Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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東北各部合同研修会 一人の人間として強き勇者に

1987.7.5 スピーチ(1986.11〜)(池田大作全集第68巻)

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1  一人立つ精神の継承を
 人材グループのメンバーとして、広布の未来を担いゆく諸君と、このようにお会いでき、うれしい。諸君は、これからの人である。未来の可能性は無限であり、活躍の道は洋々と開けている。これまでも、数多くの人材グループが結成されてきたが、使命を自覚したメンバーの成長は著しく、それぞれの分野で広布を担い活躍しておられる。退転者も少ない。本当にすばらしいことだ。本日は、限りない希望と未来性に満ちた諸君とお会いし、私は、欣喜雀躍きんきじゃくやくの思いである。
 さて、正法を信奉する信仰者として在るべき姿とは、何か。それは、生涯、否、永遠にわたり生きる「希望」を失わないことである。常に大いなる希望に燃え、人生を前向きに進んでいく、その積極的な生き方が、信心のあかしともいえよう。
 現代は、良かれあしかれ″マスコミの時代″である。かつて大宅壮一氏が、テレビ時代をとらえて「一億総白痴化時代」といったが、今日、マスコミの影響は実に大きい。テレビなどのマスコミに登場しさえすれば″われ、偉し″との錯覚を抱きがちであるし、人々もあこがれをもつ。それは、つくられた虚像の世界に漂い、翻弄されている現代の一現象と鋭く見ぬき、憂えている人も多くいるようだ。
 諸君は、いわば華やかな虚像を実像と見まがうような世界の中で、確かなる実像の青春時代を生きている。未来に生きゆく諸君は、虚像の現象と人生に、決して惑わされてはならない。むしろ、今こそ、広宣流布がなされゆく絶好のチャンスだととらえて、人格を磨き、自分自身を築く、成長の日々であっていただきたい。
2  戸田先生は、ここ仙台の地をこよなく愛され、生前、何度か訪問されている。私も、お供をしたことがあり、青葉城址で、種々懇談していただいたことが、まことに懐かしい。ここ仙台には、いくつもの戸田先生との″人生の師弟″の歴史と物語が刻まれている。
 その戸田先生が、昭和二十九年(一九五四年)の第二回女子青年部総会で「女子部に与う」と題して講演されたなかで、次のように述べられている。
 「いかなる事件にであうとも、いかなる事態に即しようとも、ただ一人立つということが大事なのです。青年部は、男女二万の数があると思うが、この人々が、二万が立たねばならぬということではなく、一人、ただ一人立てばよい。ただ一人立つ確信をもって立つところに、いっさいの仕事ができあがるのです」(『戸田城聖全集 第四巻』)と。
 まことに要をえた、重要な指導である。私どもの人生にも、また広宣流布の歩みにも、様々な障害や深刻な事態があろう。その時、困難のカベに向かい、敢然と″一人立つ″ことが、肝要であり、その後の前進への一切の出発となる。
 ″一人立つ″ならば、必ずや、あとに二陣三陣と、同志の陣列が続くであろう。また、″一人立つ″強き一念をもつ時に、自身の境涯は大きく開け、人間としてのすべての成長が始まる。ゆえに、諸君は、大きな組織にあろうと、小さな組織にあろうと、自らのおかれた立場にあって、広布の目的に凛々しく″一人立つ″勇者であっていただきたい。
 私もまた、何度か学会が苦境にあったとき、いずれの場合も責任者としてあらゆる攻撃の矢面に立ち、同志を守り、戦いぬいてきたつもりである。戸田先生もまた、そうであった。″一人立つ″精神こそ、学会のゆるがぬ伝統精神である。諸君も、この伝統を、しかと継承していくよう心から期待したい。
3  フランス革命を開いた一婦人
 さて、ここで、十八世紀のフランスにあって、″一人立って″生命の尊厳を訴え、厚い権力のカべを打ち破り、フランス革命の口火を切った一婦人について紹介したい。私も、若き日にこの女性について読み、まことに強い感銘を受けたことを覚えている。
 二十年ほど前、私は「生命の尊厳をまもる者へ」と題し、詩をんだ。その一節に
  団結と幸福と解放と
  最も地道に もっとも迅速に
  生命の尊厳を 身をもって護るものよ
  永遠の平和と繁栄は
  いずこにあるものでもない
  あなたたちの――
  純粋な 力ある胸中にこそあるのだ(『詩集 青年の譜』)
 とうたった。この時の詩想のうちには、大革命の序曲を奏でた、このフランスの一婦人に対する尊敬の思いがあったことを、懐かしく思い起こす。

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