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不戦世界を目指して――ガンジー主義と現… ガンジー記念館記念講演

1992.2.11 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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1  本日は、ご多忙のなか、ご列席いただいた、尊敬するラマ・レディ大学基金委員会議長、パンデイ・ガンジー記念館副議長、アショーカ・コーシ同理事、ラダクリシュナン同館長をはじめ、皆さま方に、厚く御礼申し上げます。″精神の大国″インドの伝統あるこのガンジー記念館からお招きいただき、このように講演の機会をいただいたことは、私の最も光栄とするところであります。
 マハトマ・ガンジーが生涯を終えた地を原点として、その不滅の精神を、世界へ、未来へ、脈々と伝えゆかれんとする貴記念館のご努力に、私は満腟の敬意を表する一人であります。
2  昨年秋、来日された館長とも、お互いの師匠の思い出に触れながら、師匠から弟子へと受け継がれていく「精神の継承」をめぐって、ゆっくりと語り合いました。実は、本日二月十一日は、私の亡き恩師戸田城聖創価学会第二代会長の誕生日なのであります。恩師は、一九〇〇年の生まれでありますから、ガンジーとは、ほぼ三十歳の年齢差であります。
 第二次世界大戦中、ガンジーが、最後の獄中闘争を行っているとき、我が恩師も、日本の軍国主義と戦い、牢獄にありました。恩師は、ガンジーのごとく、信念の平和主義者でありました。慈愛の民衆指導者でありました。独創の歴史変革者でもありました。
 私どもの「平和」と「文化」と「教育」の運動は、すべてこの恩師の精神と行動を受け継いだものであります。恩師は、こよなく貴国を敬愛しておりました。いつの日か、この憧れのインドの大地を踏み、インドの哲人たちと心ゆくまで語り合いたいと願っておりました。その意味において、私は、この席に恩師と二人して臨んでいるような感慨を禁じ得ないのであります。
3  さて、私どもは現在、一世紀に一度あるかないかの大変革期に直面しております。世紀末に変動はつきものと言われておりますが、ゴルバチョフ氏のペレストロイカに先導された歴史の流れは、文字どおり堰を切られた奔流のように、ペレストロイカそのものをも、飲み込んでしまいました。ベルリンの壁の崩壊からソ連邦の消滅に至る、ここ数年の動きは、あらゆる歴史家の予測を大きく上回ってしまいました。
 その結果、自由を求める民衆の声は、もはや、いかなる権力をもってしても抑圧できないという事実が明らかになってきた反面、歴史はいかなるイデオロギーや理念の指標ももたず、海図なき航海を余儀なくされつつあることも否定できません。
 そうしたカオス(混沌)が強まれば強まるほど、私は、狂瀾怒濤の逆巻く歴史の川面の底深く、静かに、訴えるように語りかけてくるマハトマ・ガンジーの声に耳を傾けざるを得ないのであります。

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