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日蓮大聖人・池田大作

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働くって何? 自分の天分を生かせ! だれでも何かの天才

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
1  ―― 今回は、職業について、うかがいます。皆、将来の夢はさまざまです。「外交官になりたい」「保母さんになりたい」「コンピューター・プログラマーになりたい」「歌手になりたい」「正義のジャーナリストになりたい」「福祉の仕事がしたい」「難民問題のために働きたい」「メーキャップ・アーチストになりたい」「漫画家になりたい」「教師になり、生徒が大きな夢と希望をもてるよう、力になりたい」等々。
 「将来を決めている」という人の中にも、本気で取り組んでいる人もいれば、ただなんとなくそう思っているだけ、という人もいると思います。その一方で「医師になれといわれているが、迷っている」「以前はフライト・アテンダント(航空機の客室乗務員)になりたかったが、なれる自信がない」「学校にくる求人票で決めるので、選択の余地がない」「一人っ子なので、家の仕事を継ぐべきか、悩んでいる」「とくに好きなことはないが、何かで有名になって、目立ちたい」「いろいろな人にあうたびに、夢が変わる」。こんな声を聞きます。
 「自分が何になりたいか、わからなくて、あせってしまう」という相談も受けるのですが。
2  自分自身の宝石を掘り出せ
 池田 人生は長い。本当の勝負は四十代、五十代、六十代です。青春時代は「学びの時代」「鍛えの時代」と思って、何にでも挑戦してみることだ。
 だれにでも、自分にしかできない自分の使命がある。しかし、その使命は、努力もしないで、いつかだれかが教えてくれるわけではない。自分で見つけるのが根本です。
 宝石だって、はじめは鉱山の中に埋まっている。掘り出す努力をしなければ埋まったままです。掘り出してからも磨かなければ原石のままです。
 諸君は、皆、絶対に宝石をもっている。全員が「宝石を秘めた山」です。それを埋めたまま一生を終わってはつまらない。
 だから学校の先生や両親が「勉強しなさい」というのは、宝石を掘り出しなさい、磨きなさいと言っているのです。
 もちろん勉強だけが、宝を掘り出す努力ではない。今の偏差値だけで、自分という人間を決めつけてはいけない。暗記中心の勉強だけで測れるほど、人間は小さな山ではない。
 とくに最近は、″IQ(知能指数)よりもEQ(心の知能指数)のほうが大事だ″などと論じられている。知能テストでは測れない、人間としての思いやりとか、不屈の闘志とか、幅広い人間としての能力が大切だということです。だから十六歳や十八歳くらいの学校の成績だけで、その後の人生が決まるように思うのは、余りにも愚かです。人間の可能性は、そんなものではない。
 問題は、周囲の風潮に流されて、″自分は今、成績がこのくらいだから、こういう人間にしかなれない″と、自分で決めつけてしまうことです。そうしてしまうと、伸びる能力さえ伸びなくなってしまう。宝石を掘り出す努力を自分でやめてしまえば、もう、それっきりです。これがいちばん、こわい。
3  「何になるか」より「何をやるか」
 池田 反対に、大学に入ったら、とたんに真剣な努力をしなくなる人もいる。また有名な会社に入った、官僚になった、医師になった、弁護士になった……そのとたんに、人間として伸びなくなる人もいる。「人に尽くしていこう」という心をなくす人も多い。
 本当は、その時やっとスタートラインについたわけです。そういう人は「何になるか」だけを考えていて、「何をやるか」を考えていなかったのです。
 ―― ″自分は成績が悪いからダメだ″と思うのも、″自分はいい就職をしたから、もういいんだ″と思うのも、どちらも間違いだということですね。
 池田 そうです。人間は一生涯、自分自身の宝石を掘り出し、磨いていくべきです。学校時代にはあまりぱっとしなかった人が、社会に出てから、いろんな経験をするうちに、今まで掘り当てていなかった自分の鉱脈を発見する例は無数にある。
 だから就職は自分を発掘するための「スタート」であって、決して「ゴール」ではない。あせる必要はない。あせらず、休まず、へこたれずに、大切な自分の一生の坂を上っていくのです。
 将来の進路を、すでに決めている人は、執念をもって、目標へ突き進んでほしい。中途半端はいけない。執念をもってやった場合には、かりに失敗しても悔いがない。成功すれば、大きな花が咲く。いずれにせよ、次の道につながっていく。
 また、進路をまだ決めていない人は、「今やるべきこと」に全力を注ぐことです。そして、真剣に祈り、周囲ともよく相談し、もがきながら「自分の道」を見つけていくのです。

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