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心臓病 心臓は全身に生きるエネルギーを

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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1  池田 心臓の病気は怖いですね。突然、襲ってくる。がんに次いで、今、日本人の死因の第二位ですか。
 森田 はい。欧米でも日本以上に死亡率の高い病気とされています。
 ″突然死″の多くも心臓病と言われています。
 池田 心臓がご専門の今関先生に、いろいろうかがいたいと思います。関心も高いと思いますから。
 今関安雄千葉総県副ドクター部長 こちらこそ、よろしくお願いします。
 池田 医師のシンボルと言えば、白衣と聴診器です。「心臓の音(心音)」も、やはり聴診器で聴こえるのですね。
 今関 そうです。心臓の弁が聞いたり閉まったりする音が聴こえます。また心雑音と言われる異常な音が聴こえることもあります。簡単な道具に見えますが、心臓の異常を調べるのには欠かせません。
 池田 だれが発明したのですか。
 豊福 十九世紀の初め、ラエネク(一七八一年〜一八二六年)が発明しました。フランスの医師です。
 今関 これについては、おもしろい話があります。そのころ、心臓の診察は、患者さんの胸に直接、耳を当てて心音を聴いていました。
 ところが、あるとき、心臓病の疑いのある女性がやってきたのですが、あいにく、彼女は太っていた――よく聴こえないわけです(笑い)。しかも、若い女性だったので、青年医師は、直接、心音を聴くのを、ためらった。
 森田 紳士だったんですね。
 今関 そこで考えついたのが、聴診器(の原形)だったというわけです。
 池田 女性への心づかいが、偉大な発明を生んだわけですね。ほかに心臓の異常を調べる方法はありますか。
 今関 脈でもわかります。
 池田 ふつうは手首で調べますね。
 今関 はい。しかし、もっとよくわかるのは「心電図」です。不整脈、狭心症、心筋梗塞といった、おもな心臓の病気も診断できます。
2  心臓は一日に八トンの血液を送る
 池田 心臓は英語で「ハート」と言いますが、やはりトランプのハートのマークのような形をしているわけですね。
 今関 そうです。とがったほうを下にして収まっています。
 池田 「心」という漢字も、心臓の形を表したものです。古代インドでは、心臓は蓮にたとえられていました。当時の医学書にも「心臓は蓮のつぼみの形をして、先端を下に向け、ぶら下がっている」と記されています。大きさは、どれくらいですか。
 今関 その人の「にぎりこぶし」より、やや大きいくらいですが、その仕事の量はすごい大きさです。心臓は、血液を全身に送り出す働きをしています。一日に送り出す血液の量は、約八千リットルで約八トンと言われています。
 豊福 八トンというと、ドラム缶で四十本くらいです。
 池田 まさに″小さな巨人″ですね。心臓が縮むと血液が送り出される。広がると血液が入ってくる、ということですね。
 今関 そうです。心臓から送り出された血液は、全身に「酸素や栄養を運ぶ」一方、「二酸化炭素などの老廃物を受け取る」わけです。
 森田 心臓のポンプは、一分間に約六十〜八十回、一日にすると約十万回、筋肉を休みなく規則正しく動かしています。
 豊福 一生を八十年とすれば、三十億回近くになります。
 池田 生まれてから死ぬまで、休みなく働き続けて、よく疲れませんね。もちろん、休まれると大変ですが(笑い)。心臓は「特別製」なんですか。
 今関 そのとおりです。心臓は、体の中でただ一つの「特別な筋肉」でできています。手足の筋肉は、こちらが思ったとおりに能率よく働きますが、疲れやすいのが特徴です。一方、胃腸など内臓の筋肉は、自分の意思で動かしたり止めたりできませんが、疲れにくいわけです。しかし、心臓の筋肉(心筋)は「能率よく働き」「疲れない」という二つの長所をあわせもっているのです。
 池田 整理しますと、他の内臓の筋肉は、「つねに淡々と働き、疲れにくい」。手足の筋肉は、「瞬発力はあるが、疲れやすい」ということですね。人間にも、両方のタイプがいますね(笑い)。その両方の長所をもっている心臓は、やはり生命維持の″要″なのですね。
 森田 しかも、心臓の筋肉の細胞は、一生の間、新しい細胞との交代も、ないんです。
 豊福 これほど疲れを知らない心臓も、異常をきたすことがあります。それが「心臓病」です。
3  狭心症と心筋梗塞――心臓の血管がつまる
 池田 おもなものには、どんな病気がありますか。
 今関 やはり多いのは「狭心症」と「心筋梗塞」です。心臓の筋肉に血液を送っている血管(冠動脈)が狭くなったり、つまったりして、「心臓の筋肉に必要な酸素や栄養が不足する」病気です。
 豊福 血管が狭くなり、流れる血液が一時的に少なくなるのが「狭心症」です。もっとひどい症状で、血管がつまって血液が流れなくなり、つまった部分から先の細胞が死んでしまうのが「心筋梗塞」です。
 池田 「梗塞」は「ふさがる」ということですね。
 森田 はい。血管がふさがって、脳に血液が行かなくなると「脳梗塞」です。
 池田 端的に言うと、狭心症は「心臓の呼吸困難」心筋梗塞は「心臓の窒息」ということでしょうか。
 豊福 酸素や栄養を全身に送っている心臓自体が、「血液不足」「酸素不足」「栄養不足」になるのは皮肉です。

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