Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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注解  

「宇宙と仏法を語る」(池田大作全集第10巻)

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1  あ行
 アインシュタイン
 (Albert Einstein 1879~1955)ドイツ生まれの理論物理学者。一九〇五年に特殊相対性理論を、一九一五年に一般相対性理論を発表。更に統一場理論も研究。一九二一年、光量子の理論の研究で、ノーベル物理学賞受賞。
 IRAS
 地上では大気の影響で観測できない微弱な赤外線をとらえるための天文衛星。アメリカ・イギリス・オランダ三国の共同プロジェクトで、一九八三年一月に打ち上げられた。
 阿育大王
 生没年不明。インド・マウリア朝第三代の王で、全インドを統一した最初の王。在位はBC二六八年~BC二三二年ごろとされる。仏法に帰依し、武力による征服をやめ、戦争の放棄・福祉政策・平和外交など平和主義の政治を行った。
 アナロジー
 ギリシャ語のアナロギア(対応・類比)に由来。一切の存在をこえた超越存在があるとする考え。現代科学の分析的論理の限界が自覚されるにともない、注目されるようになった。
 アポロ計画
 アメリカの月着陸有人飛行計画。一九六九年、アポロ号のアームストロング船長とオルドリン飛行士が、人類初の足跡を月面上にしるした。号まで計六回の月着陸が行われ、十二人が月面に降り立った。
 アミノ酸
 アミノ基という水素と窒素からなる原子団をもつ、有機酸の総称。タンパク質が加水分解したときにできる。アミノ酸というレンガで組み立てられた大建築物のようなものがタンパク質。
 畢宿
 雨降星。おうし座の首星アルデバランを含む中央部で、二十八宿の一つ。ヒアデス星団をさす。
 アンソロピック・プリンシプル
 イギリスの天体物理学者、M・J・リースらが唱えている説。
 アンドロメダ星雲
 アンドロメダ座にある銀河系外星雲で、典型的な渦巻き星雲の一つ。大きくかつ明るく見え、天球の北半球で肉眼により認められる、ほとんど唯一の銀河である。
 安楽行品
 法華経安楽行品第十四のこと。迹門の最後の品であり、四安楽行が説かれている。
 一往・再往
 一往とは、一通り・そのままの意で、浅近な表面的観察をいう。再往は、一重立ち入った、更に深い観察の意。
 一念三千
 一念とは、瞬間の生命の働きをいい、三千とは現象世界のすべてをいう。一念三千とは、一瞬の生命に十界を具し、十界は互具して百界、百界に十如是を具して千如是、千如是に三種の世間を具して三千世間、つまり一瞬の生命のなかに、現象世界のすべてが欠けることなくおさまっているということ。(十界・十界互具・百界千如の項参照)
 因果倶時
 一念の生命に因(原因)と果(結果)が同時にそなわっていることをいう。因果異時に対する語。たとえば春に種をまくと(因)、秋に実がなる(果)場合、現象的には時間的差異があるように思えるが、本質的には、種をまいたときに、すでに実がなるという結果を含んでいる(因果倶時)のである。つまり、因は果を具し、果は因に即した果であり因果一体なのである。
 因縁
 因と縁。結果を生ずべき直接の原因を因といい、因を助け結果にいたらしめるものを縁という。一切の現象は、因と縁が和合して初めて結果がもたらされる。
 宇宙塵
 宇宙空間に存在する微粒物質。地球に落下する際、大気との摩擦により発光し、流星となるものもある。また、星間物質のうちの炭素やケイ素の微小固体物質をさす場合もある。
