Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第15回「SGIの日」記念提言 希望の世紀へ「民主」の凱歌

1990.1.26 「平和提言」「記念講演」(池田大作全集第2巻)

前後
1  一九九〇年代の出発にあたり、最近の私の所感の一端を述べて、第十五回「SGI(創価学会インタナショナル)の日」の記念としたい。
 本日、SGIは発足から十五周年を迎えました。一九七五年一月二十六日、グアム島に世界五十一カ国の代表が集い、「世界平和会議」が開かれ、創価学会インタナショナルは実質的なスタートをいたしました。
 その折、私は、自分自身が花を咲かせようという気持ちでなく、全世界に平和の種をまいて、その尊い一生を終わってほしいと呼びかけ、私自身もその実践を誓いました。
 以来十五年、世界の友は仏法運動を基調に、それぞれの国、それぞれの社会で、平和建設のために活躍してくださいました。そして、良き市民として社会貢献の実績を示し、尊敬される存在として成長しておられることに心からの敬意を表したい。今や世界百十五カ国で百二十六万余の友が勇んで平和と繁栄のために尽力しております。
2  人間・平和・文化主義を基調に
 世紀の変わり目を指呼の間にした今、我々は「人間主義」「平和主義」「文化主義」の永遠の指針を更に深く胸に刻み、新しい時代の新しい先駆の道を開拓してまいりたい。
 その意味で、改めてSGIの基本路線を再確認しておきたい。
 第一に、創価学会インタナショナルのメンバーは、自国の文化、伝統を重んじ、法を尊重しつつ、良き市民として、それぞれの社会の繁栄に貢献することを目指す。
 第二に、創価学会インタナショナルのメンバーは、生命の尊厳を根本に人間文化・教育の興隆を目指す。そのために国際的な文化交流、教育交流を活発に進める。
 第三に、創価学会インタナショナルのメンバーは、戦争をはじめとするあらゆる暴力を否定し、人類の幸福と世界の平和と繁栄に尽くしゆくことを目指す。そのために核兵器廃絶と世界不戦の実現を大きな目標とし、国連憲章の精神を支持し、国連の世界平和維持の努力に協力する路線を進む。
 SGIはこの基本路線をしっかりと踏まえ、これからの十年、世界の平和勢力として更に確固たる基盤を築いていきたい。
3  昨年、私は東京でオーストリアのフランツ・フラニツキ首相とお会いしました。その際、首相は「ラテン語の言葉に『平和を欲するならば、戦争の準備をせよ』とある。しかし、私はこの言葉を『平和を欲するならば、平和の準備をせよ』と置きかえて、活動しております」と、平和への深い心情を披歴されたのが深く印象に残っております。私も全く同感です。
 二十一世紀まで十年余。この期間に、私たちは恒久的な平和を迎えるための本格的な準備に入らねばなりません。二十世紀を総仕上げすべきこれからの十年は、世界にとってとりわけ大事な十年となるでありましょう。
 昨年末、私はベルリンのブランデンブルク門が開放される様子を伝える映像を、深い感慨をもって見つめました。一九六一年十月、私自身、西ベルリンを訪れた際、この間の前に立ったときの鮮烈な印象を、今も忘れることができないからであります。
 それは東西を分かつ壁が造られてから、わずか二カ月後のことでありました。
 以来二十八年、地殻を揺るがすような民衆のエネルギーによって、東西冷戦の象徴であった悲劇の壁が崩壊しました。私は、まさに歴史の歯車が音をたてて新しい時代へ向かって回転しはじめた感を深くしたわけであります。人類史上、こうした劇的な変化が、わずかな例外を除いてかくも平和裏に起きたことは、かつてなかったといえましょう。

1
1