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創価学園1 小学校

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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1  東京創価小学校第一回入学式(メッセージ)〈昭和53年4月9日〉
 新入生におくる
 待ちに待った創価小学校の第一回入学式、まことにおめでとうございます。
 皆さん方の希望にあふれた姿を見て、私は本当にうれしい。どうか、使命ある第一期生として、ひろびろとした自然に囲まれたなかで、勉強にスポーツに、伸び伸びと成長していってください。皆さんの帽子や襟に輝いている創価小学校の記章は、きっといつまでも皆さん方を見守っていくことでしょう。
 また、創価小学校は、誕生したばかりの若い学校であります。先生方、お父さん、お母さん方には、ここに集った「未来からの使者たち」をあたたかく見守り、ともどもに立派な伝統を築いていってくださいますよう、心からお願い申し上げます。
 さて皆さんは、新しい生活をまえにして胸をおどらせていることでしょう。そこで、スタートの意味をこめて、皆さんがよく知っている『イソップ物語』のなかから、一つの話を引いてみます。それは、愚かなロバの物語であります。
 あるとき、ロバが、塩を背負って川の中を進んでいた。そのうち滑って転び、背中の塩が解けてしまい、荷物が大変軽くなった。喜んだロバは、いつも転んでやろうと、心に決めます。そしてあるとき、綿の荷物を背負って川にさしかかる。そこでロバは、また身軽になろうとして、わざと転ぶ。すると綿が水を吸いこんで非常に重くなってしまい、ロバは立ち上がれずに死んでしまうという話です。
 ロバは、重い荷物を背負うことをいやがった。そして、わざと転んで川の水に流してしまおうという、ずるい考えを起こしました。そのために、自分の命まで失ってしまったのであります。
 このように、いつも楽をしよう、楽をしようとしている人は、最後は損をしてしまうのです。
 ロバが重い荷物を背負ったように、皆さん方もこれから、苦しいこと、つらいこと、重荷に思えるようなことがあるかもしれません。先生に叱られたり、勉強が思うように進まなくて悲しくなるときもあります。友だちとケンカして、悔しくて悔しくてしようがないときもきっとあるでしょう。しかし、それらのことは、ぜんぶ、皆さんが大きな人間に成長していくための荷物といえましよう。
 冬の次にはかならず春がくるように、悲しいことのあとには、かならず楽しいこと、うれしいことがやってきます。竹は、どんなに大雪がつもってしなっても、決して折れない。じっとしんぼうして、春になるとまた、すくすくと生長していきます。
 だからといって、なんでも一人でがまんしていなさいというのではありません。両親と話し合うのもよい。先生や仲のよい友だちに相談するのもよいでしょう。皆さんはこれから伸びゆく若竹です。心を大きく開いて、体を鍛え、竹のようにしなやかで、ねばり強い「頑張り」を身につけていっていただきたい。
2  本を読み、ルールを守る子に
 次に、大いによい本を読もう、ということを申し上げておきます。
 皆さんのなかには、本を読むよりも、テレビを見たほうがおもしろいという人もあるかもしれません。私も、テレビが悪いとは思いません。しかし読書は、それ以上に皆さんを、いまだかつて知らない、ひろびろとした世界へ案内してくれるものです。
 私も、小学生時代には家が貧しくてあまり本が買えなかったため、学校の図書室や近所の図書館の本を、夢中になって読みました。そのころ読んだ『ロビンソン漂流記』や『トム・ソーヤーの冒険』『宝島』などは、いまでもはっきり覚えております。
 本ばかり読んでいて、身体を鍛えたり、学校の勉強がおろそかになっては困りますが、ともかく、皆さん方は、記憶力や想像力のすばらしい年代であります。その時期に、できるだけ世界の名作に親しんでいってください。
 また、学校という新しい生活には、決まりとかルールというものがあります。友だちと遊んでいても、自分だけ決まりを守らないで勝手なことをしていれば、仲間はずれにされてしまう。道を歩いていても、ルールを守らず、赤信号のとき渡ってしまえば、車にひかれてしまうでしょう。
 どうか皆さんは、朝「いってきます」と元気に家を出たならば、決められたルールをきちんと守る、明るい少年少女であってください。小さいときからこのような習慣を身につけておくと、大きくなってから非常に役に立つものです。大人になると社会の約束、ルールを無視すれば、まったく信用されなくなってしまうものです。
 このこととも関連しますが、どうか「けじめ」はきちんとしてください。私は、とくに言葉遣いをはっきりさせることが大切だと思います。
 「いってきます」「ただいま」「おはようございます」「さようなら」――言葉遣いのはっきりした子どもは、見ていて非常に気持ちがいい。何でもないことのようであっても、言葉遣いがはっきりしてすがすがしい人は、かならず心豊かな人になっていきます。
 最後に皆さん方が、こうして元気に入学式を迎えることができたのも、両親のおかげです。お父さん、お母さんを大切にしてください。兄弟を大切にしてください。それと同じように、友だち、またほかの人たち、とくに恵まれないかわいそうな人たちを、大切にしていってください。みんなに対する思いやりを忘れない、大きな、広い心をもった少年であってください。
 皆さんがよく学び、よく遊び、立派な小学生に成長してくださるよう、心からお願いし、私のメッセージとさせていただきます。
3  東京創価小学校 第一回秋季運動会〈昭和53年l0月1日〉
 何ごとも根っこが大切
 ちょっとむずかしいお話をします。ご父母の皆さまにむしろ、お話し申し上げたい。
 きのう、私はある竹の子屋さんに会いました。その竹の子屋さんがいうには「竹の子というのは、来年の五月ごろに立派に大きくなると思っていたらまちがいである。じつは竹の子は、今、七月、八月ごろにその細い根っこができる。これで勝負が決まってしまう。来年の四月とか、五月というのは、一つの姿を見るだけにすぎない」と。この話を聞きまして、私は感銘しました。というのは、小学校の時代に、将来、大成するかしないかが決まってしまうことを意味するからであります。
 その意味において、私はきょうの運動会を見て、皆さん方のお子さんがすくすくと成長していて本当に安心しましたし、確信をもちました。私は絶対にこの小学校からは一人も落後者は出したくないし、全員を立派な社会のリーダーに育てていく決心です。これからも応援をよろしくお願い申し上げます。
 校長先生をはじめ、諸先生方には何かと応援を願い、朝な夕な全力の教育をしてくださいまして、この席を借りて、厚く御礼申し上げます。なお、きょうは大学からも、学園からも、校医の先生方、小学校を真心をこめてご支援くださる先生方にもおいでいただきましたことを、衷心より御礼申し上げまして、お祝いの言葉とさせていただきます。本当に大成功おめでとう。

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