因果倶時3いんがぐじ
一念の生命に因と果が具足し、先後の別がないこと。因果異時に対する語。一般には原因と結果は同時には起こり得ない。いかに微小であっても因と果の間に時間的差異のあるのが現象上の出来事である。しかし、現象における差別の相を捨象して、万法の円融相即の理によれば、因は果を具し、果は因に即して因果一体であり因果不思議であって、因と果を一瞬も切り離すことはできない。故に因果倶時である。一念三千の哲理についていえば、一念の生命に三千の諸法が円融具足する故に、いずれを因いずれを果として差別することができない。即ち一瞬一念の生命がそのまま永遠であり、永遠の生命は一瞬の中に凝縮して存するのであって、一切の因果が衆生の一瞬の生命に具足することを因果倶時という。