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日蓮大聖人・池田大作

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阿仏房御返事 
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経・南無妙法蓮華経、恐恐謹言。

  弘安元年後十月十九日                日蓮花押

   千日尼御前御返事

阿仏房御返事

御状の旨・委細承り候い了んぬ、大覚世尊説いて曰く「生老病死・生住異滅」等云云、既に生を受けて齢六旬に及ぶ老又疑い無し只残る所は病死の二句なるのみ、然るに正月より今月六月一日に至り連連此の病息むこと無し死ぬる事疑い無き者か、経に云く「生滅滅已・寂滅為楽」云云、今は毒身を棄てて後に金身を受ければ豈歎くべけんや。

  建治三年丁丑六月三日                日蓮花押

   阿仏房


千日尼御返事

                    弘安三年七月二日 五十九歳御作

                    与 阿仏房尼

追伸、絹の染袈裟一つまいらせ候、豊後房に申し候べし・既に法門・日本国にひろまりて候、北陸道をば豊後房なびくべきに学生ならでは叶うべからず・九月十五日已前に・いそぎいそぎまいるべし、こう入道殿の尼ごぜんの事なげき入つて候、又こいしこいしと申しつたへさせ給へ、かずの聖教をば日記のごとくたんば房にいそぎいそぎつかわすべし、山伏房をばこれより申すにしたがいてこれへは・わたすべし、山伏の現にあだまれ候事悦び入つて候。

鵞目一貫五百文のりわかめほしいしなじなの物給び候い了んぬ、法華経の御宝前に申し上げて候、法華経に云く「若し法を聞く者有らば一として成仏せざること無し」云云、文字は十字にて候へども法華経を一句よみまいらせ候へば・釈迦如来の一代聖教をのこりなく読むにて候なるぞ、故に妙楽大師の云く「若し法華を弘むるは凡そ一義を消するも皆一代を混じて其の始末を窮めよ」等云云、始と申すは華厳経・末と申すは涅槃経華厳経と申すは仏・最初成道の時・法慧・功徳林等の大菩薩・解脱月菩薩と申す菩薩の請に趣いて仏前にてとかれて候、其の経は天竺・竜宮城・兜率天等は知らず日本国にわたりて候は六十巻・八十巻・四十巻候、末と申すは大涅槃経・此れも月氏・竜宮等は知らず我が朝には四十巻・三十六巻・六巻・二巻等なり、此れより外の阿含経・方等経・般若経等は五千・七千余巻なり、此れ等の経経は見ず・きかず候へども但法華経の一字・一句よみ候へば彼れ彼れの経経を一字も・をとさず・よむにて候なるぞ、譬へば月氏日本と申すは二字・二字に五天竺・十六の大国・五百の中国・十千の小国・無量の粟散国の大地・大山・草木・人畜等をさまれるがごとし、譬へば鏡はわづかに一寸・二寸・三寸・四寸・五寸と候へども・一尺五尺の人をもうかべ・一丈・二丈十丈百丈の大山をもうつすがごとし。


されば此の経文をよみて見候へば此の経をきく人は一人もかけず仏になると申す文なり、九界・六道の一切衆生・各各・心心かわれり、譬へば二人・三人・乃至百千人候へども一尺の面の内しちににたる人一人もなし、心のにざるゆへに面もにず、まして二人・十人・六道・九界の衆生の心いかんが・かわりて候らむ、されば花をあいし・月をあいし・すきをこのみ・にがきをこのみ・ちいさきをあいし・大なるをあいし・いろいろなり、善をこのみ悪をこのみ・しなじななり、かくのごとく・いろいろに候へども・法華経に入りぬれば唯一人の身一人の心なり、譬へば衆河の大海に入りて同一鹹味なるがごとく・衆鳥の須弥山に近ずきて一色なるがごとし、提婆が三逆も羅睺羅が二百五十戒も同じく仏になりぬ、妙荘厳王の邪見も舎利弗が正見も同じく授記をかをほれり、此れ即ち無一不成仏のゆへぞかし、四十余年の内の阿弥陀経等には舎利弗が七日の百万反・大善根を・とかれしかども未顕真実ときらわれしかば・七日ゆをわかして大海になげたるがごとし、ゐ提希が観経をよみて無生忍を得しかども正直捨方便とすてられしかば・法華経を信ぜずば返つて本の女人なり、大善を用うる事なし・法華経に値わざればなにかせん、大悪をも歎く事無かれ・一乗を修行せば提婆が跡をもつぎなん、此等は皆無一不成仏の経文のむなしからざるゆへぞかし。

されば故阿仏房の聖霊は今いづくにか・をはすらんと人は疑うとも法華経の明鏡をもつて其の影をうかべて候へば霊鷲山の山の中に多宝仏の宝塔の内に東むきにをはすと日蓮は見まいらせて候、若し此の事そらごとにて候わば日蓮が・ひがめにては候はず、釈迦如来の世尊法久後・要当説真実の御舌も・多宝仏の妙法華経・皆是真実の舌相も四百万億那由佗の国土にあさのごとく・いねのごとく・星のごとく・竹のごとく・ぞくぞくと・すきまもなく列なつてをはしましし諸仏如来の一仏も・かけ給はず、広長舌を大梵王宮に指し付けて・をはせし御舌どものくぢらの死にてくされたるがごとく・いわしのよりあつまりて・くされたるがごとく・皆一時にくちくされて十方世界の