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日蓮大聖人・池田大作

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死をどうみるか 妙法に寿命を延ばす大功徳

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
1  森田 「歴史を変えた病」の回で、結核で亡くなった文化人を紹介したところ、読者の方から他の著名人の死因も、参考のために教えてほしいとの要望がありました。
 豊福 あの人は、どんな病気で、どんなふうに亡くなったのか?」――そうした疑問は、高齢社会における健康への高い関心の表れの一つではないでしようか。
 池田 いずれにせよ、死を見つめ、そこから学ぶことは大切なことです。
 以前にも紹介しましたが、日蓮大聖人は「″生れた者は必ず死ぬ″という道理を、王から民まで、だれ一人知らない者はない。しかし実際に、このことを重大事と受けとめ、このことを嘆く人間は、千万人に一人もいない」(御書四七四ページ、通解)と仰せです。
 だれもが死を免れない。「私は関係ない」と言いきれる人は、一人もいません。にもかかわらず、多くの人が遠ざけようとする。真剣に考えていないとも言える。
 浅川 医学が発達して、死を先に延ばすことはできても、死をなくすことはできません。実際、医療技術等の発達により平均寿命が延びた反面、脳死や安楽死、尊厳死といった新たな死の問題が大きな焦点となっています。
 池田 そのとおりです。逃げたところで、やがては死につかまってしまう。死はさけようのない「人間の条件」なのです。
 豊福 最近では「死の教育(デス・エデュケーション)」の試みが、なされています。
 小・中学生、また医・看護学生などの医療関係者に対する死の教育や、末期がんの人に対する死の準備教育などが行われるようになりました。
 森田 以前、紹介していただいたように、大聖人も「まず臨終のことを習ってから、他のことを習うべきである」(御書一四〇四ページ、通解)と言われていますね。
 池田 そうです古代ローマの哲人セネカも「生涯をかけて学ぶべきは死ぬことである」(『道徳論集』茂手木元蔵訳、東海大学出版会)と語っています。死を真正面から見すえてこそ、初めて「どう生きるべきか」が明らかになる。人生は確かになり、豊かになる。
2  死に様は生き様を映す――アンデルセンは肝臓がんだった
 池田 前置きが長くなってしまいましたが、さっそく、著名人の死について紹介してください。
 豊福 はい。代表的な人物について調べてみました。
 まず、がんで亡くなったおもな人には、哲学者のマルクス(肺がん)、思想家エンゲルス(喉頭がん)、作家のアンデルセン(肝臓がん)、精神医学者フロイト(上顎がん、安楽死)、物理学者のキュリー夫人(白血病)がいます。
 池田 全世界の子どもたちに夢を贈った″童話の王様″アンデルセンも、がんだったのですか。
 葬儀は国葬で行われ、王族から庶民、老人から子どもまで参列し、広大な葬儀場には弔問者の十分の一も入れなかったと言われていますね。
 豊福 彼は七十歳で亡くなりますが、その誕生日には、記念の銅像の建設も決まりました。ですが、そのとき、すでに体は病に、むしばまれていたと言います。
 池田 じつは、アンデルセンは、自分の容貌や不遇な生い立ちへの劣等感、また強度の神経衰弱に悩まされていたという。
 しかし、そうした苦悩を見事に昇華させ、国中、いや世界中の人々に愛される詩情豊かな作品を生みだした。彼は自伝で記しています。「私の生涯は波澗に富んだ幸福な一生であった。それはさながら一編の美しい物語である」(『わが生涯の物語』大畑末吉訳、岩波文庫)。その言葉どおりの満足の人生だったのではないでしょうか。
 ところで、肝臓がんには、どんな症状があるのですか。
 森田 肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。肝臓がんも、進行するまでは目立った症状がありません。ですから、症状だけでは早期発見がむずかしいのです。
 豊福 ほとんどは、慢性肝炎や肝硬変をへて発症しますので、とういう病気のある方は、定期的に診察を受けて、早期発見に努めてください。
3  スターリンは脳卒中で死去
 池田 わかりました。
 では、脳卒中で亡くなった人には、どんな人がいましか。
 浅川 政治家のフランクリン・ルーズベルト、レーニン、スターリン、音楽家のバッハ、画家のゴヤ、作家のディケンズ、スティーブンソン、化学者のパスツールなどがいます。
 豊福 スターリンの七十三歳の臨終の模様が印象的です。最後の一瞬、彼は、不意に目を開け、周囲を不気味なまなざしで、ぐるりと見渡す。そして突然、左手を上げて威嚇的な身ぶりをして見せたと言います。(産経新聞・斎藤努『スターリン秘録』産経新聞ニュースサービス、参照)
 池田 「死に様は生き様を映す」という。権力に執着した人生の最後は、大なり小なり、同じような姿がある。
 ところで、脳卒中は何に気をつければいいのでしようか。
 森田 はい。脳卒中は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の人が要注意です。そのためには塩分や脂肪分を控えることも大切でしょう。そのうえで、脳卒中の原因となる病気の治療が大事ですので、医師と相談してください。

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