Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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はしがき  

「若き日の読書」「続・若き日の読書」(池田大作全集第23巻)

前後
1  読書は、青年時代の特権であるといってよい。若いときに読んだ本は、溌剌たる精神の血となり肉となり、やがて生涯の骨格さえ形成するものだ。
 「青年ょ、心に読書と思索の暇をつくれ」とは、私の恩師、戸田城聖先生の遺訓ともいうベき指導であった。青年たる者は、一日に二十分でも三十分でもいい、深く静かに思索し、品位と教養を高めよ。読書によって、偉大なる自己を確立せよ。──そう叫んでやまなかった恩師の在りし日の姿が、今でも目に泛ぶのである。
 戸田先生は、その青年時代から無類の読書家であった。私ども十代から二十代にかけての青年を相手に、先生が蓄積された読書論を語るときは、いかにも愉しそうであった。その当時の記録は、私どもの貴重な財宝ともなっている。
 また私は、かつて信仰の道に入る以前に読んだ本の抜き書きを「読書ノート」として、十四年まえの『第三文明』誌に半年ほど掲載したことがある。このたび、そうした恩師の薫陶の数々、また私のノートや日記を素材に織りこみながら、青春時代の忘れえぬ本の思い出を綴ったのが本書である。
 もはや二十年まえ、いや三十年まえの読書記録である。あるいは現代の若者の読書傾向とは隔たるものもあるかもしれない。しかし、日ごろ若い人と懇談していると、依然として「青年時代に何を読むべきか」といった質問を受けることがある。読書というものは、いつの時代にあっても青年の取り組むべき課題であることに変わりはなさそうだ。
 どうか若い人たちには、さらに多くの書物を読んでいただきたい。──そうした願いをこめて、あえて私の読書記録を公にしたしだいである。
 一九七八年七月  著者

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