Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第27巻 「激闘」 激闘

小説「新・人間革命」

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1  激闘(1)
 闘争のなかに前進がある。
 闘争のなかに成長がある。
 闘争のなかに希望がある。
 闘争のなかに歓喜がある。
 ヨーロッパ統合の父クーデンホーフ・カレルギーは、信念の言葉を記した。
 「人生は闘争であり、また、いつまでも闘争であるべきである」
 さあ、闘争を続けよう!
 自分自身との闘争を!
 宿命との闘争を!
 大宇宙に遍満する魔性の生命との闘争を! 広宣流布の大闘争を!
 新しき人生の旅が、今、始まるのだ。
 山本伸一の会長就任十八周年となった、一九七八年(昭和五十三年)五月三日、全国各地の会館で、「5・3」を祝賀する記念勤行会が、晴れやかに開催された。
 この日午前、伸一は、東京・立川文化会館での勤行会に出席した。
 「皆様のおかげで、会長就任十八周年を迎えることができ、御礼、感謝申し上げます。
 広宣流布の流れは、「大河」の時代から、「大海」へと向かっております。大海原の航海には、激しい風雨も、怒濤もあることを覚悟しなければなりません。
 しかし、競い起こる諸難は、経文に、御書に照らして、正義の信仰を貫いている証明です。大聖人は、『大難来りなば強盛の信心弥弥いよいよ悦びをなすべし』と仰せです。強き信心があれば、大難に遭おうとも、むしろ仏法への確信を強くし、歓喜をもたらしていきます。『衆生所遊楽』とは、難がないということではない。何があっても恐れることなく、日々、信心の歓喜を胸に、すべてを悠々と乗り越えていける境涯の確立です。
 私たちは、いよいよ信心強盛に、何ものをも恐れず、満々たる功徳を受けながら、楽しい人生を歩んでいこうではありませんか!」
 簡潔なあいさつであったが、参加した同志の心を強く打つ指導となった。
2  激闘(2)
 山本伸一は、立川文化会館での記念勤行会を終えると、直ちに創価大学へ向かった。「5・3」のメーン行事となる、「創価功労賞」「広布功労賞」の表彰式典等に出席するためであった。草創期から、共に広宣流布に戦い抜いてくれた同志を、彼は、最高に讃え、励ましたかったのである。
 学会の組織は、大きな世代交代の時期を迎えていた。広宣流布の未来を盤石なものにしていくには、続々と若いリーダーが誕生しなければならない。そこに組織の活性化も図られていく。その際、新しいリーダーが、功労者の先輩たちを最高に遇していけるかどうかが、広布伸展の重要なポイントになる。
 具体的には、その組織に、どんな先輩がいるのかを知っていくことから始まる。
 そして、一人ひとりにお会いし、敬意をもって、広宣流布とともに歩んだ体験に耳を傾け、そこから真摯に学んでいくことである。信仰の年輪を重ねた人には、実践を通して培われてきた、確信と智慧の輝きがある。
 「尊敬を欠く人間は果実を実らせることができないだろう」とは、詩人で小説家のリルケの戒めである。
 さらに、どうすれば、その先輩がいかんなく力を発揮し、皆が喜び、地域広布が前進するのかを考えていくことだ。
 学会は、人材の大城である。さまざまな力、実績をもった多くの功労者がいる。その方々に光を当てて、力を借りていくならば、組織は何倍も強くなる。
 広宣流布を決するのは総合力である。総合力とは団結力である。
 伸一が、会長就任十八周年のメーン行事を、功労者への表彰式典としたのも、″草創の勇者″たちの広宣流布への大貢献に感謝するとともに、円熟した人格と豊富な経験を生かして、ますます広布前進の大きな力になっていただきたいとの思いからであった。
 生涯を広宣流布に生き抜いてこそ、真の功労者である。後退は、自身の黄金の歴史を汚すことになる。
3  激闘(3)
 山本伸一が、創価大学の体育館で行われた表彰式典で強く訴えたことは、「生涯、信行学の実践を」ということであった。
 日蓮大聖人の仏法は、「本因妙」の仏法である。それは、私たちの生き方に当てはめていうならば、「生涯求道」「生涯精進」「生涯成長」ということである。
 大聖人は仰せである。
 「いよいよ強盛の信力をいたし給へ」、「いよいよ法の道理を聴聞して信心の歩を運ぶべし」、「いよいよ道心堅固にして今度・仏になり給へ
 明日へ、未来へと、命ある限り法を求め、自分を磨き、鍛え、挑戦していく。それが、仏法者の生き方である。
 ゆえに、信心の功労者とは、過去の人ではない。未来に向かって、広宣流布のために、新たな挑戦をし続ける人である。
 表彰式典のあと、伸一は、創価大学の白ゆり合宿所で開催された、富士交響楽団の「5・3」記念演奏会に出席した。
 さらに翌四日には、在日ソ連大使館の関係者らと共に、創価大学の体育館での第二東京合唱祭に出席。五日には、同大学のブロンズ像前で、「創価学会後継者の日」を祝して、高等部、中等部、少年・少女部の代表らと相次ぎ記念撮影したあと、グラウンドで行われた音楽隊の全国総会に臨んだ。
 席上、あいさつした伸一は、見事な演奏、演技を心から賞讃し、「世界の恒久平和のために、ひたすら諸君の成長を祈り、待っております。そして、一切を諸君にバトンタッチしたい」と訴えた。
 終了後、伸一は、観客席からグラウンドに降りた。大歓声が起こった。彼は出演者をはじめ、集った青年たちを励ましていった。
 この日は、北は北海道の網走、南は沖縄から、全国三千人の音楽隊員が集っていた。
 そのなかには、方面旗を両手で、終始、支え続けてきたメンバーもいた。また、中等部員の隊員もいた。

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