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ボランティアの心 「困っている人がいればすぐ動く」文化を

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
1  池田 青春の勝利にいちばん大切なものは何か。それは「勇気」です。自分が正しいと思ったことを、ともかくやってみる「勇気」だ。
 勇気がある人は、壁にぶつかっても、もがきながら前へ前へと進み、壁を破ることができる。
 勇気のない人は、どんなにすばらしい考えをもっていても、どんなにすばらしい知識をもち、思いやりをもっていても、それを生かせない。「宝のもち腐れ」になってしまう。
 今回のテーマは「ボランティア」。人のために何か行動することです。これも「勇気」がなければできない。
2  ボランティアの世紀へ 思いやりの心を結集
 池田 仏法で言えば「菩薩界」です。慈愛です。慈悲です。
 仏法の「慈悲」とは「抜苦与楽」という意味です。「慈」は「与楽」、楽を与える。何か喜ぶものを与える。「悲」は「抜苦」、苦しみを抜く。相手の苦しんでいる原因を取り除いてあげる。この両方で「慈悲」になる。
 「ボランティア」は、何らかの形で、人に楽しみを与え、苦しみを少なくする行為でしょう。その究極は、じつは学会活動です。
 みんなのお父さん、お母さんたちが「人のために」「社会のために」と、くる日もくる日も行動している。一人の人間を根底から蘇生させている。さまざまな文化活動、社会貢献の活動を、営々と続けている。何の報酬が出るわけでもなく、それどころか身銭を切って、人に尽くしている。「ボランティア」です。
 一面から言えば、創価学会は日本最大のボランティア団体とも言える。
 ともあれ、ようやく日本でも最近、「ボランティア」の大切さが言われるようになってきたね。
 ―― はい。阪神・淡路大震災が起きてから、とくにそうです。日本海の重油流出事故(一九九七年一月)では、数万人のボランティアが集まりました。長野オリンピック(九八年二月)では、三万人を超えるボランティアが働いたそうです。
 同じように、多くの高等部員も関心を持っています。「困っている人のために役立ちたいと思っているので、ボランティアに興味があります」「老人ホームのボランティアに参加して、お年寄りをいたわる気持ちを学んだ」「知的障害者の施設を訪問したことがある。それ以来、友達と楽しく話している時、ふと、世界の見えない所で苦しんでいる人のことを思い、心が痛む」という声もありました。
 池田 偉いね。「人のために何かをしたい」という気持ちは、大てい、皆、もっている。その心を、どう結集するかです。一見、冷たい無関心のように見えても、結集軸さえあれば、案外、皆、すばらしい思いやりをもっているものです。
 ボランティアの精神は、これからの日本を大きく変えていく力になることは、まちがいない。二十一世紀は、「ボランティア精神の時代」と言ってもいい。
3  「楽しくて、心がすっきりする!」
 ―― 学校で取り組んでいるところも増えてきました。東西の創価学園でも、そうです。
 たとえば、東京創価小学校を今春卒業した十八期生は、″ボランティア一期生″と呼ばれています。
 きっかけは彼らが五年生の冬の大雪。後輩たちが雪で滑って転んだり、ボール遊びができず、がっかりしている姿を見て、「自分たちにできることをやろう」と、雪かきをしたそうです。
 以来、あいさつ運動、校内外の清掃活動、体の不自由な人たちの施設の慰問など、活動は多岐にわたりました。
 昨年五月には「東京創価小学校ボランティア・ネットワーク」(SVN)を結成するまでに発展しています。
 池田 よく、うかがっています。渡辺副校長先生が言われていた。「好き勝手なことをする世代ですが、ボランティアを通して、自然と『人に尽くす心』が身についたようです。困っている人がいると、自然に手を差し伸べているようです」と。
 ―― ある教師は、こんな話をされたそうです。″ボランティア運動″をする前のこと。教室にゴミが落ちていました。先生が「ゴミが落ちているね」と指摘すると、子どもたちは「私のゴミじゃないから」「先生が拾えば」と言うのです。その先生は泣きたくなったそうです。
 そんな子どもたちがボランティアに参加するようになって、教室や校庭からゴミが消えたそうです。ある子は言ってます。「人にほめられるから、しているのではありません。ボランティアは楽しく、心がすっきりするんです!」

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