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胃腸病 「胃」の病は「意」の病

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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1  池田 今度は「胃」の病気についてですね。これは悩んでいる人が多い。また「胃病は″意″病」と言われるくらい、心の状態が反映されるようです。上東先生は胃腸がご専門ですね。読者のために、いろいろ教えてください。
 上東ドクター部副書記長 こちらこそ、よろしく、お願いします。夏の季節は、暑さのために「胃腸の調子がすぐれない」季節でもあります。
 池田 原因は「冷たい物の飲みすぎ」「冷房のききすぎ」「寝冷え」などでしょうか。
 上東 はい。それに、暑いと胃腸の働きがにぶると言われています。
 森田 そうしますと、夏は消化によいものを食べる――というのは昔の人の知恵ですね。もちろん栄養の偏りには気をつけるべきですが。
 池田 よく「胃が痛い」「もたれる」「重い」という場合がありますが、どんな病気の可能性がありますか。
 上東 多くは疲労やストレスが原因です。また胃炎、あるいは胃や十二指腸に潰瘍ができているケースがあります。
 池田 「胃炎」と「胃潰瘍」は、どう違うのですか
 上東 簡単に言うと、胃炎は文字どおり、胃の中の炎症です。胃の粘膜がただれたり、すりむけたような状態です。
 胃潰傷は粘膜が深く削り落とされたような状態です。
 池田 胃の病気でもっとも多いのは胃炎ですか。
 豊福 そうです胃炎にも急性と慢性があります。
 池田 どう違うのですか。
 上東 「急性胃炎」の多くは痛み止めの薬や急激なストレスなどが原因です。それに対して、「慢性胃炎」の多くは、最近、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という胃の粘液と粘膜の聞に住む細菌が原因であることがわかりました。ただ自覚症状は、ほとんどありません。
 池田 では「胃潰瘍」に特有の症状はありますか。
 上東 空腹のときに、みぞおちのあたりが痛み、食事をすると痛みがやわらぎます。また、かえって食後に痛む場合もあります。
 森田 胃潰揚がひどくなると、口から血を吐いたり、コールタールのような黒光りした便が出たりします。
 池田 日本人には胃がんが多いので、胃が痛むと、胃がんではないかと心配になる人も多いと思いますが。
 上東 実際に検査をしてみると、軽い胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などのことが多いのです。
2  胃がんの初期は自覚症状がない
 豊福 胃がんは、胃の粘膜の細胞が、がん細胞に変化し異常に増える病気で、胃炎や胃潰瘍とは違うものです。
 上東 ただし、胃がんの初期は、自覚症状のないことが多く、症状があっても胃炎や胃潰瘍と区別できません。
 池田 素人判断は危険ですね。
 森田 定期健診がが絶対に必要です。
 池田 「胃下垂」は病気ですか。
 上東 胃下垂は病気ではありません。以前は、やせ型の女性に多い体質的な病気と考えられていましたが、今では、たんに胃の位置が低いことをさす場合がほとんどです。
3  胃は感情の共鳴箱――心臓病で「胃が痛い」こともある
 池田 「胃の病気ではないのに、胃が痛む」ことはありますか。
 上東 胆石症、膵臓炎といった消化器の病気のほか、狭心症や心筋梗塞などの心臓病が考えられます。
 池田 まったく別の病気がひそんでいることがあるわけですね。これは怖いですね。
 上東 はいだから「私は胃が弱いからだ」と思って、胃のせいではないのに、胃の責任にされていることがあるわけです。
 森田 胃は″無実の罪″まで着せられている。(笑い)
 豊福 それだけ胃は心身の調子を敏感に反映するということですね。
 池田 心の状態も、すぐ胃に出ますね。「胃は心の反射板」とか「胃は感情の共鳴箱」という言葉も聞いたことがあります。そもそも、日本語でも「腹」は「心」そのものを表す場合が多い。「腹を決める」と言えば「心を決める」ことだし、「腹にすえかねる」と言えば「怒りを心に置いておけない」ということです。
 森田 「腹黒い」というのもあります。(笑い)
 豊福 「腹が立つ」も、そうですね。
 池田 「腹が立つ」の「立つ」というのは「動き始める」という意味でしょう。怒りで腹が、ぐらぐらわきたつ感じでしょうか。上東先生、怒りやイライラは、胃に影響が大きいのでしょうね。
 上東 それはもう、なまなましく結果が出ます。怒りや恐怖、不安などは胃の働きを悪くします。また、ふだんは、胃の活動が活発になると、胃腸の壁に血液が十分流れるように血管が広がります。
 ところが、感情が激しく揺れたり、ストレスがきついと、自律神経などが乱れて、その調節がうまくいかなくなる。そうすると、胃腸の血液の循環が悪くなって、必要な酸素や栄養を血液が運んでくれなくなるわけです。
 池田 それが重なると、ひいては胃潰瘍になることもありますね。
 上東 胃潰蕩というのは、わかりやすく言いますと、「胃液が胃自身まで消化してしまった」状態です。
 豊福 聞くからに痛そうです。(笑い)
 上東 胃液というのは、強力で、手のひらに乗せたままにしておくと、水ぶくれができるくらいです。これだけ強いからこそ、たいていのものは消化できるわけです。問題は、どうして胃そのものは溶けないのかということです。
 森田 昔、小説で「何でも溶ける薬」を発明した博士が、結局、薬を入れる容器がなくて大失敗に終わるというのがありました。(笑い)

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