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創価学園1 中学校・高等学校[昭和61年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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1  関西創価中学・高等学校 第十四回入学式(メッセージ)〈昭和61年4月9日〉
 一歩も退かない学園生に
 春爛漫の交野の地で、晴れやかに入学式を迎えられた新入生の皆さん、まことにおめでとうございます。
 本日、人生のより高き段階へと第一歩を踏み出した皆さん方に、私は一言、「すべてにおいてゴールまで走りぬけ」と申し上げておきたい。
 マラソンにおいても、いかに速く走っていたとしても、途中で棄権してしまえば、あの完走したという充実感は味わえません。
 これは、人生万般にあてはまる道理であります。中途半端なものは、どこまでいっても中途半端である。皆さんのこれからの課題である学問においても同じであります。
 たとえば、世界的にも有名な諸橋轍次博士の『大漢和辞典』という辞典があります。これは約五万の漢字を収録し、全十三巻、一万五千ページにも及ぶ大著であります。この統戴の大事業の途上、博士は、校了した活字が戦災で全部焼けてしまったり、また右眼の失明、さらに協力者や夫人を相次いで失う等、さまざまな困難に遭遇します。現代と違って、データを処理する便利なコンピューターもない。しかし博士は、じつに三十五年もの歳月をかけて、見事に完成させたのであります。
 しかも一流の学究者であり、教育者であった博士は、「私の事業は決して私一個の事業ではない、
 陰に隠れた幾百の人々の力の総合である」(「『大漢和辞典』序」、『諸橋轍次著作集第十巻』所収、大修館書店)と陰の人をたたえることも忘れない、優れた人格を兼備しておりました。
 皆さんも、さまざまな勉強やさまざまな活動のうえで、途中で投げ出したくなるようなことがあるかもしれない。しかし、一歩も退かない学園生であっていただきたい。「いかなることであっても最後まで完成してみせる」という、挑戦の姿勢のなかに、皆さんの人生の確固たる基盤が築かれていくからであります。とくに、先人たちの血のにじむような努力の積み重ねであり、人類の遺産ともいうべき学問の世界には、真摯に取り組んでいただきたいのであります。
 どうか、自然に恵まれたこの地で、大いに身体を鍛えながら、友と語らい、心豊かに有意義な学園生活を送ってください。お会いできる日を楽しみにしております。
2  創価中学・高等学校 第十九回入学式〈昭和61年4月10日〉
 君よ、先輩を乗り越えよ
 私の生涯をかけた大切な創価学園に、本日、諸君を迎えることができ、創立者として、本当にうれしい。心から「入学おめでとう」と申し上げたい。
 諸君の晴れの入学にあたって、 三百申し上げたいことは、どこまでも「勉学」「努力」「忍耐」を忘れないでいただきたいということです。古今東西を聞わず、「勉学」なくして偉大になった人は一人もいないといってよいでしょう。「努力」せずして、深き価値ある人生を生ききった人もいません。経済界であれ、政治、学術の世界であれ、社会のいかなる分野においても、立派な指導者となっている人は、皆、人一倍の勉強と努力をしているものです。また、社会に貢献し、成功した勝利の人は、例外なく「忍耐」強き人であります。
 ともかく諸君の若き時代に、苦労して勉強したものは、生涯の財産となるものです。樹木にも、それぞれ生長する「時」があります。その時にこそ、存分に太陽の光をうけ、また雨などによる水分や十分な養分を吸収しつつ、みずからの生命力で、ぐんぐんと伸びていかなければならない。もしも、その「時」に、生長への生命力が弱く、十分な養分をとらない場合には、生長が遅れ、虚弱な細い樹木となってしまいます。