 宇宙連絡船
 従来の使い捨てロケットに代わり、回収して何回も使い、コストを低くするねらいで考案された人工衛星等の運搬機。ブースターと軌道船で構成、軌道船は任務を終えた後に回収される。
 ウラシマ効果
 アインシュタインの特殊相対性理論では、光速度に近づくと時計の進み方は、限りなく遅くなる。例えば、地球で一年が経過しているのに、光速に近いロケットのなかでは、一カ月とか一日しかたっていないということもありうる。「浦島太郎」の物語に似ているため、ウラシマ効果と呼ばれる。
 運動量の保存則
 二つの物体が衝突したとき、一方の物体が得た運動量は他方の物体が失った運動量に等しい。すなわち衝突によって一方から他方へと運動量の一部が移ったことになる。このように各物体のもつ運動量は時間とともに変わっていくが、運動量の総和は常に一定していることを運動量の保存則という。ルネ・デカルトの哲学原理第二部で運動量の保存が初めて問題にされた。
 依正不二
 依報と正報が二にして不二であることをいう。正報とは生命活動を営む主体をいい、その身がよりどころとする環境・国土を依報という。この二つは、ともに自己の過去の業(行為)によって招いたものであるから同じく報という。つまり生活体である自己と生活環境である自然とは、観念のうえでは区別できるが、実際には分離することのできないもので、両者の関係は而二不二(二にして二ならず)であり、相依相関性を成している。
 縁覚
 梵名で辟支仏といい、独覚等と訳す。ひとりで十二因縁の理を観じ、また飛花落葉等の外縁によって覚るゆえにこの名がある。仏の教えによらず自ら理を覚り、自己の解脱のみを願い、利他の心がない聖人・聖者のこと。
 円融円満
 円融にして円満なことをさす。円融とは、互いに妨げることなく融合し一体となっていること。円満は、満ち足りていて欠けることがないことをいう。
 円融の三諦
 円教で説く空・仮・中の三諦のこと。隔歴の三諦に対する語。おのおのが個々の独立した真理として考える隔歴の三諦に対して、三諦のそれぞれが自己のなかに他の二諦をそなえ、三諦は常に即空・即仮・即中であるとたてるのが円融の三諦である。すなわち一実相・一切諸法すべて空仮中の三諦を欠けることなく兼ねそなえた円融円満の当体であることをいう。
 オズマ計画
 アメリカが一九六〇年に行った実験で、宇宙の知的生物が放つ電波をとらえることをめざした。くじら座タウ星とエリダヌス座イプシロン星を目標に、ウェストバージニア州にある国立電波天文台の直径二五メートルのアンテナを使って行ったが、なにも発見されず、三カ月で中止。
 オリオン星雲
 オリオン座の三つ星の南約五度にある扇状に広がった散光星雲。肉眼では、ややぼんやりとうるんで見えるが、蝶に似た形に輝き、近距離にあるため、全天でいちばん明るく見える。
 陰陽道
 古代中国の陰陽五行説にもとづいて天文・暦数・占い・地相・家相などを研究し、吉凶を定めて福を招き災いを避けようとする方術。七世紀初め、百済を経て日本に伝来し、平安時代に最も流行した。陰陽道を 司る所として中務省の下に陰陽寮が置かれ、術を司る者を陰陽師といった。後、次第に俗信化した。
2  か行
 ガウスの定理
 ドイツの数学者・物理学者・天文学者であるガウスが発見した定理。ベクトル場Aがあるとき、閉曲面S内の空間をVとすれば、Aの発散のV内の体積積分はAのSの法線方向の成分をS上で面積積分したものに等しい、という定理。
 核力
 原子核の陽子と中性子の間に働く強い短距離力のこと。この力により、陽子と中性子が狭い領域内にまとまっている。核力によって核子中間子相互作用の結合定数を決めるなど中間子論の定量的な支持が初めて得られた。
 カニ星雲
