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長寿の秘訣 学会活動こそ長寿の軌道

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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1  池田 日本人の平均寿命は毎年延びていますね。
 中泉 国によって、調査期間の違いがあり、比較できないところもありますが、男性、女性をあわせた平均寿命で、日本は今、世界のトップにあります。
 笹川 今後も、わずかずつでも、平均寿命は延びていくと思われます。
 森田 昨年(二〇〇三年)、発表された長寿番付によれば、百歳以上のお年寄りが二万人に達したということです。
 そこで今回は「長寿の秘訣」について語りあいたいと思います。
 池田 わかりました。法華経薬王品には「不老不死」(法華経六〇二ページ)とありますが、これは、もちろん「年をとらない」「死なない」ということではありません。
 永遠の生命観を説いたものであり、そのうえに立って、生き生きとした若々しい生命、はずむような勢い、生命の輝き――そういう「生命力」をつねに発揮していくことです。
2  人は百二十歳まで生きられる
 池田 そこで、医学的には、人間はいったい、何歳まで生きられると、考えられていますか。
 森田 生理学者などは、百二十歳あたりと考えているようです。
 池田 そうですか。仏典でも百二十歳まで生きられると説いています。中国の天台大師は「人の寿命には三種類ある。早くて四十歳、中ほどで八十歳、最高は百二十歳である」(「金光明経文句」)と、百二十歳を″不老不死″に匹敵する長寿の最高峰としています。
 笹川 不思議な一致ですね。
 四十歳、八十歳という年齢も、人生の節目の一つではないでしょうか。
 池田 ポーリング博士、カズンズ博士など、私が対談した世界の最高峰の識者も、人間は百十〜百二十歳まで生きられると指摘されていた。
 ウンガー博士も同じ意見でした。
 博士は、その理由として、私との対談で「人間の細胞は、百二十歳までは何らかの形で再生が可能だと言われているからです。そして、百二十歳をこえると再生面力がなくなると考えられています」(『人間主義の旗を――寛容、慈悲、対話』東洋哲学研究所)と語っていました。このことについては、どう思われますか。
 中泉 私たちの体を構成している細胞のDNA(デオキシリボ核酸)の末端には、その細胞の分裂回数を決める情報が組み込まれています。その回数以上に細胞が分裂し成長することはありません。
 森田 もちろん、人間の寿命を決める要因は、これ以外にも、生活習慣や環境など、さまざまあると思います。
3  世界の長寿村
 池田 当然、そうでしょうね。
 また、寿命が長いかどうかで人生の幸不幸が決定するわけではない。短命のようでも、何倍も価値ある人生を生きた人もいる。これは、だれもが実感していることです。そのうえで、長寿について語っていきたいのですが、世界には、多くの高齢者が健康で若々しく生活する長寿村がありますね。
 中泉 黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方、パキスタンのフンザ地方、南米エクアドルのピルカパンパなどが有名です。
 日本では、沖縄県・玉城村(=二〇〇六年一月、佐敷町、知念村、大里村と合併し南城市となった)や長野県・喬木村などが知られています。
 池田 沖縄は″長寿県″で有名ですね。そこで、はつらつと広宣流布に戦っている、わが多宝会は、まさに長寿社会の鑑です。
 またコカサスは、ロシアの文豪トルストイが滞在していたところです。ゴルバチョフ元ソ連大統領の出身地でもあり、私との対談でも、「個性豊かな美しい土地です」(『二十一世紀の精神の教訓』。本全集第105巻収録)と語っていました。
 笹川 コーカサス地方では、百歳を超えた高齢者も背筋をしゃんと伸ばし、軽快なステップでダンスを楽しむといった話を聞いたことがあります。
 森田 もう三十年近く前になりますが、学術部・ドクター部が中心になって、長寿村の調査を行いました。
 静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜区に在住する高齢者の方を対象にしたものです。
 池田 そうでしたね。現在、この地域でも多くの学会員が活躍しており、その様子を私も、うれしくうかがっています。
 森田 伊浜区は温暖な気候と清浄な空気、海や山の美しい環境に恵まれた地域です。
 そうした豊かな自然が生んだ、良質なわき水や、魚、ノリ、ワカメ、緑黄色野菜を中心に、栄養のバランスのとれた食事が、高齢者の健康を支えていることがわかりました。
 中泉 そうした点は、世界の長寿村にも共通しています。
 池田 塩分や動物性脂肪の少ない料理や、ヨーグルトなどの発酵食なども、世界の長寿村の特徴だと聞いたことがあります。
 森田 伊浜区では、海の幸が豊富なこともあり、六割もの人が肉より魚が好きと答えていました。
 また、植物性タンパク質源である大豆製品も多く摂取されており、六割の人が毎日三杯のみそ汁を飲んでいました。
 笹川 魚類から動物性タンパク質を、大豆製品などから植物性タンパク質を、バランスよく摂取していたのですね。
 中泉 魚類の脂肪は、動脈硬化の予防に効果があります。
 森田 同様に、コレステロールの増加を防ぎ、動脈硬化を予防する食品にゴマがあります。
 この地域では、各家庭でゴマを栽培し、ゴマダレなどに利用し、ふんだんに食べていたこともわかりました。

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