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日蓮大聖人・池田大作

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第8回「SGIの日」に寄せて 平和と軍縮への新たな提言

1983.1.25 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

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1  第八回「SGI(創価学会インタナショナル)の日」にあたり、「平和と軍縮への新たな提言」として、最近の私の所感の一端を述べておきたい。
 混沌とした世界の中で、我が同志が二〇〇一年を目指し、こぞって希望の前進を開始していることは、心強い限りであります。今や日蓮大聖人の太陽の仏法は、世界百十五カ国に流布しております。国家、民族の違いを乗り越えた新しいインタナショナルな平和のネットワークが確実な広がりをみせていることは、未来への大いなる希望と言えましょう。
 これまでSGIは日蓮大聖人の仏法を基調として、組織的には日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア等を中心拠点としつつ、平和と文化と教育の大路線を進んでまいりました。一九七五年の一月二十六日、グアム島で世界平和会議が開催されて八年、SGIが着々と力をつけ、世界の友の活躍が渓流から大河になりつつある感を深くしております。
 その意味で、SGIとしても、本年を、二〇〇一年へ向けて、更に本格的な平和の潮流を巻き起こす起点の年としてまいりたい。
2  今、日本を含めて世界各国は、極めて複雑かつ困難な時代に突入しております。世界同時不況と呼ばれる暗い状況が続くなか、人々の困窮をよそに、軍拡の波は、一向にとどまるところをしらない。経済情勢の悪化にともない、先進国であると開発途上国であるとを問わず、押しなべて保護主義的傾向を強め、一つカジ取りを間違えれば、世界は、破局へ向けて暴走を開始しかねない状況にあります。一九三〇年代――日本はもとより世界各国が、第二次世界大戦への坂道を転がり落ちていった、あの″三〇年代″の悪夢が、人々の脳裏に、しきりに蘇ってくるのも、当然と言えましょう。
 海図なき時代、先が読めない時代――様々な悲観的予測がなされておりますが、時代はまさに、巨大なカオス(混沌)に入ってきているといってよい。それだけに私どもは、仏法者として、そうしたカオスを鋭く、冷静に見つめ、二十一世紀への血路を切り開いていかなければなりません。私が「平和と軍縮」の側面から幾つかの提言を試みるのも、そのような仏法者としての社会的、人間的使命、やむにやまれぬ心情からにほかなりません。
3  民衆こそ時代の主役
 本年初頭、ワシントンの著名なシンクタンクが発表した報告書によりますと、ここ二、三年は今後長期にわたり東西の核兵器競争が激化するか軍縮に向かうかの岐路になる、ということです。核保有国が相次いで新型核戦略兵器の開発を急ぎ、核兵器強化策を八〇年代前半に決定しようとしているためであります。
 実際、米国製パーシング2、巡航ミサイルが本年十二月をめどに欧州に実戦配備される予定になっています。もしこの配備が予定どおり実施されれば、欧州を舞台に東西の緊張が一挙に激化するでありましょう。それはまた欧州のみの問題ではありません。例えば、最近、ソ連は中距離核ミサイルSS20の一部をシベリアに移す計画のあることを明らかにしております。これは極東に配備された米国の核戦力に対抗するものと考えられています。
 そして先日の日米首脳会談で、日本と米国の軍事的同盟関係の一層の強化が約束されたことが、アジアの緊張を一段と高めていることは否定できません。我が国の進路が、平和主義の方向にいくのか、軍事大国の方向にいくのか、国民は不安にかられております。現在の危機は、まさに人間の生存の権利を根こそぎ奪い去る全地球的な破滅への道につながりかねない。本年はグローバル(全地球的)な意味で、平和か緊張激化かの重大な分岐点にさしかかっていることは間違いありません。

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