Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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現代人  

「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)

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1  現代人
 池田 こうした文明の人間つまり“現代人”というものを、あなたはどのように定義されますか?
2  ユイグ 人間は、農業時代に、その本性を開花させました。農業は、あらゆる面で自然に参画させてくれると同時に、人間の特質を形成している完成と質と向上をそこに付け加えたのです。ところが、その人間が、いまや拒絶され、衰えさせられ、追放されるにいたっています。
 一方では、この新しい文明は、たしかにかつて想像もできなかったほど、人間の外的世界に対する支配力をもたらしています。しかし、他方では、この、自分の必要と欲望だけに関わる利益の代償として、不均衡と内面的な損傷をさえ招いているのです。なぜなら、欲望の充足のかわりに、生命の最も深い層であるとともに、最も崇高な高みをつくっている諸機能を萎縮させ、窒息させられているからです。
3  感覚や理性の働きに頼らないでも、私たちが宇宙についてもっている直観は、感受性によってより意識的な水準に移されるならば、精神性の欲求にまで高まります。すなわち、直観は空間の中に広がっている物質的世界の外観の背後に、一つの実在があることを予感させてくれるのです。この実在に対し、物質世界の外観は、覆いであり、いわば皮膚にすぎず、さらにいえば仮面ともいえるでしょう。物質的外観は読みとるのに便利なためのスクリーンを形成しています。しかし、それは、たぶん、この世界の魂である非物質的な、もっと別の実在から、外観的なものを分けへだててもいるわけです。

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