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第12回「SGIの日」記念提言 「民衆の世紀」へ平和の光彩

1987.1.26 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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1  民衆による民衆のための時代を開拓
 第十二回「SGIの日」にあたり、最近の私の所感の一端を述べておきたいと思います。
 今を去る二十七年前、一九六〇年、私は初の世昼半和の旅の第一歩をアメリカの地に印しました。そして十五年後の一九七五年一月二十六日、五十一カ国の代表メンバーがグアム島に集い、記念すべき世界平和会議を開催し、創価学会インタナショナル(SGI)としての実質的な世界平和への前進が開始されました。その後、私は一九八一年を″世界広布元年″と定め、今日までSGIの友とともに、広布開拓の足跡を世界各地に刻んでまいりました。
 この間、各国メンバーの労苦をいとわぬ尽力で、今日の目覚ましい発展を築くことができました。何よりも喜ばしいことは、それぞれの国で多くのメンバーが立派な市民として社会に貢献している事実であります。とりわけ、このところ各国で青年メンバーの成長が著しいことは、SGIの未来の隆々たる発展の姿を象徴的に示すものといえましょう。今後、更に自国の繁栄のみならず、広く人類の幸福と世界の繁栄に尽くしゆくことを目指し、各国メンバーが心を一つに力を合わせて前進していただきたいと念願してやみません。
2  そこで、本年「平和・地域の年」を、世界にあって″広布第二章″の幕開けと、私は位置づけたい。私どものこれからの目標は、世界の一大平和勢力としての確固たる基盤を、それぞれの国でつくりあげ、民衆の民衆による民衆のための時代を築くことであります。私も世界の友とともに、その方向へ一段と力を傾注してまいりたい。
 二十七年前に、初めてアメリカの地を訪問して以来、私は、三十九の国々を歴訪しております。なかでもアメリカとソ連は、中国と並んで、私が最も重視して足を運んだ国であります。
 しかし、それは私が「大国主義」にくみしているわけでは毛頭なく、未来世界への展望を切り開くには、二つのアプローチが必要であると考えるからであります。一つは″演繹的アプローチ″ともいうべきもので、グローバルな観点から、新たな世界秩序への統合化のシステムや方向性を探る試みであります。二つには″帰納的アプローチ″であり、世界平和への秩序づくりにあたっては、国際的にも国内的にも、地域(国際的には諸民族、国内的には地方)の活性化が不可欠であるという視座であります。
3  この第一の″演繹的アプローチ″からみれば、今日の世界において、米ソ両国の影響力の大きさは、よい意味でも悪い意味でも、冠絶かんぜつしております。私がこれまで、米ソの様々な分野の方々と膝を交えて、平和と文化と教育をテーマに対話を積み重ねてきたのも、ささやかではありますが、この二つの超大国から、私なりに波動を起こしていきたいと願ったからにほかなりません。
 その意味からも、私は本年、来月早々にアメリカの地に足を運ぶ予定になっておりますし、できれば本年半ばごろには、ソ連も訪問したいと思っております。アメリカでは、昨年のキッシンジャー元国務長官に引き続き、優れたジャーナリストでアメリカを代表する″知性″である、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のノーマン・カズンズ教授らとも、対談を進めていきたいと思っております。
 またモスクワ大学のログノフ総長との対談『第三の虹の橋』が、本年中にも刊行される予定でありますが、これらの対話の試みは、人類の知的遺産を少しでも後世に残し、地球に真の平和と繁栄をもたらすための英知を結集したい、との素朴な願いから進めてきたものであります。特に、これまで重ねてきた数々の対談の中でも、米ソの識者との触発のやりとりは、私にとっても初めてのものだけに、実り多い成果を念ぜずにはおれません。

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