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日蓮大聖人・池田大作

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「健康」は万人の願い  

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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1  池田 「健康」についての関心が高いようですね
 森田修平ドクター部長 はい。最近、健康の相談を受けるたびに驚きます。
 皆さん、じつによく医学情報を知っておられる。
 「C型肝炎にインターフエロン治療は、どの程度、有効ですか」とか、「脳腫傷でも開頭しなくてすむ治療法(ガンマナイフ療法)があると聞いたのですが」とか。医師も、うかうかしていられない、といった感じです。(笑い)
 豊福裕幸副ドクター部長 今、テレビや新聞、雑誌等に、健康に関する情報があふれでいます。多すぎて、どれが適切なのか判断できない――これが、現実かもしれません。なかには健康ブームを利用した金もうけもあるようですし、非科学的な議論も横行しているようです。
 森田 病気の人ばかりでなく、健康な人も、健康食品やダイエット法などに興味を示しています。
 池田 「健康」は万人の願いです。いくらお金や地位があっても、やはり「健康」が第一です。無一文の青春から努力して世界的な大富豪になった人がいた。その人が病気になって「若さと健康が買えるものなら、全財産も惜しくない。貧しくてもいい。もう一度、健康で働きたい」と言ったという。実感でしようね。
 「生」「老」「病」「死」を四苦といって、仏法は「病苦」を人間の根本的苦悩の一つとしています。その解決をめざすという点では、医学も目的は同じだと思います。心身ともに、はつらつと、充実した日々を生きるには、何が必要なのか――。仏法の眼から、医学の眼から大いに語りあいましょう。なるべく専門的にならないように(笑い)、具体的で、わかりやすく、両ドクター、よろしく、お願いします。
 森田 努力はしますが、″わかりやすく″というのはむずかしい。(笑い)
 豊福 とはいえ、あんまり悩むと健康に悪い。(笑い)
2  病気の数は約一万五千
 池田 自然体で結構です(笑い)。では、私のほうから、読者にかわって、少々、基本的な質問をしたい。まず病気の数は、どれくらいありますか。
 豊福 ざっと一万五千くらいの病名があります。
 池田 たいへんな数になりますね。
 森田 一つの病気でも、「発生した個所」「発病の原因」「経過」「症状」など、さまざまな要素によって、多くの「病名」に分かれます。
 豊福「結核」一つとっても、「肺結核」「脊惟カリエス」「結核性髄膜炎」「リンパ節結核」といったように、二百五十種類以上もあります。
 池田 「肩こり」は病気ですか。
 豊福 「肩こり」とか「腹痛」といったものは「症状」です。その原因には、さまざまな病気が考えられます。
 池田 今後、どのような病気が増えると予想されていますか。
 森田 環境汚染による病気、エイズやエボラ出血熱などの新たなウイルス病も登場しています。また絶対にあってはならないことですが、「薬害」による病気も近年の傾向です。
 豊福 「心の病」も急速に増えています。胃潰傷や喘息、また円形脱毛症でも、心が関係する場合があります。がん・心臓病・脳卒中の「三大生活習慣病」にも、心が深く関係していると言われるようになってきました。
 池田 「心と病気」「心と健康」の関係は、仏法と医学の接点になるでしょうね。仏典にも、多くの病気の分類法が説かれています。御書には「身の病」として「四百四病」、「心の病」として「三毒乃至八万四千の病」と記されています。(御書九九五ページ)
 また、ひとくちに「心の病」といっても、軽いものもあれば、重症のものもあると説かれています。
 仏法はたんなる精神論ではなく、観念論でもない。心身の病気という現実をきちっと見つめたうえで、仏法者は、いかなる時代でも、医学と仏法の両面から「病苦」に取り組んできたのです。そのうえで、やはり、焦点となるのは「心」の側面であることは当然でしょう。今後、心やストレスに関連する病気が増えてくると、ますます「心と健康」の関係は注目されるのではないだろうか。
3  「大事なのは生あるうちに何をなすか」――「希望こそ生命の秘密兵器」
 森田 そう思います。たとえば、池田先生が対談集(『世界市民の対話』。本全集第14巻収録)を出されたノーマン・カズンズ博士は、″アメリカの良心″と言われたジャーナリストですが、「心身相関の医学」でも先駆的な研究を残しています。
 池田 カズンズ博士は、生涯挑戦、生涯青春を貫いた人です。
 「心と体は一体」という博士の研究は、理論だけのことではなかった。ご自身が膠原病(五十歳で発病)、心筋梗塞(六十五歳で発病)という大病を奇跡的に克服し、七十五歳まで寿命を延ばされた。その間、常人の何十倍にもなるであろう価値ある仕事を成し遂げておられる。
 豊福 すごい「生命力」ですね感動しますね。
 池田 問題は博士の生命力を強めたのは何だったのかということです。
 それは「人類への慈愛」であり、「責任感」であったと思えて、ならない。その根底は「人間への信頼」でしょう。博士はそれをひとくちに「希望」と言われていた。「希望こそ私の秘密兵器です」とも語っておられた。
 また「人生の最大の悲劇は死ではありません。生きながらの死です。生あるうちに自分の中で何かが死に絶える。これ以上に恐ろしい人生の悲劇はありません。大事なのは生あるうちに何をなすかです」と。
 「病気がない」だけが「健康」なのではない。一生涯、何かに挑戦する。何かを創造する。前へ前へと自分の世界を広げていく――この″創造的人生″こそ、真のが″健康人生″ではないだろうか。その推進力となるのが、不屈の精神力です。
 森田 今年、百二歳を迎える″おばあちゃん″Tさんの話を思い出しました。
 神奈川の方です。創価学会に入会したのが六十二歳。性格は明るく、前向きでグチを言わない。学会活動に取り組みながら、リウマチや心臓発作など長年の病苦も克服していったそうです。そうした歓喜の思いを歌に詠んでおられます。
 「百歳の 誕生迎えし わが命 如説修行の功徳なりけり」 
 またあ「人生の 最終章を 目の前に 生き来し方の 語り部となる」と
 「語り部」というのは、四年前から、専門学校の名誉講師として、一世紀にわたる人生経験で得た知恵の数々を女子学生に講義しておられるのです。
 池田 すばらしい健康人生だね。人のために、はつらつと働く――多宝会、宝寿会、錦宝会(創価学会の長寿者の集い。行こう「多宝会」で表記)の方々は、まさに「健康の世紀」と「長寿社会」をリードしておられる。

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