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日蓮大聖人・池田大作

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第19回「SGIの日」記念提言 人類史の朝世界精神の大光

1994.1.26 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

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1  「共生」の秩序へ新たな構想
 冷戦終結後四年、世紀末の乱気流が勢いを増すなか、時代は大きな曲がり角を迎えているようであります。世界情勢は流動化の現象が著しく、めまぐるしい変化の連続であります。冷戦が終わって、人類にとって、より希望のもてる新たな世界秩序の方向が見えてくるのではないかとの期待は早くも裏切られ、前途は混沌として何が起こるかわからない闇に包まれております。
 とりわけ世界経済を覆う不況という暗雲によって、各国とも経済的に困難な局面を迎え、生き残りに必死の様子がうかがえます。こうした時はどうしても目先のことに一喜一憂し、心が内向きになりがちであります。そこで大事なことは、決して閉鎖的な心でなく、広々とした地球的な材げで進路を模索することであります。
2  これだけ相互依存が進んだ世界にあっては、もはや一国のみが繁栄を願っても不可能であり、ともに協力しあい、共存共栄の道を探る以外にありません。国と国との関係であれ、人間と自然との関係であれ、ともに生き、ともに栄える「共生」が時代のキー・ワードといえましょう。今、必要なのはグローバルな「共生のための総体革命」であり、そのためには人類の精神的変革が必要であります。私どもが進めている「人間革命運動」は、その基盤となるものであります。
 同時に時代の先行きが不透明であればあるほど、悲観主義に陥ることなく、いい意味での楽観主義で、「希望」を合言葉に挑戦の気概を強くもって進むことが大事でありましょう。
3  泥沼化する旧ユーゴスラビアの内戦、イタリア、口シアにおける極右・右翼勢力の台頭、ドイツのネオ・ナチの横行など、昨今の世界情勢に不安材料は多々ありますが、一方、明るい予兆も見られます。昨年、パレステナ暫定自治協定の調印で、中東和平に画期的な第一歩がしるされました。しかし、その実施の段階で足ぶみ状態が続いております。もつれた糸をほぐすのは簡単ではないということであります。ゴルバチョフ元ソ連大統領は昨年、創価大学に来学した折の講演で、「一番重要なことは、人類の英知を思慮深く結集させること」とし「今、重要なことは進歩と漸進的な改革であります。この漸進性こそ、人間が本然的に備えた性質であり(中略)新しい時代を切り開く最良のいき方であります」と語っておりました。
 急進主義イデオロギーの″悪″をつぶさに体験してきた人だけに、この言葉には、新しい発想で困難な時代を切り開いてきた人間政治家の知恵の輝きが感じ取れます。平和、発展、共生へ向けて人類の英知を結集し、地道に一歩一歩、粧り強く変革の道を進む以外にないということであります。

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