Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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宿屋左衛門光則への御状 
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ん事日蓮に非ざれば叶う可からざるなり、諫臣国に在れば則ち其の国正しく争子家に在れば則ち其の家直し、国家の安危は政道の直否に在り仏法の邪正は経文の明鏡に依る

夫れ此の国は神国なり神は非礼を稟けたまわず天神七代・地神五代の神神・其の外諸天善神等は一乗擁護の神明なり、然も法華経を以て食と為し正直を以て力と為す、法華経に云く諸仏救世者・大神通に住して衆生を悦ばしめんが為の故に無量の神力を現ずと、一乗棄捨の国に於ては豈善神怒を成さざらんや、仁王経に云く「一切の聖人去る時七難必ず起る」と、彼の呉王は伍子胥が詞を捨て吾が身を亡し・桀紂は竜比を失つて国位を喪ぼす、今日本国既に蒙古国に奪われんとす豈歎かざらんや豈驚かざらんや、日蓮が申す事御用い無くんば定めて後悔之有る可し、日蓮は法華経の御使なり経に云く「則ち如来の使如来の所遣として如来の事を行ず」と、三世諸仏の事とは法華経なり、此の由方方へ之を驚かし奉る一所に集めて御評議有つて御報に予かる可く候、所詮は万祈を抛つて諸宗を御前に召し合せ仏法の邪正を決し給え、澗底の長松未だ知らざるは良匠の誤り闇中の錦衣を未だ見ざるは愚人の失なり。

三国仏法の分別に於ては殿前に在り所謂阿闍世・陳隋・桓武是なり、敢て日蓮が私曲に非ず只偏に大忠を懐く故に身の為に之を申さず神の為・君の為・国の為・一切衆生の為に言上せしむる所なり、恐恐謹言。

  文永五年戊辰十月十一日             日蓮花押

    謹上 宿屋入道殿

宿屋左衛門光則への御状

先年勘えたるの書安国論に普合せるに就て言上せしめ候い畢んぬ、抑正月十八日西戎大蒙古国より牒状到来


すと、之を以て之を按ずるに日蓮は聖人の一分に当り候か、然りと雖も未だ御尋に予らず候の間重ねて諫状を捧ぐ、希くば御帰依の寺僧を停止せられ宜しく法華経に帰せしむべし、若し然らずんば後悔何ぞ追わん、此の趣を以て十一所に申せしめ候なり定めて御評議有る可く候か、偏に貴殿を仰ぎ奉る早く日蓮が本望を遂げしめ給え、十一箇所と申すは平の左衛門尉殿に申せしむる所なり委悉申し度く候と雖も上書分明なる間省略せしめ候、御気色を以て御披露庶幾せしむる所に候、恐恐謹言。

  文永五年戊辰十月十一日             日蓮花押

    謹上 宿屋入道殿

平左衛門尉頼綱への御状

蒙古国の牒状到来に就いて言上せしめ候い畢んぬ、抑先年日蓮立正安国論に之を勘えたるが如く少しも違わず普合せしむ、然る間重ねて訴状を以て愁欝を発かんと欲す爰を以て諫旗を公前に飛ばし争戟を私後に立つ、併ながら貴殿は一天の屋梁為り万民の手足為り争でか此の国滅亡の事を歎かざらんや慎まざらんや、早く須く退治を加えて謗法の咎を制すべし。

夫れ以れば一乗妙法蓮華経は諸仏正覚の極理・諸天善神の威食なり之を信受するに於ては何ぞ七難来り三災興らんや、剰え此の事を申す日蓮をば流罪せらる争でか日月星宿罰を加えざらんや、聖徳太子は守屋の悪を倒して仏法を興し秀郷は将門を挫いて名を後代に留む、然らば法華経の強敵為る御帰依の寺僧を退治して宜く善神の擁護を蒙るべき者なり、御式目を見るに非拠を制止すること分明なり、争でか日蓮が愁訴に於ては御叙い無らん豈御起請の文を破るに非ずや、此の趣を以て方方へ愚状を進らす、所謂鎌倉殿・宿屋入道殿・建長寺・寿福寺・極楽


寺・大仏殿・長楽寺・多宝寺・浄光明寺・弥源太殿並びに此の状合せ十一箇所なり、各各御評議有つて速かに御報に預るべく候、若し爾らば卞和が璞磨いて玉と成り法王髻中の明珠此の時に顕れんのみ、全く身の為に之を申さず、神の為君の為国の為一切衆生の為に言上せしむるの処なり件の如し、恐恐謹言。

  文永五年戊辰十月十一日             日蓮花押

   平左衛門尉殿

北条弥源太への御状

去ぬる月御来臨急ぎ急ぎ御帰宅本意無く存ぜしめ候い畢んぬ、抑蒙古国の牒状到来の事・上一人より下万民に至るまで驚動極り無し然りと雖も何の故なること人未だ之れを知らず、日蓮兼ねて存知せしむるの間既に一論を造つて之を進覧せり徴先達つて顕れ則ち災必ず後に来る、去ぬる正嘉元年丁巳八月廿三日戌亥の刻の大地震是併ながら此の瑞に非ずや、法華経に云く如是相と天台大師云く「蜘蛛下りて喜事来り鳱鵲鳴いて行人来る」と、易に云く吉凶動に於て生ずと此等の本文豈替るべけんや、所詮諸宗の帰依を止めて一乗妙経を信受せしむべきの由勘文を捧げ候、日本亡国の根源は浄土・真言・禅宗・律宗の邪法悪法より起れり諸宗を召し合せ諸経勝劣を分別せしめ給え、殊に貴殿は相模の守殿の同姓なり根本滅するに於ては枝葉豈栄えんや、早く蒙古国を調伏し国土を安穏ならしめ給え、法華を謗ずる者は三世諸仏の大怨敵なり、天照太神・八幡大菩薩等・此の国を放ち給う故・大蒙古国より牒状来るか、自今已後各各生取と成り他国の奴と成る可し、此の趣き方方へ之れを驚かし愚状を進ぜしめ候なり、恐恐謹言。

  文永五年戊辰十月十一日             日蓮花押