Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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本が苦手  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

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1  ―― きょうは、「読書が苦手」という人からの相談です。
 中学一年生の女子生徒から、こんな質問がきています。
 「母は、いつも『本を読みなさい』と言って、私の見ているテレビを消してしまいます。テレビやマンガだって、勉強になることはあると思いますが、どうして本じゃないとダメなのでしょうか。本は、つまらないんです」ということなのですが……。
 池田 なるほど! 気持ちは、よくわかる気がします。
 ただでさえ、本を読むには根気がいるのに、あんまり「読め、読め」と言われたら、うんざりしてしまうだろうね。
 マンガやテレビだって、気がすすまない時に「ためになるから見なさい!」とか「努力しなさい!」と強要されたら、いやになるかもしれない。
 まして「その感想文を書きなさい」とか言われたら、たまらないだろうね(笑い)。もちろん読書感想文には意味があるのだが。
2  平均、月に一・七冊
 ―― はい。中学生の平均読書量は、月に一・七冊とも言われています。(「毎日新聞」の一九九九年六月の調査)
 活字離れが進んでいるので、中等部でも、どんどん本を読むよう呼びかけてはいるのですが……。つい、マンガやテレビやコンピューターのほうにいってしまうのです。
 池田 じつは私の小さいころは、子どもは今のように「本を読みなさい」と言われなかったんだ。
 ―― そうなんですか?
 池田 人によったら「本なんか読んでないで、家の手伝いをしなさい!」とか、「本を読みすぎると、なまいきになるから、あんまり読むな」とか言われたものです。小説とか、「教科書以外の本」を読んでいたら、取り上げられた人もいる。
 ―― 信じられないくらい、今と違いますね。
 池田 子ども向けの本なんか、ほとんどない。図書館だって、ろくにない。
3  「読む楽しさ」は生涯の宝
 本は「ごちそう」
 池田 だから、そんな時代に育った私たちの世代から見たら、「本がつまらない」と言う人は、まるで「食べ放題のごちそうを目の前にして、『食べたくない』と、そっぽを向いている人」のように見えるのです。
 ―― 本当に、もったいないですね。
 池田 そう。「もったいない」としか言いようがない。「本を読む楽しさ」を知らないということは、人生の巨大な損失です。こんな不幸なことはない。いっぱいの宝物に囲まれながら、その価値を知らないために、貧しい暮らしをしている人のようだ。

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