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1 　宗教と政治の関係について
　マルロー　“太陽の仏教”というのは、“日蓮の仏法”ということですね？
　池田　そうです。現在、急速な進歩をとげた技術文明のメカニズムの社会において、希望に燃え、未来に生き、逞しく未来を創造しゆく若き青年たちが、確信をもって信仰を実践し、日常の活動をとおして、それぞれの社会に貢献しています。その帰趨するところ、かならずや新しい文化が蘇生するでありましょう。
　マルロー　創価学会のメンバーはどのような活動をされているのですか？
　池田　文化の専門分野などにおいては、芸術・学術・教育・文学・医学、そして政治・経済等あらゆる領域にわたっています。
　マルロー　政治のほうは？
　池田　自然の流れとして公明党といえます。ただし、純粋な信仰が政治の手段にされてもならないし、また宗教が政治の複雑性に巻きこまれて濁ることも仏法者として責任がありますので、現在では機構上、明確に分離しております。しかし、支持・支援することは主権在民のなかに生きぬく憲法の精神のうえから自由ですから、とうぜんいたします。
　マルロー　ぜひ教えていただきたいことがあります。それは、ある一つの宗教団体が、どのようにして国会という政治の場に結びつけられていくのか、ということです。
　池田　仏法の信仰・実践といっても、私たち仏法者は日本列島に住む社会人であるわけです。したがって、社会人としての義務と権利のうえからも、政治が大衆の福祉と平和の実現のために運用され、志向していくように、監視していくのは、その国の国民としてのとうぜんのことではないかと思うのです。
　つまり、仏法における慈悲の精神、寛容の精神に根ざした人間解放の使命、社会への貢献を心がけている有能な人材が政治の場に進んで活動していく。そうした活動を、われわれも応援するわけです。
　マルロー　公明党と共産党の関係はどうですか？
　池田　政策には似かよったところがありますね。ともに大衆の側に立っていますから……。しかし、その思想的基盤としては、共産党はやはり、共産主義の思想であり、公明党はあくまでも中道主義―人間中心主義であって、平和革命をめざしています。ただ、大衆の側に立って、大衆の要望をどのように担っていくかということについては、ある程度の共通性はあります。
　マルロー　たとえば共産主義者の場合、生産の手段を全部国家がにぎるようなことを考えているわけですが、公明党の場合も、やはり同じような考えですか？
　池田　そうではありません。国民の利益のために基幹産業のうち国家に移すべきものもなかにはあるでしょう。しかし、基本的には混合経済をとっていきます。むしろ権力にたいする考え方としては、それを独占的に集中するのではなく、つねに国民、民衆、民間の人々が、権力を見守り、監視する輪のなかに権力自体を位置づけるということです。