 それと同じく、勉学に努力すべき現在の大切な「時」を安逸に、むなしく過ごしてしまったならば、心狭き、弱々しき精神の、知性なき人間となり、敗北の人生となってしまいます。それでは、取り返しのつかない生涯の損失となるでしょう。どうか諸君は、今は何をなすべき時かを、しっかりと自覚していただきたいのです。弱い自己に打ち克ち、真剣に勉学に励みゆく姿は、だれが見ても尊敬できる立派な姿であり、伸びゆく美しい姿なのです。もしも遊び半分のだらけた姿であっては、貴重な青春の「時」を失ってしまうことになります。その意味で「勉学」と「努力」と「忍耐」を忘れない一人一人であっていただきたいと訴えたいのです。
 一期生から十八期生まで、学園生全員の健勝と活躍を、私はつねづね祈っております。また、卒業生のさまざまな活躍のようすも耳にし、深い喜びの気持ちをいだく昨今です。
 たとえば、中学一期では、寺西宏友君(創大助手)、神立孝一君(創大講師)、多賀雄司君(聖教新聞記者)、新堀富士夫君(弁護士)、尾張員則君(東大助手)、畝見達夫君(東工大助手)、栗原正行君(創価高校教諭)らがいます。また高校一期では、忍田和彦君(本部職員)、田代康則君(同)、吉郷研滋君(同)、梶岡誓君(同)、西野辰彦君(同)、羽吹好史君(創大助教授)、馬場善久君(同)、石井秀明君(創価女子短大講師)、前田清隆君(同、公認会計士)、狩野俊一君(創価高校教諭)、築地伸之君(弁護士)らのことが思い浮かびますが、他の卒業生も立派に成長し、人格者として多くの人の信望を集めております。また、社会に根を張り、各分野で活躍しています。(=カッコ内は当時)
 そうした姿を見るにつけ、私は本当にうれしく思います。諸君もまた、力ある諸先輩のあとに陸続と続いてほしい。そして、やがて先輩たちを凌駕しゆく有為の人材へと成長していただきたい。ここに、社会貢献の人材の育成をめざす「学園精神」があることを知っていただきたいのです。
 諸君は、学園創立二十周年を前にした「花の十九期生」であります。どうか、これからの三年間、また六年間を、日先の成績に一喜一憂することなく、健康で伸び伸びと成長していっていただきたいと思います。そして、いかなる苦難をも力強く乗り越え、すばらしき青春時代、学園時代であるよう、心から念願しております。
3  創価中学・高等学校 第十九回栄光祭〈昭和6‐年7月17日〉
 国際性豊かな次代のリーダーに
 はつらつと、また生き生きと、学園魂を発揮した青春躍動の姿を見て、本当にうれしい。創価学園にまた一つ、新しき歴史と伝統を刻み、壮大にして深き土台をつくってくださったとたたえたい。また、お父さん、お母さんに、よろしくお伝えくだされば幸いです。
 皆さん方は、現在、学園草創期の息吹そのままに、真剣に勉学に取り組んでいると聞いています。日々、懸命に勉学に挑戦し、成長している事実ほど、創立者としてうれしいことはありません。現在、創価大学のアメリカ・ロサンゼルス分校(現アメリカ創価大学)や、パリの欧州語学研修センター(現創価大学ヨーロッパ語学研修センター)の開設の準備が進んでいますが、私の願いは、これらの地で人材を錬磨し、将来の平和の指導者をつくりたい、国際性豊かな新しき時代のリーダーをつくりたいということです。この「教育」という一点に、私は全力をあげています。また、長野の菅平に今夏、創価大学のセミナーハウスがオープンし、さらに霧ケ峰のほうにも、林間学校として使用できる施設の建設も考えられています。こうした施設を、創価一貫教育の原点ともいえる学園の皆さんも利用していただき、各自の成長を図っていただければと思っています。
 ともかく、一切が人で決まります。企業も人で決まる。一国も人で決まる。平和の建設も人で決まる。その「人」をつくっていくのが教育です。ゆえに私は、諸君に、最高の環境で、伸び伸びと、思う存分、勉強し、新しき世紀のリーダーに育ってもらいたい。すべては、そのための構想であることを知っていただきたいのです。

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