Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

性格を変えたい  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

前後
1  ―― 今回のテーマは「性格」についてです。
 二年生の女子から、こんな質問がきています。「私は内気で、人前で大きな声でしゃべれません。どうしたら、積極的に話せるようになりますか」というものです。
 池田 わかりました。全然、心配ないよ!
 この人は、きっとまじめな、心のきれいな人なんでしょう。なぜなら、「もっとすばらしい自分になりたい」と思っている。だから、悩んでいるのです。「自分を見つめている」証拠です。それだけで、本当に立派な人だと、わかります。
 こんな話がある。昔、勇敢で有名な将軍のところへ、ある人が自分の子どもを連れていって、「どうか、この子の気の弱いのを直してください」と頼んだ。将軍は「いや、子どもの臆病は、利口な証拠です」と言って、何も心配いらないと励ましたそうだ。あなたも大丈夫、大丈夫!
 「私も少年時代 内向的だった」
 池田 私も、どちらかといえば、内向的な少年だったと思う。もちろん友だちとも遊んだが、一人で本を読んだり、空を行く雲や、海の風と対話することが好きでした。
 だから、大人になって、戸田先生の会社に入り、人と交渉する仕事をまかされた時は、本当に苦しんだ。言いにくいことも言わなければならないし、気むずかしい相手のところへ、何回も何回も足を運ばなければならない。
 しかし、いやなことから逃げるのは「いさぎよくない」と思っていた。苦手なことだからこそ、「自分を鍛えるチャンスだ」と決めました。
 何より、戸田先生に安心していただきたいという気持ちがあった。内気だなんて言ってられません。毎日毎日、題目を唱えては仕事に行きました。それで、私は強くなりました。
 質問を寄せてくれたあなたも、心配はいらない。今に、だれとでも堂々と話せる日が来るから!
 ―― 内気だと、本当に引っこみじあんで、人に話しかけるだけでも勇気が必要です。
 池田 内気でもいいのです。「内気な人」が題目を唱えたら、ちょうどいいくらい元気になる。「もともと強気の人」の場合、元気が出すぎて「おっちょこちょい」みたいに見えることがある。(笑い)
2  内気→考え深い  短気→スピーデイー
 短所が長所に
 池田 それはともかく、「あなたは、あなたらしく」生きることだ。「内気」がいけないのじゃない。「内気だから自分はダメなんだ」と思うことがいけないのです。
 どんな「短所」であっても、「長所」にならない短所はないのです。話をするのが苦手だったら、まず、だれよりも「聞き上手」になればいい。「あの人は、私のどんな話でも、イヤな顔ひとつしないで聞いてくれる」「あの人に話したら、何だか、すっきりする」と言われるような自分になればいい。
 ―― そうすれば、「内向的」という性格が生かせますね。
 池田 内気な人は、深く考える。長所と短所は裏表です。一体なんです。だから、自信をもって、自分らしく、自分のいいところを伸ばしていけばいいのです。
 ふだんは回数が少なくても、「いざという時」に、きちっと、言うべきことを言えれば、それでいいのです。だいたい、どうでもいいことばかり、ペラペラしゃべる人は、まわりが迷惑だよ。(笑い)
 どうしても、人に話すのが苦手なら、まず、御本尊に向かって、お題目を唱えながら、心にあることを全部、ぶつけてごらん。うれしいことも、悲しいことも、全部、御本尊様に話すのです。そこから始めればいいと思う。
 ともかく、「私は内気なんだ」と小さくなってしまうか、それとも「私は聞き上手なんだ」と自信をもって、人に接していくか。自信をもって、自分のよい面を伸ばしていけば、自然に欠点は隠れるものです。
 たとえば、「短気」は、何をやっても速くて「スピーデイー」だという長所にもなる。「おとなしい」性格は、「みんなの和をつくれる」長所にもなる。「感情の起伏が激しい」性格は、「情熱的」になる。「大ざっぱ」な性格は、よく出れば「大らか」になる。「神経質」な性格は、「こまやかな」心くばりにもなる。
 ―― 「キレやすい」という性質も、弱い人に向かったら「いじめ」になりますが、悪に向かえば「正義」になります。
3  誠実さという″心の炎″で光れ
 性格は「どう生きたか」が大事
 池田 そう。性格が人生を決めるのではない。性格を、どう生かすかで決まる。つまり、「どう生きたか」という中身で決まるのです。
 どんな性格であろうと、自分らしく、「誠実に生きていこう!」と決めてがんばっていけばいいのです。その誠実さという「心の炎」が、自分の性格を、よい方向へ、よい方向へと、光らせてくれるのです。
 ―― 鼓笛隊でがんばってきた中等部担当者の話です。ある時、みんなで「一年後の自分に手紙を書く」ことになりました。彼女は「大ざっぱだ」とか「三日坊主だ」とか、何となく自分の悪口を書いてみたのですが、何と便箋三枚にもなったそうです。(笑い)
 彼女は、それを見た時、「一年のうちに、これを全部、直したい」と思いました。題目を唱えて、がんばりました。先輩や友だちも励ましてくれました。
 一年すぎて、その手紙を読んだ時、自分に対する見方が変わっていました。「欠点だ」と思っていたものが、「それが私のいいところだ」と思えるようになっていたのです。「大ざっぱ」は「大胆」とも言えるし(笑い)、「三日坊主」は、「さっぱりしている」と。
 池田 そうだね。自信をもっていいんだよ。「桜梅桃李」(桜は桜、梅は梅、桃は桃、李は李)なんだから、みんな、そのままですばらしいのです! 絶対に、自分はダメだなんて思っちゃいけない。
 ―― これも、二年生の女子からの質問です。「友だちとケンカした時、『あなたは目立ちたがりやだから、大キライ』と言われました。目立つことは、そんなに悪いことでしょうか」というのです。それだけじゃなく、彼女は、友だちから「あなたは、自分の悪いところを認めないし、自慢話ばかりしてる」とも言われたようです。
 池田 友だちも、はっきり言ったものだね。(笑い)
 ―― あんまり、はっきり言われて、ちょっと「ムカついた」ようです。(笑い)
 池田 でも、その友だちに感謝するくらいの大きな心でいたほうがいい。
 みんな、「自分のことは自分がいちばん、よくわかっている」と思っている。しかし案外、「自分のことをいちばん知らないのは自分」ということもあるものです。
 今の若い人は臆病で、友だちとも「近づきすぎないよう、離れすぎないよう」うまく距離をとって、傷つかないように生きているという意見もある。だから、自分のことを、ずばりと言ってもらうチャンスがない。もちろん誤解の場合もあるだろうし、自分で、そのつもりがなくても「目立ってしまう」人もいるだろうね。

1
1