Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

風邪は体力低下の証拠 二十一世紀を「健康の世紀」に

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
1  池田 「健康は第一の富である」とは、アメリカ・ルネサンスの思想家エマーソンの言葉です。「健康に生きたい」「長生きしていつまでも若々しくいたい」――これは、時代を超えた万人の願いですね。
 日本は「世界一の長寿国」と言われていますが、いつごろからですか。
 森田修平ドクター部長 一九八〇年代の初めです。以来二十年以上、平均寿命は一位の座にあります。
 椎場公子白樺会(女性看護者の集い)大阪委員長 あまりうれしいという実感がわきませんが……。
 成見正作創価青年医学者会議室長 そうですね。ある調査では、将来の不安の要因として、「寝たきりになる」など老後や介護の問題が高い伸びを示しています。
 椎場 死と向かいあった患者と、その家族を支える″看取り″の医療も課題になっています。
 池田 「世界一の長寿国」だからといって、「世界一の健康国」とは言えないようですね。むしろ、寿命が延びるほど、ますます″健康″が焦点になっている。
 心身ともに、はつらつと、充実した日々を生きるには、何が必要か。楽しく長生きし、価値ある人生を送るには、どうすればいいか――二十一世紀を「健康の世紀」と輝かせゆくために、大いに語りあいましょう。
 なるべく、専門的になりすぎないように(笑い)、具体的に、わかりやすく、お願いします。
 森田・成見・椎場 よろしくお願いします。
2  まず臨終のことを習え
 池田 皆さんは、大病の体験はありますか。
 森田 私はありませんが、小学四年生のときに、母を肺壊疽で亡くしました。四十四歳でした。終戦直後で、十分な薬もない。お金もない。見舞いに行くたびに、やせ細っていく母。その姿を、ただ見守るしかありませんでした。母を助けてあげられなかった。――その悔しい思いもあって、私は医師になろうと決意しました。
 池田 そうでしたね。創価学会のドクター部長として今、じつに多くの会員の方々の健康を守っておられる。最高の親孝行ではないでしょうか。
 日蓮大聖人は「どうして、この法華経の力で、わが母が成仏できないことがあろうか。それゆえに法華経を持つ人は、父と母の恩を報じているのである」(御書一五二八ページ、通解)と仰せです。
 お母さまも、きっと喜んでいらっしゃると思います。
 成見さんはどうです?
 成見 中学一年生のとき、右の腕に痛みがあり、レントゲンで異常が見つかりました。自分で家庭用の医学書を読んだことを覚えています。調べていくうちに″もしかすると骨肉腫ではないか″と不安になりました「死にいたることもある」――その解説を見たときは、体が凍りつきました。幸い良性だったので完治しましたが、死を意識した初めての経験でした。
 池田 貴重な経験ですね。
 死は人生の根本問題です。無関係な人は、一人もいない。しかし多くの人々は、それを忘れている。いや、むしろ、目を背けて生きている。
 大聖人は、こう言われています。
 「″生まれた者は必ず死ぬ″という道理を、王から民まで、だれ一人知らない者はない。しかし実際に、このことを重大事と受けとめ、このことを嘆く人間は、千万人に一人もいない」(御書四七四ページ、趣意)
 成見 今も同じです。ますます少なくなっているかもしれません。
 池田 大聖人は「まず臨終のことを習ってから、他のことを習うべきである」(御書一四〇四ページ、通解)とも仰せです。死の問題をさけでは、どんな幸福も、根なし草であり、砂上の楼閣です。死を正しく見すえてこそ、初めて「どう生きるべきか」も明らかになるからです。
3  仏法は「生老病死」の解決をめざす
 池田 生死の問題をどう解決していくか――これが二十一世紀の最大の課題でしょう。
 アメリカのポーリング博士(ノーベル化学・平和賞受賞者)、カズンズ博士(ジャーナリスト、平和運動家)、ラウン博士(ノーベル平和賞受賞のIPPNW〈核戦争防止国際医師の会〉共同創設者)、デュポス博士(徴生物学者、ピュリツアー賞受賞者)、カナダのシマー博士(モントリオール大学前学長)、オーストリアのウンガー博士(ヨーロッパ科学芸術アカデミー会長)等々――私が、お会いしてきた世界の医学者、科学者らとの対談の結論も同じです。
 「健康の世紀」は、裏を返せば、「哲学の世紀」「宗教の世紀」と言えるかもしれない。

1
1