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日蓮大聖人・池田大作

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恋愛って何? 今、自分を磨いた分だけ未来に「すばらしいドラマ」が

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

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1  「恋愛してはいけないの?」
 ―― 友情についての質問とともに多いのが、「恋愛」や異性のことです。
 先日も、「母親が『恋愛してはいけない』と言うのですが、やはり高校時代は、しないほうがいいのでしょうか」と聞かれました。
 池田 高校時代は、思春期のまっただなかにある。春になれば花が咲き、冬になれば雪が降るように、青春時代に異性にあこがれ、好意をもち、胸を熱くするのは自然なことです。人生の一つの段階です。お互いが、キラキラした夜明けの新しい太陽が昇るような、新しい時代に入るようなものだ。
 もとより、恋愛の悩みといっても、十人十色。性格も違うし、環境も状況もちがう。″こうすれば必ず解決する″というような、だれにでも当てはまる法則はないでしょう。
 また、人を好きになるのも、″きれいだな″と思うのも自由。おつき合いするのも自分の意志であり、本来、人がとやかく言うものではないかもしれない。
2  「自分を大きく育てる」が根本
 池田 ただ、人生の先輩として、皆さんに語っておきたいことは、「自分自身を大きく育てていく」という根本軌道を忘れてはいけないということです。
 勉強もクラブ活動も、「強い自分」という人生の土台をつくるためにある。性格の悩み、友人関係の悩みも、「強い自分」を築く肥料となる。
 恋愛も同じです。自分が大きく成長し、生き生きとして、力を出していくようでなければならない。それが大前提です。しかし、「恋は盲目」と言われるように、ともすれば、自分を冷静に見るゆとりがなくなってしまうのも恋愛の現実です。
 親に心配をかけたり、非行的になったり、勉強をおろそかにするようでは、お互いが「魔」――邪魔――になっている。お互いが傷つけ合うことになっては不幸です。質問のお母さんも、それを心配しての忠告だと思う。それが親心です。娘さんなら、なおさらのことだ。
 ―― 大切なことは、「自分自身を大きく育てていく」という根本の目的を忘れないことですね。
 あるメンバーは「好きな人がいるだけで毎日の生活が大きく変わります。心が弾みます。好きな人がいるということは、とてもすばらしいと思います。それによって自分も成長するなら、より良いと思います」という意見でした。
 池田 大事なことは「あの人がいるから、もっと勉強しよう」なのか。それとも「勉強よりも、あの人」なのか。
 「あの人がいるから、もっとクラブ活動に挑戦しよう」「あの人がいるから、もっと友達や親を大切にしよう」「あの人がいるから、未来の目標に向かって、もっと頑張ろう」なのか。それとも「クラブ活動よりも、あの人」「友達や親よりも、あの人」「未来の目標よりも、あの人」なのか。
 今、自分たちは何をすべきか、その目的を忘れてのつき合いは邪道です。目的を達成させようという励まし、希望をもち合っていくことが大切です。恋愛は、感動し、元気になり、希望を生み、生き抜く源泉とならなくてはいけない。
3  片恋がダンテを高みへ導いた
 池田 ダンテと言えば、西洋の最高峰の詩人です。彼にとっては、ベアトリーチェという一人の女性が生きる源泉だった。少年の日から彼女を慕い続け、十八歳の時、道で再会した。彼は感動を『新生』と題する詩につづる。そして、彼女への思いを″どう表現すればいいか″と悩むなかで、ダンテは新しい詩のスタイルをつくりだしていく。まさに、彼女がダンテの芸術の扉を開いてくれたのです。
 しかし、ダンテにとって、彼女は″憧れの人″で終わる。ベアトリーチェは、他の男性と結婚し、若くして死んでしまう。それでも、ダンテは、ベアトリーチェを愛し続けた。それが、結果として彼の心を高貴なるものに鍛え、高め、深めていく。ライフワークの『神曲』では、ベアトリーチェは、ダンテ自身を天上界へと導いていく尊貴な存在として描かれている。
 皆さんにとって、ダンテは、時代も国も違うかもしれない。しかし、相手がどうであろうと自分の思いを見失わず、その愛情を″生きる希望″に変えていったダンテに学ぶことは多いと思う。恋愛は、生きるバネに、生きる強さのバネにならなければいけないと私は思う。
 ―― あるメンバーの手紙には、「私は、尊敬し、憧れている先輩がいます。友達から『好きだという気持ちでいるよりも、尊敬しているという気持ちをもったほうがいいのではないか』と言われました。自分としては、それでは少し納得がいかないのですが、どう考えるべきでしょうか」とありました。
 池田 いちがいには言えない。恋愛論というのは、論じる人の数だけあると言っていい。すべての人が賛同できる恋愛論はないかもしれない。それだけ恋愛は、人生の生き方そのものに深く関わっている難問題ということでしょう。だからこそ絶対に、安易な恋愛はいけないと思う。「戯れに恋はすまじ」です。
 「″尊敬″だけでは納得がいかない」というのは、気持ちは、よくわかる。理屈で割り切れれば、恋の悩みなんか、この世からなくなってしまう。それを前提にした上で、恋愛にも、やはり相手への「尊敬」がなければ長続きしないし、高め合うこともできないのではないだろうか。

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