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人類の災厄との闘争で生まれるもの  

「人間革命と人間の条件」アンドレ・マルロー(池田大作全集第4巻)

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1  人類の災厄との闘争で生まれるもの
 マルロー したがって、いままでのところ否定的な議論をしたわけですが、積極的な議論に移りましょう。
 いくたの民族の上にのしかかっている脅威は、中国でもその他の大国の脅威でもなく、《汚染》というタイプの脅威です。汚染には七つの大きなタイプがありますが、ここで私は、ある提案をいたしたいと思います。平和のためにできる、いちばん大きな行為として、池田会長のひじょうに有力な組織が、この七種類の汚染の、たとえ一つだけとでも闘うということです。
 そしてつぎは、アメリカへ呼びかけることです。アメリカとしてはこれを受けて立つでしょう。さらにアメリカからソ連に協力を呼びかける。日本から呼びかけてもかまいませんが。ソ連も受けて立つでしょう。
 なにしろ、アメリカを相手に戦えというのではなく、汚染を相手に戦えというのですから、これを拒否したらソ連としてもアメリカとしても世界的にひじょうに分が悪い立場になるでしょう。こうして、歴史上かつてない、世界的スケールにおける人類の災厄との闘争といった志向が生ずることになります。いいかえれば、はじめて世界が具体的に一つになる基盤というものができあがるでしょう。
 つまり、共同の敵を持たずして人間は一つになりにくいものなのですから。一個の国ではなく災害にたいする闘いを挑むことによって、世界統一をおこなう可能性が出てくるということです。
 池田 たいへん達観したご提案ですね。私も、そのことについて徐々に実践・実行するつもりです。日本においても、現実に被害を受けている人々とともに、もっとも真剣に公害に挑戦しているのは創価学会であり、公明党であると確信したい、と同時にそれを期待してもいます。世界的スケールにおいても真剣に考えてみたい。
 ともかく、いままでに三十五か国、これから行きます中国とソ連を入れますと三十七か国を私は訪れ、汚染の問題を含め、平和への努力をつづけております。
 そしてまた一九七二年と七三年、トインビー博士と合計約十日間にわたって意見を交換することができました。また、ルネ・デュボス博士をはじめ、多くの世界的な知識人、文化人のかたがたとも公害にたいする挑戦についての話し合いをすすめ、その本質を論じあっています。その意味でも、とくにきょうあなたとお会いできたことは重要です。それらを全部蓄積しながら思索もし、実践もしたいのです。とくにいまのご提案にたいしては取りくんでいくべき示唆を強く受けました。
 いま、私たちの文化的運動、ならびに公害にたいする運動、平和をめざす運動に連携をもっている国は約八十四か国です。道は長いと思います……。うちの女房が、アンドレ・マルロー先生の小型で世界を回っていますねと、今朝、いっておりましたくらいで……。(笑い)

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