 超新星爆発の残骸で、一〇五四年に発見された。おうし座にあるガス星雲。形がカブトガニに似ていたことから、この名がつけられた。
 ガモフの宇宙論
 アメリカの理論物理学者であるガモフ(George Gamow 1904~1968)を中心に唱えられた、宇宙は膨張を続けているとする宇宙論(膨張宇宙論)。ガモフは一九五九年十月に来日し、「宇宙と生命の起源」などのテーマで各地で講演した。
 ガリレオ
 (Galileo Galilei 1564~1642)イタリアの天文学者・物理学者・哲学者。力学上の諸法則の発見、天体の研究など近代科学の父といわれる。コペルニクスの地動説を是認し、宗教裁判にかけられた。主著に『新科学対話』『天文学対話』など。
 勧持品
 法華経勧持品第十三のこと。持品ともいう。釈尊滅後の末法には、法華経を弘める行者に三類の強敵が競い起こることが示されている。その三類の強敵を説いた文を「勧持品の二十行の偈」という。
 カント
 (Immanuel Kant 1724~1804)ドイツの哲学者で、批判哲学を樹立。ニュートン力学なども研究し、太陽系の構造と起源に関する論文を書いた。主著に『純粋理性批判』『実践理性批判』『道徳哲学原論』など。
 カント=ラプラスの星雲説
 太陽系は最初は星雲状で、回転運動の状態から収縮して環を生じ、星ができ、元の物質の周囲を回転するようになって惑星が生じたとする説。カントの説をラプラスが力学的に補説した。
 元品の法性
 根本の悟りのこと。元品の無明に対する語。元品は根本の意で、法性は真実不変の本性のこと。つまり、衆生の生命にある真理・智慧の根本となる本性のことをいう。
 元品の無明
 衆生の生命に本然的にそなわっている根本の迷いのこと。元品は根本の意で、無明は物事が明らかにみえないことをいう。元品の法性に対する語。
 九七年問題
 英領・香港の歴史は、南京条約(一八四二年)によりイギリスに割譲されたことに始まる。その後、当時の清朝政府との間で、九竜半島の残り全部と付近の島・海域を一九九七年まで租借する条約を締結。その租借期間が一九九七年六月末に切れることをさす。
 境淵無辺
 『法華玄義』に方便品の「諸仏智慧甚深無量」の文を釈して「境淵無辺なる故に甚深といい智水測り難き故に無量という」とある。仏の智慧が無限の深さと広がりをもつことを意味している。
 教相・観心
 教相とは、仏の所説の教法を表面的に解釈することで、観心とは教相の肝要、奥底を己心に観じていく実践修行のことをいう。
 境智の二法
 境とは認識・価値判断の対象として客観視した世界をさし、智とは認識し評価する主観的智慧をいう。仏法では、この境智が深く融合しあうところに価値を生じ幸福があると説く。
 
 生命活動の不快、苦しみをいう。楽に対する語。仏法においては、四苦八苦・四諦・十二因縁・三道などいろいろな角度から解明されている。
 空仮中の三諦
 空諦・仮諦・中諦のこと。諦は「あきらか」「つまびらか」の意。空諦とは万法の性分をいう。仮諦とは諸法は変化してやまず、因縁によって仮に和合しているということ。中諦とは空でもなく仮でもない、文字・言語では表現できないありのままの実在のこと。この三諦は一つの実在を三つの観点から認識したものであり、分離して考えることはできない。すなわち三諦は一諦に含まれ、一諦は三諦によってとらえた実在の一面である。
 九識心王真如の都
 九識とは天台宗・華厳宗等において、物事を識別する心の作用を九種に分けたもの。その第九識(阿摩羅識)を心王と呼ぶ。真如は真実にして不変であるの意。また、心王の住するところの意で都といい、九識は生命の根本の真理であるゆえに心王真如の都という。
 クローン抗体
