Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

東京・神奈川の記念合同本部長研修会 仏法は″人格″尊ぶ行動のなかに

1986.11.29 スピーチ(1986.11〜)(池田大作全集第68巻)

前後
1  伝統性と近代性をあわせもつ学会
 本日は、遠いところ、また寒いなかのご参集に、心からご苦労さまと申し上げたい。
 先日、東大、京大、慶応、早稲田、創大、お茶の水女子大、東京女子大、日本女子大など十数校の学生達が懇談していた。信心をしている学生もいたし、していない学生もいた。そこでは「日本の将来」や経済論、科学論、政治論、国際論などさまざまな分野について、思い思いに意見を言い合っていた。
 その中で私が興味を引かれたのは、宗教観についての論議だった。面白いことに現代の若者は、企業のイメージと対比させながら語っていた。つまり、今日、発展している企業は「トヨタ」「ホンダ」「ソニー」「ナショナル」「ニコン」「ミノルタ」など、非常に近代的センスに富んだ名称を使っている。それに対して、古くさい名称は親近感がわかない。宗教も同じような気がする。
 「浄土真宗」とか「真言宗」「日蓮宗」「仏立宗」「黄檗宗おうばくしゅう(禅宗の一派)」などと聞くと、古いイメージであるし、冠婚葬祭の宗教という感じがする。宗教としての寿命が尽きている印象がある。そこからかずかずの新宗教が生まれ、それらに代わって人々の心をとらえていくのもやむをえないだろう。
 時代は「宗」というよりも「会」の方が現代的であり、民主的であって、その方がよいという結論であった。
 その学生達の話ではないが、「創価学会」という名は、近代性を踏まえた名称となっている。そして、久遠元初の大法である日蓮大聖人の仏法を信奉し、現代社会の最先端で、日々、広宣流布へと進んでいる。
 ここに、伝統性と近代性をあわせもった学会の先駆性がある。まさに、時代にかなった「不思議なる会」の誕生であったといえよう。
2  人の″自尊心″を大切に
 次に私は「人の″自尊心″を大切に」と強調しておきたい。だれびとにも尊い一個の人格がある。その″自尊心″を絶対に傷つけてはならない。これは社会や地域においても、家庭においても、また広布の組織においても銘記すべき一点である。
 この点を深くわきまえていかなければ、人間としての正しき生き方を踏みはずしてしまう。いわんや、これからの新時代の指導者としては、重大な誤りをおかし、″リーダー失格″となりかねないからである。
 このことについて御書の仰せを拝したい。先日、埼玉県の三郷みさとでお話しした富木常忍の妻・尼御前の病気に関する御指導である。会員の方から、尼御前の病気は、その後、どうなったのかと心配する手紙も、あれから幾通か頂戴した。ご自分で調べていただいた方が勉強になるかとも思うが、その方々に安心していただく意味もこめてここに述べておきたい。
3  尼御前の病気は決して軽いものではなかった。先日、ご紹介した「弓箭きゅうせん御書」のほかにも、大聖人はくり返し、病の尼御前を激励されている。
 信心すれば全く病気をしないなどと仏法は説いていない。一歩深くみればすでに御本尊に照らされた本有ほんぬの病気であり、本有の「生」「老」「病」「死」なのである。また宿命転換という深い意義の場合もある。ゆえに病気という一現象のみを見て、その人の信心が弱いとか、謗法ほうぼうがあるとかと、短絡的にきめつけるのは誤りである。むしろその時こそ最大に激励し、守っていくべきである。これは信心の世界で、ともすれば陥りやすい点でもあるので一言、申し上げておきたい。

1
1