Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

勇気を出したい 正義を貫け! それが勇気

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
1  ―― きょうは「勇気」について教えていただきたいと思います。
 池田 「勇気」――大事なことです。勇気があるかどうかで人生は決まってしまう。勇気がある人は幸福です。
2  「困っている人に声もかけられず」
 ―― 皆、「勇気を出したい」と願っていると思うんです。たとえば、「友達が間違っているとわかっているのに、仲が壊れるのを恐れて指摘できない」。
 こんな声もあります。「体の不自由な人がいて、困っている様子だったのに、声をかけられなかった」「授業中や授業の終了後、何か質問したいと思っても、なかなかできない」。また、「電車やバスで、年配の方に席を譲れなかった」という声も聞きました。
 「勉強しようと思ったのに、いつもテレビに負ける」「クラスメートがこなくなり、電話しようと思った。でも『別のグループの子だから』と何もしなかったら、その子は転校してしまった」などです。小さなことと言えば、小さなことかもしれませんが。
 池田 人から見たら、「大したことではない」と思われるかもしれない。しかし本人にとっては、大きな問題です。小さなことが大事なのです。小さな勇気のように見えても、「勇気」は「勇気」だ。「一歩前へ」足を踏み出す心こそが大切なのです。
 つまり、生きている以上、いろいろなことがある。しかし人間は、何があっても、前へ前へ、勇気をもって、生きていくしかない。
 どんな人でも、現実の社会に生きていかなくてはならない。少年は少年として、大人は大人として、生きていかなければならない。
 人生は、社会は、「荒波」のようなものです。そのなかを、さまざまな思いをもちながら生き抜いていかなければならない。生きていくしかない。これが人間にとっての一つの宿命なのです。
 若干、むずかしい言い方になるが、それぞれの人間は、それぞれの希望をもっている。生き方をもっている。理想をもっている。喜びをもっている。悩みをもっている。苦しみや悲しみをもっている。
 しかし、どういうことがあっても、生きていかなければならない。どういうことがあっても、自分の理想、自分の希望に向かって生きていかなければならない。
 ―― その通りだと思います。
3  「勇気」という「エンジン」で前へ前へ!
 池田 そこで大事なことは、どんなに立派な夢をもち、どんなに立派な理想をもち、どんなにすばらしい希望を抱いていても、「実行」するのは「勇気」だということです。心の中に、すばらしい考えや、計画、思いやりをもっていたとしても、それを「実行」する勇気がなければ、現実には、何も実を結ばない。結局、心に何もなかったことと同じになってしまう。
 ―― 心に「宝」をもっていても、外に押し出す勇気がなかったら、「宝を金庫にしまったまま」のようなものだと思います。
 池田 だから、「勇気」は人間にとっての「原動力」であり「エンジン」なのです。勉強をするのも勇気であるし、学校に行くのも勇気です。
 ―― 「勇気はエンジン」だとしますと、「エンジン」が強い人は得ですね。
 池田 勇気がある人は力強く、前へ前へ進んでいける。自分が描いていた「山」を登り、「谷」を下り、自分の目指す理想へ、希望へと向かっていける。まさに「勇気」の二字が「力」となっていく。
 勇気をもっていない人は、堕落、敗北、横道にそれてしまう。苦しいことから逃げて、楽をしようとする。だから勇気のない人は、人のために尽くせない。自分を向上させられない。立派な仕事を成し遂げられない。ちょうど、「壊れたエンジン」をもっているようなものです。
 ―― そうしますと、勇気くらい人生で大切なものはないですね。
 池田 ゲーテの言葉だったと思うが、こう言っている。
 ″財産や名誉を失っても、大したことではない。すぐに気をとりなおして、取りもどせばいい。しかし勇気を失ったら、これは、すべてを失ったのと同じだ″と。
 (箴言詩「温順なクセーニエン」に、こうある。
  「財産を失ったのは――いくらか失ったことだ!
   すぐ気をとりなおして、
   新しいものを手に入れよ。
   名誉を失ったのは――多くを失ったことだ!
   名声を獲得せよ。
   そうすれば、人々は考えなおすだろう。
   勇気を失ったのは――すべてを失ったことだ!
   そのくらいなら、生まれなかった方がいいだろう」[『ゲーテの言葉』高橋健二訳編、彌生書房])
 ともあれ、勇気を出して何かをやれば、後悔がない。「あのとき、少しでも勇気があれば」と後悔する人生は、不幸です。
 結果はどうあれ、正しいと信じた道を「一歩前へ」踏み出すことです。人の目なんか気にする必要はない。自分自身に生きればいい。自分自身の人生なのだから。

1
1