Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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ブルジョアの興隆
「闇は暁を求めて」ルネ・ユイグ(池田大作全集第5巻)
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ブルジョアの興隆
ユイグ
それをよく理解するには、まず、社会学的観点から、十二、三世紀以来のブルジョアジーつまり商人・経営者階層という、一つの新しい階級の抑えがたい興隆によってそれが準備されていたことを想起することが必要です。
商人と農耕者とのあいだには、農耕者が遊牧民と違っているのと同じくらいの違いがあります。商人は耕作をしません。自然と接触することもありません。彼は他の人びとによって仕上げられた製品を手に入れます。一例に織物をあげましょう。羊の群れを飼い、その毛を刈って羊毛をとるのは農民です。羊毛を糸に紡ぐのは農民の妻です。そこで商人が入ってきます。彼は糸を買い取り、それを機織りにまわします。機織りは初めは手仕事でしたが、のちには工業の支配下におかれることになります。ですから、商人は、すでに仕上げられた製品を手に入れ、この製品を算定し、販売を組織化して利益を生ずるようにするのです。ですから彼がそれを見るのは、物質的・経済的視点からです。
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城や宮殿の周囲に町をつくったのは商人でした。そして、そうした町(ブルグと呼ばれた)が、ブルジョア階級の源なのです。
以来、徐々にですが、一つの注目すべき変化が生じたのです。先史時代人や農業人は、本質的に宗教的な人間でした。ブルジョア階級も、これらの教義と礼拝を受け継いでいます。初めのうちは、先祖から受けたためにそれらに影響されています。しかし、ブルジョア階級は新しい精神でそれを鈍化させます。この新しい精神はしだいに宗教と競合するようになり、ついにはこれを破壊してしまうでしょう。
これが
現実主義
リアリズム
の精神ですが、それはもはや、自然への愛や、自然との兄弟愛といった
写実主義
リアリズム
とは違ったものです。ブルジョアは、自然とのつながりをどのように保持しているでしょうか? ブルジョアは都市をつくり、その城壁の中に閉じこもります。彼は田舎に関係を広げ、それから、それを断ち切って、ただその生産物を受け取るだけにしたのです。それ以後、彼が職業的に必要とする現実主義は、“もの”についてのそれです。なぜなら、彼にとって必要なことは、提供されるものの仕入れ価格を、厳格に、利益になるように評価できることだからです。
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彼には、羊毛や綿、亜麻を混合する権利はもっていません。彼はそれを自分の感覚機能で鑑定し、視覚的に、要するに経験的に、品物の商品価値がいかほどであるかを判断しなければならないのです。それからつぎに、それを工場へまわして加工し、仕上げさせます(やがて職人にかわって労働者が商人のもとにおかれ、増大していきます)。彼は商品の展示や“需要”と“供給”の関係に気を配り、取り引きを推進して製品をカネや金銭価値に変えるよう配慮します。たしかに貨幣経済は早くからありました。しかし、のちにブルジョアジーが従事することになる銀行の発達と仕組みについては、認識されていなかったのです。
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