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日蓮大聖人・池田大作

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第3回全国青年部幹部会 「生命の大法」で時代を蘇生

1988.4.29 スピーチ(1988.1〜)(池田大作全集第70巻)

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1  青年を慈しみ、青年に期待した代々の会長
 本日は雨の中にもかかわらず、全国から多くの青年部、また地元・世田谷区の同志の方々が集い、落成したばかりの講堂で、まことに盛大に5・3の記念行事を開幕することができた。特に世田谷の皆さまには、心から「おめでとう」と申し上げたい。
 本日もこの席におられるが、実は昨晩、世田谷に住む婦人部の幹部が「あしたは晴天で暖かく、素晴らしい天気で迎えます」と言ってくださった。ありがたい伝言であった。
 だが、今朝は雨であった。
 私は、その幹部に対してすぐに「電話をしてあげなさい。きっと悩んでいるはずだから」と、連絡をとってもらった。
 「きょうは、世田谷にあまりに立派な大講堂ができたので、たぶん諸天善神も気が動転してしまって、うれしいやら驚くやら、喜びの涙を流したりしているんでしょう。だから、がっかりしないで、安心してください」と伝言を託した。悩みを取り除いてあげることが、指導者の役目ですから。
 前日のうちにちゃんと天気予報でも見て、降水確率がどれくらいかを確かめてから言えばよかったものを。それもできないほど、皆さまを迎える準備に奔走していたのであろう。このように、心を敏感にとらえ、励まし合っていくのが同志というものだ。また、これは指導者として、私も常々、心をくだいていることである。
 ともあれ、「全国の青年部の諸君、また世田谷の皆さま、おめでとう」と心から祝福申し上げたい。
2  さて、三十一年前の昭和三十二年八月十八日、北海道の第一回体育大会が札幌で開かれた。私も主催者側の一人として出席した。
 戸田先生は、逝去の約八カ月前でお体も大変であったが、この大会に出席され、青年への期待を込めて、次のように激励された。
 「初代の会長は、青年が大好きだった。私も青年が大好きです。おおいにたのみとしている」と。
 これが第一声であった。戸田先生の言葉は、「社会」と「人生」の正しき軌道を明示した仏法哲理に基づいて、青年達の限りない成長と幸福を願われての「慈愛」の発露であった。
 戸田先生は、続けて言われた。「皆さんの双肩そうけんには、東洋の指導者として、人材として立っていく任務がかかっている。きょう、北海道の青年の姿を見て、おおいにたのもしさを感じている。日本民衆の先駆(さきが)けとして立っていくことを願って、私の訓示にかえる」と。
 もし戸田先生、牧口先生が本日のこの席におられて諸君の姿を見られたならば「いやー、すごいな」「うれしいな、うれしいな」と、どれほどお喜びになられることか。
 そのような光景を心に描きながら、牧口先生、戸田先生の「魂」を私の「心」に入れて、諸君をいつくしみ、守り、そして未来に期待し、一切を託す思いでお話ししたい。
3  人生を無限に開く妙法の力用
 戸田先生は、実にさまざまな逸話やたとえを通し、私どもに仏法の道理を分かりやすく教えてくださった。
 私はその一つ一つを胸中に刻み、自身の成長のかてとしてきた。
 若き日々を、恩師のもとで、一日一日、一瞬一瞬、誰よりも真剣に戦い学んだ。また純白な心のカンバスを、恩師の教えで染めぬく実践の日々であった。
 そのなかで、先生はよく、一切をよりよく変化させゆく妙法の無限の力用の譬えとして、病原菌と戦う「白血球」の話をされていた。
 そのお話のごとく、白血球の一種である「リンパ球」は、次々と体内に侵入してくる有害なバクテリアやウイルスと、熾烈しれつな「戦い」を繰り広げている。リンパ球がこの「戦い」に負けてしまえば、人体は病原菌に侵され、死に至ることもある。ゆえに一瞬たりとも、リンパ球は動きを止めない。
 しかも体を守るために戦うべき「敵」の種類は、あまりにも多い。いわば人間の身体、そして生命それ自体が、外敵との不断の「戦い」によって支えられているわけである。
 このことに関連して、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進博士の研究が、興味深い事実を解明している。
 すなわち、生命体のもつ「免疫めんえき」のシステムでは、遺伝子レベルの変化によって、体内に入ってきた実に一億種類以上の異物に対して、「抗体こうたい」をつくり出し、その異物を取り込んでしまうことができるという。
 したがって、たとえば宇宙ではじめて出あうような未知の外敵にも、即座に対処する力があるともいわれる。それはまさに、「限りなき生命の可能性」を示す一つの証左といってよい。

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