 受精を経ずに、親と遺伝的にまったく同じくつくられた(クローニングされた)個体の集団。一九六二年、イギリスのガードン博士が初めてクローン動物をつくることに成功した。
 桂冠詩人
 英国で王室の宮内官として終身年俸を受ける詩人。古代ギリシャで、名誉ある詩人が頭に月桂冠をのせた故事にならったもの。一九八一年の世界詩人会議において、文学上業績詩才ある“日本の桂冠詩人”として、その称号が池田大作氏に贈られた。
 下種益の仏
 下種益とは、三益(下種益・熟益・脱益)の一つで、種蒔きにたとえて、仏が衆生の心田に成仏の種子を下ろすことをいう。つまり末法の衆生は、釈尊に縁がないゆえに、妙法を下種され信受することによってのみ成仏できる。その教主日蓮大聖人をさして、下種益の仏という。
 灰身滅智
 小乗教の理想とする境地で、一切の不幸の原因は煩悩にあるとし、そのよりどころである心身を共に滅してしまい、空の境地に入ろうとする教え。灰断ともいう。
 ケプラーの法則
 ケプラーが発見した、惑星運動についての三法則。①惑星は太陽を焦点とした楕円軌道をえがく。②太陽と惑星を結ぶ動径の面積速度は惑星ごとに一定である。③太陽と惑星の平均距離の三乗と公転周期の二乗の比は、どの惑星についても同じである。
 牽牛星
 わし座の首星アルタイルの漢名。和名では彦星といい、七夕の伝説で有名。天の川をはさんで織姫星と相対して白色光を放つ。表面温度七五〇〇度、質量は太陽の一・八倍とされ、秒速二六〇キロ以上の速度で自転している。
 原始星
 恒星が生まれるまえの母胎となるガスや塵の凝集した天体。表面温度は太陽より低いが、太陽の数百倍も明るい。
 原始惑星
 微惑星(星の誕生にあたり固体層の重力分裂の結果生まれたもの)が、相互に衝突・合体を繰り返しできる惑星。質量が1025グラム(ほぼ月の質量)に達したものをいう。
 
 過去における身口意の所作が、未来にもたらされる結果の原因となることをいう。業因ともいう。善悪に分けて善業と悪業がある。また、過去世の業を宿業といい、現世の業を現業という。
 豪談
 桂小五郎と山内容堂の意をうけた長州の久坂玄瑞、土佐の中岡慎太郎が、蟄居九年の佐久間象山に会うため信州松代に赴いた。そのもようを高杉晋作が「豪談」と称した。
 五陰仮和合
 五陰(色陰・受陰・想陰・行陰・識陰)が、仮に和合して生命を構成していることをいう。①色陰とは有形の物質のこと、②受陰とは感覚作用、③想陰とは心に思い浮かべる作用、④行陰とは思いから起こる行動、⑤識陰とは認識・識別作用をいう。
 虚空会
 法華経説法の会座の一つ。法華経は初めに霊鷲山会、それから虚空会、最後にまた霊鷲山会と二処で三回にわたって説法が行われた。そのうちの重要な説法(宝塔品から嘱累品まで)が虚空会で説かれた。仏も大衆も、すべて虚空のなかに存在するため虚空会という。
 国連平和賞
 国連に大きな貢献のあった人に国連事務総長から授与される賞。
 五時八教
 釈尊一代の説法を天台が体系的に分類整理したもの。五時とは、その説かれた年代にしたがって分けた華厳時・阿含時・方等時・般若時・法華涅槃時をいい、八教とは衆生化導の方法から釈した化儀の四教(頓・漸・秘密・不定)と、その説法内容から分類した化法の四教(蔵・通・別・円)のことをいう。
 小林秀雄
 (1902~1983) 正統芸術派を代表、近代批評を創造した評論家。独自の言語論を基調とし、プロレタリア文学の観念性を批判。近代日本文学の再検討、創造的批評の実践などをめざし活躍した。主著に『私小説論』『ドストエフスキーの生活』『無常といふ事』など。
 五百塵点劫
 釈尊が法華経本門において、迹門で説いた始成正覚(インドで初めて仏になったこと)を破して、五百塵点劫という長遠な過去に成道し(久遠実成)、それ以来衆生を教化してきたと明かしたこと。その長い時間を五百塵点劫といい、仏の生命の永遠性を示している。
