Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第27巻 「正義」 正義

小説「新・人間革命」

前後
1  正義(1)
 創価学会の使命は、世界広宣流布にある。法華経の精髄であり、一切衆生の成仏得道の大法である日蓮大聖人の仏法を、人びとの胸中に打ち立て、崩れざる世界の平和と、万人の幸福を実現することにある。
 大聖人は師子吼された。
 「今日蓮が時に感じて此の法門広宣流布するなり」、「法華経の大白法の日本国並びに一閻浮提に広宣流布せん事も疑うべからざるか
 大聖人は、末法にあって全人類の救済のために妙法流布の戦いを起こされ、一閻浮提、すなわち全世界への大法弘通を誓願された。学会は、御本仏のその大誓願を果たすために出現した、人間主義の世界宗教である。
 大聖人の正法正義を守り抜いた、後継の弟子・日興上人の御遺誡には、こうある。
 「未だ広宣流布せざる間は身命を捨て随力弘通を致す可き事
 この御遺誡のままに、学会は正義の旗を掲げ、初代会長・牧口常三郎は軍部政府の弾圧と戦い、獄中で死身弘法の生涯を閉じた。
 第二代会長・戸田城聖もまた、約2年間にわたって投獄されている。彼は獄中にあって、″われ地涌の菩薩なり″と悟達し、師・牧口の遺志を胸に、生きて牢獄を出た。広宣流布に一人立ったのだ。その正義の旗の下に、われらは集った。一人ひとりが″地涌の使命″をもって、この世に出現したのだ。
 ″地涌の使命″とは、広宣流布だ!
 自他共の幸せのために、勇んで大正法を語りに語り抜いていくのだ。苦難と絶望の淵から雄々しく立ち上がり、人間蘇生の大ドラマを演じ、仏法の偉大なる功力を証明するのだ。何があっても負けない、強靱にして豊かな心を培い、人格を磨き抜き、歓喜に満ちあふれた人生を生き抜くのだ。
 世界広布新時代の朝は来た。世界は、彼方にあるのではない。自分の今いる、その家庭が、その職場が、その地域が、絢爛たる使命の大舞台だ。世界広宣流布の中心地なのだ。
 さあ、立ち上がろう。元初の太陽を胸に!
2  正義(2)
 ロシアの作家・チェーホフは記した。
 「新しい生活のあけぼのが輝いて、正義が凱歌を奏する時が必ず来る」
 一九七八年(昭和五十三年)四月、創価学会は、山本伸一の第三代会長就任十八周年を目前にして、民衆の凱歌の祭典ともいうべき″合唱祭″に力を注いでいた。
 信仰によって、人生の使命を知った喜びと生命の躍動を、友の幸せのために生きる誇りと歓喜を、歌声をもって表現し、希望の春風を、地域に、社会に送ろうとしたのである。
 創価学会は、七二年(同四十七年)の秋、「広布第二章」の新しい船出を開始した。
 伸一は、いよいよ本格的な世界広宣流布の流れを開こうと、着々と準備を整えてきた。
 彼が会長就任以来、世界各地を回り、自ら植え育ててきた仏法の種子は、見事に芽吹いていた。各国・地域に次々に団体も誕生し、それぞれの実情に応じて自主的に活動を推進し、広宣流布の幸の花園を広げてきた。
 そうしたなかで、国境を超えて、団体と団体とが連携を強め、啓発、協力し合っていきたいとの声が起こった。
 その意向に基づき、七三年(同四十八年)五月に「ヨーロッパ会議」が、八月に「パン・アメリカン連盟」が、十二月に「東南アジア仏教者文化会議」が結成された。
 さらに、各国・地域の連帯を世界に広げて交流を図るために、その要となる機関を設けてほしいとの要請も出され、七四年(同四十九年)九月、東京・千駄ケ谷に「国際センター」が誕生。次いで七五年(同五十年)一月二十六日、グアムの地に世界五十一カ国・地域のメンバーの代表が集い、歴史的な第一回「世界平和会議」が開催されたのである。
 創価学会は、一閻浮提広宣流布という日蓮大聖人の御予言を、決して虚妄に終わらせることなく、現実のものとし、新しき時代の朝を開いたのである。
 仏法伝持の人とは、大聖人の仰せのままに戦い抜く「行動の人」なのだ。広宣流布の勝利の旗を打ち立てる「実証の人」なのだ。
3  正義(3)
 第一回「世界平和会議」の席上、国際仏教者連盟(IBL)が発足し、会長に山本伸一が、名誉総裁に日達法主が就いた。
 また、この席で、全参加者の懇請と総意によって創価学会インタナショナル(SGI)が結成され、伸一がSGI会長に就任。世界広宣流布をめざす創価学会の、地球的な規模のスクラムが組まれたのである。
 「世界平和会議」であいさつに立った日達は、「南無妙法蓮華経は世界の宗教」であり、「日蓮大聖人がこの皆様のお姿を御覧になられたならば、どんなにお喜びになられるか」と感慨を込めて語った。
 そして、大聖人は、仏法の流布は″時″によると仰せであり、その″時″は、山本会長の努力によってつくられ、今、世界的な仏法興隆の″時″を迎えたと明言し、「最も御本仏の御讃嘆深かるべきものと確信するものであります」と述べている。
 さらに、戦争は人類に破滅をもたらすことから、山本会長は、世界平和への潮流を起こそうと、率先して働いていると賞讃。ますます異体同心の団結をもって、世界平和の実現をめざすよう訴えて、話を結んだ。
 伸一は、人類の未来を考える時、一日も早く、平和の大潮流を起こしていかなければならないと、痛切に感じていた。
 当時、東西冷戦も続いていた。ソ連と中国も対立の溝を深め、一触即発の状況を呈していた。また、核兵器の保有国も増え、核拡散が懸念され、核の脅威は増大しつつあった。一方、先進国と発展途上国との貧富の差も激しさを増していたし、環境破壊、食糧問題等も深刻化していたのである。
 伸一は、それらの諸問題を解決していくことこそ、仏法者としての重要な課題であり、使命であると考えていたのである。
 「未来の宗教というものは、人類の生存をいま深刻に脅かしている諸悪と対決し、これらを克服する力を、人類に与えるものでなければならない」とは、トインビー博士の洞察である。

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