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第20回「SGIの日」記念提言 不戦の世紀ヘ人間共和の潮流

1995.1.24 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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1  人類史の流転とどめ「第二の千年」へ
 SGI(創価学会インタナショナル)の発足二十周年を記念して、最近の私の所感の一端を述べさせていただきます。
 まず最初に、このたびの「阪神・淡路大震災」で亡くなられた方々に、衷心より哀悼の意を表させていただきます。仏法者として、懇ろに追善させていただいております。とともに、被災された皆さまに、心からお見舞い申し上げます。関西の地を、かけがえのない故郷と思う私にとって、これほどの心痛はありません。
 この戦後最大の惨事にあたり、政府はじめ行政機関は、何はさておき、総力を挙げて、迅速な対応を急ぐべきであります。私どもも、民間の立場から、ドクター部救急医療班の派遣、青年部ボランテイアによる物資の応援、緊急避難所としての会館の提供、義援金の寄付など、全力を挙げております。
 我が身をいとわず、我が家を顧みず、懸命の救援活動にあたる民衆の真心ほど、気高いものはありません。
 かつて、関東大震災の折、白金小学校の校長であった牧口常三郎先生(創価学会初代会長)は、自ら先頭に立って、罹災者の援助に奔走されました。その姿は、児童たちの眼に、焼き付いて離れなかったのであります。
 今回の学会員の皆さまの尊き献身に、私は、重ねて御礼申し上げるものであります。
 学会本部にも、ゴルバチョフ元ソ連大統領、エイルウィン前チリ大統領はじめ、多数の世界の識者の方々、並びに全世界のSGIの同志が、お見舞いの励ましを寄せてくださいました。深く感謝申し上げます。
 御聖訓には、「大悪をこれば大善きたる」、「災来るとも変じて幸と為らん」と仰せであります。
 被災者の方々が、悲しみを乗り越えられ、一日も早く、復興されゆくよう、心よりお祈り申し上げます。そして、我が関西創価学会が、その「希望の柱」たることを、私は確信してやまないのであります。
2  さて、世紀末の今日、冷戦が終結し、悪らく世界を東西にが断していた″璧″はひとまず取り除かれたものの、いまだ人類は確たる「平和の構図」を見いだすというにはほど遠い状況にあります。加えて、絶えまない民族対立や地域紛争の激化、悪化の一どをたどる地球環境問題、そして大量の難民流出など、山積する地球的問題群の存在は、私たちの前途に暗い影を投げかけております。
 二十一世紀まであとわずか五年余。私たち人類は、こうした世界の様相を″世紀末″の風景と諦め、立ち尽くすだけなのか、それとも新しき世紀の扉を開くため、敢然と課題に立ち向かうのか――大きな岐路に差しかかっております。「戦争と暴力の世紀」といわれた二十世紀に別れを告げ、「希望と不戦の世紀」を開幕させるという、いわば人類全体がその運命を百八十度転換できるか否かという正念場を、まさに迎えているのです。
3  第二次世界大戦終結から五十年
 時あたかも本年は、第二次世界大戦終結から五十年という大きな節目にあたっております。昨今は様々な形でこの半世紀の回顧がなされておりますが、改めて私たちはあの当時、まがまがしい戦禍のなかにあって半ば途方に暮れながら、渇えて水を欲するように抱いた、「平和」に対するみずみずしい思いに立ち返るべきではないでしょうか。
 平和のすばらしさ、命の尊さへの新鮮な感情、そして恒久の平和を心から希求する、また今こそそれが可能だという情熱であります。一言でいえば、いい意味での燃えるような理想主義であります。大切なことは、過去の反省に立って、私たちは今、何を成すべきかを明確にすることであり、英知を結集して将来への確たるビジョンを打ち出すことであります。戦後五十年という節目は、その絶好の機会を与えてくれるものといえましょう。

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