 権教
 権とは真実に対して「かり」という意味。すなわち、釈尊が衆生を法華経に導入するために説いた方便の教え(爾前経)を権教という。実教(法華経)に対する語。
3  さ行
 サイクロプス計画
 一九七一年にアメリカで発表されたSETI(地球外知性探査)計画。直径一〇〇メートルのアンテナを一〇〇〇個以上コンピューターで制御する。
 三界の相
 迷いの煩悩にわずらわされて、いつまでも六道輪廻を繰り返している三種の境界(欲界・色界・無色界)のこと。欲界とは食欲・性欲などの欲望の世界、色界とは物質だけの世界、無色界とは物質を超越した精神世界のことをいう。
 三角測量
 三角形の一辺とその両側の二角を測定して、三角法の計算で他の諸量を求める方法。その一辺を基線と呼び、ふつう距離が既知の線を用いる。
 三車火宅の譬え
 法華経譬喩品第三に説かれている譬え。法華経の七譬の第一にあたる。長者(仏)が火事になった家(娑婆世界)の中で遊んでいた子供(一切衆生)に、羊車(声聞)・鹿車(縁覚)・牛車(菩薩)の三車(三乗)を与えるといって助け出し、実際には大白牛車(一仏乗の法華経)を与えたこと。開三顕一の法門を譬喩のかたちで説いている。
 三千塵点劫
 法華経迹門(化城喩品第七)において、釈尊が結縁の衆生との化導(教化し導くこと)の始まりを明かしたもの。すなわち、三千塵点劫(膨大な数えることのできない長い時間)の昔に、大通智勝仏という仏がいて、その滅後に十六人の王子が法華経を説法した。その第十六王子が娑婆世界の釈迦牟尼仏であり、そのとき化導した衆生が、今の釈尊の弟子であると明かした。
 三千大千世界
 古代インドの宇宙観。須弥山を中心に月・四州(地球)・六欲梵天(惑星・衛星)を含むものを一世界とし、その百億倍したものを小千世界といい、小千世界を千倍したものを中千世界といい、さらに千倍したものを三千大千世界という。広大無辺な大宇宙を示したもの。
 三毒
 善根を毒する煩悩で、貪瞋癡の三種。三根ともいう。貪とはむさぼり愛すること、瞋とはいかり、癡とは無知・おろかなこと。この三種の煩悩は、一身煩悩の根本となり、衆生の心身を今世・後世にわたって毒するので三毒という。
 三変土田
 法華経見宝塔品第十一で、釈尊が三度国土を変じて浄土となしたこと。すなわち凡聖同居土(凡夫と聖者が同居している娑婆世界)・方便土(声聞・縁覚・下位の菩薩が住する国土)・実報土(上位の菩薩が住する国土)の三土を清浄にし、一仏国土としたことをいう。
 色心不二
 色と心が二にして不二であること。色(色法)とは物質・肉体・外形的なもので、心(心法)とは精神・心の働き・内在する力用のこと。色法すなわち外形としてあらわれた具体的な相と、心法すなわち生命内奥の世界の二つが不二であることをいう。
 四元素説
 物質を構成する要素として考えられた四元素(土・水・空気・火)のこと。古代ギリシャの哲学者のなかで、タレスは水を、アナクシメネスは空気を、ヘラクレイトスは火をそれぞれ元素とする一元論を唱えた。エンペドクレスはこれに土を加えた四元素説をとり、アリストテレスに受け継がれ確立された。
 自体顕照
 妙法による智慧の働きをさす。日蓮大聖人は、万法の体である境(妙法蓮華経)に自身の智が冥合することを自体顕照の姿とされている。つまり、自分を明らかに照らしだすことであり、個性を最高に発揮することをいう。
 四大州
 古代インドの世界観で、世界の中心とされた須弥山の四方にある四つの大きな島のこと。東弗婆提・西瞿耶尼・南閻浮提・北鬱単越の四つをいい四州ともいう。『倶舎論』にでてくる。
