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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和54年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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1  創価中学・高等学校第十二回入学式(メッセージ)〈昭和54年4月7日〉
 日々向上の証を
 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 明るい希望と満々たる意欲に燃えて、新しい人生のスタートを期す皆さん方の顔が目に浮かびます。大いに学び、大いに体を鍛え、思う存分にこの青春を乱舞してください。
 青春は希望と躍動の時代であると同時に、惑いと悩み多き時期でもあります。
 ジヤン・ジヤツク・ルソーはいっています。「大きな幸福を知るためには小さな苦しみを経験しなければならない」と。
 学業の面で、友人とのつきあいの面で、さまざまな惑いや違巡、苦悩を経験することもありましよう。しかし、安易に苦しみから逃れよう、苦しみを避けようとするところに自身の成長はありません。自分一人の孤独の殻に閉じこもるのではなく、みずから動き、語り、みずからの課題に真正面からぶつかっていってください。かならず道は開けていきます。
 眼前の苦しみは大きく見える。だが、それを乗り越えたときには、さわやかな充実感が心いっぱいに広がり、あれほどに悩んだ苦しみも、懐かしい思い出となっていくものであります。
 どうか皆さん方は、この貴重な青春時代を「日々成長」「日々向上」の証で飾っていっていただきたい。そして、この学園の庭で、生涯の友情を育みつつ、互いに啓発しあっていかれんことを、心から念願してやみません。
 皆さん方の新しい門出の人生に、幸多かれと祈りつつ、私のメッセージとさせていただきます。
2  創価女子中学上呂等学校第七回入学式(メッセージ)〈昭和54年4月10日〉
 希望に生きる人生を
 万物の躍動する新生の春、桜花爛漫の交野の地に、愛する創価女子学園の門をくぐられた新入生の皆さん、晴れの入学式、本当におめでとうございます。
 女子学園のモットーの一つは「希望」であります。有名な言葉に「希望は永久に人間の胸に湧く」とあるように、どんなことがあってもくじけずに、前途に希望を生み出していける人が、人間としてもっとも尊い人であります。
 ヘレン・ケラー女史は、目が見えず、日もきけず、耳も聞こえない三重苦の身でありながら「希望」の二字を抱きしめて明るく生きぬき、歴史に名をとどめました。彼女は「希望がなければ何事も成就するものではない」といっております。
 皆さん方は、これからの人生の途上にあって、つらいこと、悲しいこと、いやなこと、心配なこと等々、数多くあるかもしれません。しかし、それらのすべてを、希望の方向へと向けていく努力の積み重ねが、偉大な福運となって人生を飾っていくことを、つねに忘れないで進んでいってください。
 本日は都合で、皆さん方の晴れ姿を見ることができず、まことに残念ですが、近いうちにお会いできる日を胸にあたため、楽しみにしつつ、私のメッセージとさせていただきます。
3  創価中学・高等学校 寮生・下宿生との懇談会〈昭和54年10月31日〉
 社会に光れ
 私は、大切な寮生を預かっている最高責任者であり、また、君たちのお父さん、お母さんからも「私たちは頻繁に行けないので、創立者に見に行ってほしい」という手紙がたくさんきているので、きょう、お邪魔させていただきました。
 皆さんの部屋を見せてもらったが、男としては、まあまあきれいな部屋だ。急に部屋を掃除したことは百も承知ですが、私は諸君のために来たのです。
 今から九百年前に、日本最古の長編小説である『源氏物語』が書かれました。作者は有名な紫式部です。その父親は学者で、周囲には、史書、漢学の書籍が多数、置いてある環境で育った。そして、しぜんとそれらの書籍を読み、父の講義を聞き覚えて、深い学識と人間観をそなえていたのです。
 きょうお話ししたいのは、この物語の主人公・光源氏のことです。
 光源氏の「光」とは、光り輝くように美しく聡明ということで、学園生のようであります。またついでながら源氏とは、皇族がその位を降り、臣下、市民の立場になったことをいいます。源平合戦の源氏とは別の人です。
 光源氏は、帝の第二皇子として生まれ、幼いときから利発で、まことに聡明な男子でした。第一皇子よりすぐれていたので、帝が、源氏を皇太子に立てるのではないかと大変、嫉妬されたのです。
 聡明な人はいじめられやすい場合があります。これは、いつの時代においても同じです。
 光源氏のお母さんは、それが原因で早く死んでしまった。その後、光源氏はおばあさんに預けられたけれども、おばあさんも、光源氏が六歳のころに亡くなってしまった。また、成人してからも、ずいぶん、いじめられています。
 こうして臣下の籍に降りたけれども、光源氏は、おのずから、どこにいてもつねに光る人だった。音楽とか絵をやらせてもぬきんでていた。力があったのです。
 今でいえば「光る」とは、人々を励まし、希望を与え、勇気を与えることであります。その意味で私は、諸君に「光る学園生」になっていただきたいと申し上げたいのです。

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