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青春の友情、青春の人生観 友情は「自分の生き方」で決まる

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
 
1  池田 きょうは「友情」がテーマだね。大きい問題です。
 昔、だれかが言っていた。「男は、友達がいれば金持ちと同じだ。だから私は金持ちだ」。女性だって同じでしょう。
2  ″友情は喜びを二倍に、悲しみは半分に″
 池田 いい友人が一人いれば、人生の喜びは二倍になる。それが本当に「豊かな人」です。「友情は喜びを倍にし、悲しみを半分にする」というシラーの言葉は、今も変わらない真理でしょう。問題は「どうしたら、そういう友情がつくれるか」だね。両親を自分で選ぶことはできないが、友人は自分で選べるわけだから、大事なことです。
 ―― はい。友人関係の悩みは、すごく大きいと思います。「友達がいるから学校は楽しい」という人もいます。「友達はいる。でも心から話せる親友はいない」という人もいます。「友達は競争相手だ。友達が勉強しているのを見ると、あせってしようがない」。こういう気持ちもあると思います。
 また、「今まで親しくしていた友達が急に冷たくなった」「友達から裏切られた」「友達に無視され、とてもつらい」という悩みもあります。
 池田 青春の心は、寒暖計のように敏感だ。ある時は、すべてがバラ色に見えたかと思うと、すぐに「自分くらいダメな人間はいない」と落ちこんでしまう。それはそれで青春の特質だから、かまわない。大事なことは、どんな苦しいことがあっても「負けない」ことです。生き抜くことです。友人のこと、恋愛のこと、交通事故とか親の病気とか、目の前が真っ暗になるような、悲しい事件に遭遇することもあるでしょう。しかし、後になってみると、みな夢のようなものになるんです。
 私も終戦の時、これから一体どうなるのかと思った。生きていけるのかと、お先真っ暗だった。しかし、生き抜いて、今の自分がある。あの時の苦労も、今となっては夢のようなできごとです。どんなにつらいことがあっても、あきらめないで、前へ前へ生き抜いていけば、みな夢となって消えていくんです。それが大前提です。だから、カラッと生きるんです。そのうえで、友情について考えてみよう。
3  大震災=困難が友情を強めた
 ―― はい。「目の前が真っ暗になる」と言えば、あの阪神・淡路大震災がそうでした。家族を亡くした人も、たくさんいました。そのなかで皆が学んだことは、「つらい時に、友人くらい、ありがたいものはない」ということです。また「亡くなった友人の分まで強く生き抜くんだ」と、頑張っている人もいます。
 関西創価学園の教員の方が、しみじみと言っていました。「震災という困難が、同世代の友情、先輩と後輩の絆を強めてくれた」と。今年(一九九六年)の三月、関西創価高校卒業生は自宅(神戸市須磨区)が全壊してしまいました。彼は「いちばんつらかった時、最大に励ましてくれたのが創立者の池田先生であり、学園の友でした」と語ってくれました。そして「苦労を一緒に乗り越えようとする友の温かさを実感し、連帯感が強くなった」とも言っていました。
 ―― また、神戸市中央区の女子高等部員も、「多くの人に支えられている」ことを痛感したそうです。「心の底から友達のありがたさを感じました。目には見えないけど空気が私たちにとって不可欠なように、私も出会ったすべての友を″空気のように″支えていきます」と決意したそうです。
 池田 いい言葉だね。空気は見えない。心も見えない。しかし、見えない心の中に、喜びも悲しみも、美しさも醜さも、光も闇も、全部ある。見えない心と心をつなげるのが友情です。それは利害でもない。立場でもない。かけ引きでもない。表面的なおつき合いでもない。本当の人間同士の真心で結び合った間柄です。
 人生において最も美しく、強く、尊いもの。それが友情です。友情が諸君の財産です。どんなに偉くなり、金持ちになっても、友人のない人生はわびしく、さびしい。また独りよがりの偏ぱな人生になってしまう。
 とくに青春時代の友情ほど尊く、美しいものはない。
 大人になってからのつき合いは、多くの場合、利害や打算があり、一時的な立場上のものになりがちである。高校時代には、そういう余計なものがない。
 広大な宇宙の中の小さな地球に、同じ時代に、ともに生まれた。しかも人類五十八億のなかで、何もくどくど言わなくても心が通じ、何の構える必要もない、純粋無垢な絆で結ばれた関係は、そうめったにあるものではない。今、一緒に学んでいるというだけで、深い縁があるのです。
 そのなかで、「本当の友人だ」という人もいるでしょう。その友人を大事にしてほしい。また今、親友と呼べる友がいない人は、あせることはない。将来、最高の友人ができるために今はいないんだ、と決めていけばいい。今は自分を立派につくっていけばいいんです。将来、世界に友人ができる人もいるでしょう。
 ともあれ、友情というのは自分で決まるんです。相手じゃない。自分がどうかです。いい時はいいが、何かあるとすぐに別れてしまうというのではなくて、自分は変わらない。貫いていく。
 卒業する時も、「僕は一生、君を忘れない。どんなことも相談してくれ。僕も相談したいんだ」という度量というか、心のゆとりを忘れないでもらいたい。

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