 七譬
 法華経に数多く説かれている譬喩のなかでも、とくに重要な七つの譬喩のこと。火宅・窮子・薬草・化城・衣裏珠・髻珠・良医の法華経の七大喩のこと。
 十界
 仏法の立場から一個の生命体、生命現象を解明したもので、瞬間瞬間の時間の流れの中にあらわれる生命の境地を十種(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天・声聞・縁覚・菩薩・仏)の境界に分けたもの。
 十界互具
 爾前経における十界各界の固定的な差別を取りはらい、法華経にいたって十界のそれぞれに、さらに十界がそなわっているとしたこと。つまり十界は、一個の生命にそなわっている渾然一体のものとして明かされた。これは、一念三千の重要な原理となっている。
 実教 
 仏が自らの悟りのままを説いた真実の教えのこと。権教に対する語。実はまこと・真実の意。法華経をさす。
 十不二門
 天台の法華玄義に説かれた本迹の十妙を妙楽が釈したもの。色心不二門・内外不二門・修性不二門・因果不二門・染浄不二門・依正不二門・自他不二門・三業不二門・権実不二門・受潤不二門の十の不二門のこと。
 十方法界
 十方は、東・西・南・北の四方、東南・東北・西南・西北の四維、上下の二方のこと。法界とは、森羅万象の現象世界、すなわち全宇宙のこと。
 死魔
 四魔(煩悩魔・陰魔・死魔・天子魔)の一つ。仏道修行をする者が、死によって修行の道を閉ざされたり、その死によって他の者が仏法に疑いをもつことなどをいう。
 四門遊観
 釈尊が出家する以前、悉多太子のときに王城の四つの門から出て、人身に生老病死の四苦があるのを知ったこと。修行本起経によると、東門から出て老人を見、南門で病人に会い、西門で死人を見、最後に北門から出て沙門(出家者)に会い、その清浄な姿を見て出家得道を発心したという。
 釈尊
 釈迦牟尼世尊の略。釈迦の尊称。釈尊は過去世における修行によって、三千年前にインドに出現し、十九歳のときに出家、三十歳で成道したとされる仏である。そして成道のときより五十年の間、八万法蔵を説法し、最後の八年間で法華経二十八品を説いた。
 迹門・本門
 迹門とは法華経二十八品のうち、前半の序品第一から安楽行品第十四までのことをいい、垂迹の仏(始成正覚の仏)を説いた経文。本門は後半の従地涌出品第十五から普賢菩薩勧発品第二十八までをいい、仏の本地(久遠実成)を明かした経文。
 シャーマニズム
 巫女を媒介に霊的存在との接触・交渉ができるとする信仰。鬼道、呪術。語源は、ツングース語のシャーム(とびあがる)に由来。
 十二因縁
 三界の迷いの因果を十二種に分けてあらわしたもの。すなわち、無明・行・識・名色・六入・触・受・愛・取・有・生・老死の十二のこと。
 宿業
 過去世において、身口意の三業の積み重ねによってつくった業因のこと。善い宿業(善業)と悪い宿業(悪業)があるが、一般的には悪いほうの意味に使われる。
 衆生所遊楽
 法華経寿量品第十六の文。「衆生の遊楽する所なり」と読む。衆生とはわれわれ凡夫のことで、所とは娑婆世界(現実社会)、遊楽とは最高の幸福境涯をさす。すなわち、寿量品で娑婆即常寂光土(最高の浄土)と説き明かされ、苦悩と無常の現実社会を妙法をたもつ衆生の最高の遊楽の場所と転じたことをいう。
 須弥山
 インドの世界観・宇宙観で、世界の中心にあるとされる最高の山。妙高・妙光・安明などと訳す。周囲には七つの海と七つの山があるとされる。紀元前二〇〇〇年ごろには、すでにこの須弥山を中心とする世界観があった。
 須弥山説
 江戸後期、佐田介石などは『須弥須知論』で、「須弥山の説、立たざるときは釈迦一代の説法一つとして立つべきものなし」と論陣をはった。
 寿量品
