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日蓮大聖人・池田大作

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血圧 生命を支える「血液の流れ」

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
1  池田 次に「血圧」を取り上げましょう。
 森田 はい。皆さん、知っているようで意外と正確な知識を知らないんです。
 池田 いつも不思議に思うのですが、医師が血圧を測るとき、聴診器で何を聴いているのですか。
 豊福 「コロトコフ音」と呼ばれる動脈音を聴いています。
 池田 それで血圧がわかるのですか。
 豊福 血圧を測る場合、まず腕に巻いた布のなかに空気を送って、十分な圧力をかけ、腕の動脈の血の流れを一時的に止めます。それから少しずつ圧力を弱めていくと、肘の動脈にあてた聴診器から、音が聞こえてくるのです。
 いわば″ふたたび血液が流れ始めた″という合図のようなものです。このとき測った血圧が「最大血圧」となります。
 池田 いわゆる″上の血圧″ということですね。
 森田 そうです。心臓がギュッと縮んで、勢いよく血液を送り出す瞬間の血圧なので「収縮期血圧」とも呼ばれます。
 豊福 こののあと、もっと圧力を弱めていくと、やがて音は消えてしまいます。この瞬間の血圧が″下の血圧″と呼ばれる「最小血圧」です。心臓が精いっぱい広がった瞬間の血圧なので「拡張期血圧」とも呼ばれます。
 池田 なるほど。「コロトコフ音」というのは、発明者の名前でしょうか。
 豊福 そのとおりです。聴診器を用いて測る方法は、一九〇五年、ロシアの外科医コロトコフによって考え出されたものです。
 池田 要するに、「血圧」とは何でしょうか。
 森田 心臓という″ポンプ″から送り出された血液の流れによって、血管(動脈)の壁が受ける力です。
 豊福 全身の細胞は約六十兆とも言われています。その活動を支えるために、血管は全身のすみずみにまではりめぐらされています。そこに、血液という粘りけのある液体を送り込むわけですから、そうとうの勢いがいるわけです。
 池田 血圧は、年齢によっても変わってくるのでしようね。
 森田 少年期から成人にかけては、年齢とともに高くなりますが、それ以降は一定の数値になります。ところが中年にさしかかるところから、血管はしだいに弾力を失って硬くなってきます。すると、″ポンプ″の勢いをもっと強くしなければ、全身に血液を送り込むことができなくなります。
2  正しい血圧の知識を
 池田 その結果、「血圧が上がる」というわけですね。何を高血圧といい、何を低血圧というか。その基準は、どうなっているのですか。
 豊福 「正常血圧」は、最大血圧が一三九以下で、最小血圧が八九以下の場合です。最大が一四〇以上、あるいは最小が九〇以上に、なると「高血圧」です。
 たとえば、上が一三六で、下が九八の場合は高血圧になります。「低血圧」とは、最大血圧が一〇〇以下の場合を言います。
 池田 最大血圧が高い場合と、最小血圧が高い場合とでは、どちらがやっかいですか。
 森田 最大血圧に比べて、「最小血圧の変動はずっと小さい」のがふつうです。ですから「最小血圧がいちじるしく高い」場合は、怖いですね。
 池田 最大と最小の差は、どれくらいがいいのでしよう。
 豊福 成人では五〇前後あるのがふつうのようですが、あまりこまかな数値にこだわる必要はありません。
 池田 「怒ると血圧が上がる」と言いますが(笑い)、血圧は、そんなに簡単に変動するのですか。
 森田 一日のうちでも、めまぐるしく変動します。たとえば、起きているときは高めに、眠っているときは低めになります。また、一年のうちでは、秋から冬に向かって高くなり、春から夏に向かうにつれて、低くなる傾向があります。
3  激しい温度差には要注意!
 豊福 安静にしているときと動いているとき、緊張しているときとリラックスしたときでは、かなり違います。興奮したり、激しい温度差を感じると、急に上昇することがあります。
 池田 それは「要注意」ですね。急に戸外に出たり、風呂上がりのときに倒れる人が多いとも聞きます。
 森田 ふだんは正常なのに、検査に臨むと緊張して高くなる人もいます。「白衣性高血圧」と呼ばれています。
 豊福 同じ「白衣」でも、こわそうな医師が測った場合と、優しそうな看護師さんが測った場合とでは、意外なほど差が出ることもあります。(笑い)
 池田 「血圧」は人間的なんですね(笑い)。最近は、家庭でも簡単に使える自動血圧計が普及しているようですが。
 森田 高血圧症の人の場合は、ぜひ勧めたいと思います。
 家庭で血圧を測ることは、血圧の管理のためにも、治療を続けるためにも、たいへんにいいことです。

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