Nichiren・Ikeda
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昭和三十年(十月)
「若き日の日記・上」(池田大作全集第36巻)
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1 十月一日(土) 雨後曇
台風、二十二号とやら。
新潟大火の事。
向島支部関係の、新潟における世帯数、千数百とのこと。その中で、罹災者は一軒との報告を受ける。
今更乍ら、妙法の法力の、偉大さに驚く。
六時、M新聞のH記者に会見。
暴力行為云々のことにて、強く否定する。本人は、納得せり。だが、五段抜きに報道され、あきれる。
信なき言論。社会を更に悪化させゆく。
言論の暴力。言論の独裁。
弱き者は、常に、哀れなり。
不公平極まる、民主主義。
本部。「如説修行抄」講義。
全部、終了する。割り合い良く講義できた。但し、候補生たちの浅学には、驚く。自分も、初めは、そうであったか。
2 十月二日(日) 雨
午前中、休息。疲労、全く取れず。残念。死魔との戦いの如し。
吾人は、人々に誤解される宿命らしい。不徳のいたすところか。修養の足らざるか。―――
一時過ぎ、志木支部の総会に出席。
小雨、降る。三千四百余名の結集。不安定ながら、無事終了。
帰り、支部長宅へ。支部長と共に、京王地区の総合座談会に、出席。
力の限り、指導し、激励して帰る。
指導して、意気揚々と帰る自分より、これ程まで結集させた、中堅幹部の人々に深く思いを致すべきである。
本当に、吾れは、若い。先生を、思い出す。先生なかりせば、どのように育っていったか。鳴呼。
3 十月三日(月) 雨
又、雨。
身体疲れ、暗き淵に沈むが如し。
信心、強盛になるのみ。打開、打破、転換。自己の力、能力のなさを、悲しく思う。
正午、郵政省に、I君を訪う。
商業学校、大世学院の友である。食事を、地下食堂で、ご馳走になる。
信心の方は、二、三遍、題目を、唱えている様子。困った友。
大風のため、日航機飛ばず。先生、夜行「銀河」(十時三十分、東京発)にて出発。お見送りに行く。下関の指導であられる。
I秘書部長の策と、小才は、宜しくないと思う。随分、私も、人々も、いじわるをされ、讒言され、曲解されて来たことか。
側近達は、誰一人、思い上がるべからず。
先生を、利用すべからず、である。
特に、女人は、恐ろし。未来、重々、注意。
I婦人部長、並びに、U女史を、厳しく叱る。増上慢と―――。多数の人々が、遠慮し、伸びのびと信心出来ぬことを恐れて。―――
H先生と、東京駅まで行き、帰宅。
十二時近くなる。疲れてならぬ。実に、疲れる。しゃくだ。
秋深し。夜半の街、静寂。
孔明を思う。正成を憶う。竹中半兵衛を念う。頼朝を、清盛を、秀吉を。―――