 法華経巻六如来寿量品第十六の略。釈尊の本地久遠実成を明かした重要な品。その文底には、日蓮大聖人こそ末法の御本仏であり、南無妙法蓮華経のみが衆生を救済できる唯一の法であることが説かれている。
 定業
 苦楽の果報をうけること、またその時期が決定している業のことをいう。善果をうけるのを善の定業、悪果をうけるのを悪の定業という。不定業に対する語。
 生住異滅の四相
 四有為相ともいう。一切の事象が生じ(生相)、存続し(住相)、変化し(異相)、消滅する(滅相)過程をいう。人間などの一生にあてはめた「一期四相」(大の四相)、瞬間の事象にあてはめた「刹那四相」(小の四相)などがある。
 成住壊空
 成劫・住劫・壊劫・空劫の四劫のこと。宇宙・生命その他一切のものの流転をあらわす。成劫は成立・形成する期間、住劫は安定期間、壊劫は壊滅していく期間、空劫は壊滅が終わり、空となる期間をいう。
 小乗教
 小乗仏教ともいう。少数の人を短期間にわたってしか救うことのできない教え。大乗教に対する語。大乗教が自利利他の両面を満たす菩薩道を説くのに対して、小乗教では自己の悟りのみを目的とする声聞・縁覚の道を説く。
 焦熱地獄
 八大地獄の一つで炎熱地獄ともいう。炎が身につきまとい、熱苦に耐えがたいこと。正法を求めようとしない邪見の者は、この地獄に堕ちるとされる。
 生滅滅已・寂滅為楽
 「生滅滅し已って寂滅を楽と為す」と読む。涅槃経巻十三などに説かれている。生滅とは生より死までの人間の生涯をいい、滅已とは煩悩を断ち切ることをいい、寂滅は涅槃を意味し、為楽とは悟りをいう。つまり、生死にまとわりつく煩悩を断ち切り、到達する涅槃の世界に、このうえない安楽があるという意味。
 四要品
 法華経二十八品のなかで、その要となる四品のこと。方便品・安楽行品・如来寿量品・観世音菩薩普門品をさす。
 生老病死の四苦
 人の一生における根本的な四種の苦しみのこと。四苦八苦のなかの四苦のこと。①生苦(生まれ出る苦しみ)。②老苦(年老いていく苦しみ)。③病苦(病気による苦しみ)。④死苦(死ぬことの苦しみ)。
 諸行無常・是生滅法
 「諸行は無常にして是れ生滅の法なり」と読む。この世のあらゆる存在は、生と死を間断なく繰り返して移り変わり、決して同じ状態に止まることがない生滅の法であるということ。涅槃経巻十三の文。
 諸天善神
 法華経の行者を守護し、民衆や国土を守り、福をもたらす働きをいう。梵天・帝釈・八幡大菩薩・天照大神をはじめとする一切の諸天・諸菩薩の総称で、それ自体は信仰の対象ではなく、正法護持としての存在である。
 身・口・意の三業
 身業・口業・意業の三つ。身体で行う動作・ふるまいを身業とし、言語による表現を口業、心で思う思慮分別を意業という。身口意の三業は仏道修行の根本で、行動・話すこと・思うことの三つが相応していなければ、正しい仏道修行の姿勢とはいえない、とされる。
 真空冥寂
 不可思議の意で仏の悟りのこと。妙法蓮華経の妙をさす。『修禅寺相伝日記』等にある。
 人工心臓
 心臓移植に代わるものとしてすすめられている人工の心臓装置。ポリウレタンでつくった埋め込み式の人工心臓の研究がアメリカで行われ、一九八三年、ユタ大学で重症心不全患者のクラーク氏に装着し、延命に成功したが、百十二日後に死亡した。
 塵点劫
 塵点とも塵劫ともいう。きわめて長い時間のことで、三千大千世界を微塵にしてその一点の塵を一劫(一劫はふつう八百万年ともあるいは千六百万年ともいわれる)と数えるような非常に長い時間のことをさす。法華経では、三千塵点劫・五百塵点劫の二つが説かれている。

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