金錍論5こんぺいろん こんべいろん
一巻。唐・妙楽大師湛然著。正しくは金剛といい、また金剛論・金錍ともいう。金剛錍の名は涅槃経巻八如来性品第十二の文から名づけたもの。金剛錍は本来盲人を治すメスのような器具であるところから、迷妄の衆生の眼を開く意をもつ。天台没後、華厳唯識・禅の隆盛の陰になり振るわなかった天台法華宗を再興するために著わした書で、華厳宗非情仏性なしとする説に対して、草木(非情成仏の義を論じ、唯識五性各別の説に対して一切衆生皆成仏道を主張したもの。