 我が創価学会には、確かな人生があり、哲学がある。同志の連帯があり、生命の歓喜がある。先日、ある婦人が会合に参加し、驚嘆していたという話を聞いた。御書を学び、「平和」と「文化」を語り合う姿を見て、学会の婦人は、こんなにも高尚こうしょうで、難しいことを毎日、研さんしているのか、と。
 それが、どれだけすごいことかを、当の本人が気がついていない場合があるが、真剣に「人生」を求め、「社会」に貢献していく姿は、学会には数限りなくある。
 ところで、東京富士美術館で開催されていた「黄金の17世紀フランドル絵画展」が、六月末、好評のうちに幕を閉じた。本来なら私自身がベルギーに行って作品をお返しし、関係者に御礼を申し上げたい気持ちであったが、多忙のため、代理として同美術館の高倉達夫副館長に、私の親書を託し訪問してもらった。
 その高倉副館長が、ブリュッセルで、ベルギーのドフレーニュ国家顧問、ドワール・フラマン連邦政府文化大臣らと会見した。その席で、ドフレーニュ国家顧問が私にぜひ伝えてもらいたい、と次のように語っていたという。
 「池田SGI会長の平和への行動については、よく知っています。だから、名誉会長を中傷する声には耳を傾けませんでした。偉大な活動には波浪がつきものです。私はSGI会長の平和・文化への貢献に心から賛辞を送らせていただきます」と。
 過分の称賛であるが、この席をお借りし、ドフレーニュ国家顧問の温かなご理解とご厚情に衷心ちゅうしんより感謝申し上げたい。
 また同国家顧問は、政治家である自己の信条として(1)つねに働き続けること(2)人には穏やかに、自分には怒りを持つほどに厳しく(3)きょうしかないという精神を持って、きょうの仕事はきょう片づける(4)いつも五十年先を思い続け、長期の展望と未来への希望を持ち仕事をする、との諸点を語っておられたという。
 やはり、一流の政治家は、一つ一つの言葉が、まことに含蓄がんちく深い。私は感銘した。
 このように素晴らしき方々のご協力を得て″フランドル展″が実現したことは、創立者として大いなる誇りである。
3  同志に贈る真心の詩は永遠に
 さて、私は過日、神奈川の友に一詩を贈らせていただいた。それに対し、神奈川のある詩人の方が私のために返礼の詩をみ、ご自身の詩集とともに早速届けてくださった。それは、このほど私が「国連栄誉表彰」を受け、またアメリカ連邦議会の「青年平和国際賞」を受けることを喜んでくださっての、祝福の詩でもあった。
 真心の詩を贈り、また詩を贈られる──殺伐さつばつとした世相にあって、こうした美しき「心」と「心」の世界を私は大切にしていきたいと思っている。
 イギリスの大劇作家にして詩人でもあったシェークスピアのソネット(十四行の短詩)に、次のような一節がある。

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